#34 LOOP BLAKE 第2章 腐れ縁 第21話「卑怯も戦いの内」
竜賀「許さねぇ……絶対に許さねぇぞテメェ!!」
藍川竜賀は動かなくなってしまったエリック・ブラックと、それを抱えて涙を流すマーカス・ジャッジを見て、体の内側から溢れ出る怒りを抑えられなかった。そしてエリックの死をせせら笑っているソルマン・ノルスタインを睨み付けた。
ノルスタイン「ン〜〜〜フッフッフッフッフ♪…どーーしましたか?♫他人が死〜〜ぬのは初めて見まーーしたか?♪」
源太「いや…何回も見て来たさ……でもな…こんなに胸が締め付けられた気分になんのは…初めてだ」
竜賀「俺もだ源太…でも俺は人生で…」
竜賀は刀をゆっくり両手で握り締めた。しかし、刀の柄からギリギリと音が聞こえてきそうな程、竜賀は強く刀を握った。声には今まで感じたことのない程怒りが乗っていた。
竜賀「ここまで人を殺したいと思った事も初めてだ…」
竜賀はそれだけ言うといきなりノルスタインの懐に飛び込んで、刀を切り上げる構えを取った。しかし、ノルスタインは平気な顔でそれを眺めていた。
ノルスタイン「懲りませんね〜〜♫」
しかし自分の顔を狙って斬撃が飛んで来ると思っていたのとは裏腹に、竜賀は身体を高速回転させながらノルスタインの背後に回り込んだ。
ノルスタイン「!?」
背後から竜賀は剣をノルスタインの後頭部目掛けて背面横薙ぎで斬り込んだ。
ガキィィン!!
しかしこれもまた竜賀の斬撃を完全に波動の塊で受け止めていた。
ノルスタイン「無駄無駄無駄〜〜〜♬そんな攻撃でーーはこの波動の〜〜盾の前ではまーーったくの無意味で〜〜す♩」
竜賀「だったら連続攻撃だ!!」
竜賀は今度はノルスタインの頭目掛けて唐竹割りを打ち込んだ。
ノルスタイン「死角へ〜〜の攻撃が決ーーまらな〜〜いと分かーーった途端、ヤケになってしょ〜〜めん突破でーーすか〜〜?♬まーーだまだ子供で〜〜すねーー♬」
竜賀は正気を失ったかと思える程の連続攻撃を真正面からノルスタインに仕掛けた。しかしそれらの攻撃の全てが悉く波動の盾による全方位防御で防がれていた。
竜賀「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
はたから見れば闇雲に攻撃している様にしか見えないこんな攻撃がノルスタインに効く筈が無い。源太は竜賀の様子を見てそう感じた。源太は最初に湧き上がった怒りの感情が徐々に鎮まっていき、二人の戦いを冷静に見極められるくらいになってきた。
源太(今、竜がこんなに攻撃してるのに全然当たってない…不意打ち、見せかけ技、正面からの連続攻撃…ここまでやってても攻撃が通じてない…けど)
しばらく竜賀が攻撃している様子を見て源太は気付いた。
源太(さっきから余裕そうな顔してる割に全然、竜に攻撃を仕掛けようとしてねぇ…ってことはコイツは攻撃を仕掛けてる間はあの“波動の盾”ってのが使えないってことだ…それにもしかしたら)
竜賀の強烈な攻撃に気が向いている間に源太は如意棒を取り出し、ノルスタインに見えない様に移動した。
ノルスタイン「幾らこ〜〜げきしよーーと♬この波動の盾を破ることはで〜〜きませーーん♪」
源太はノルスタインの背後で如意棒の先端を向ける様に構え狙いを定めた。
源太(これで…どうだ!!)
ビヨーーン!!
源太の如意棒が猛スピードで伸びていき、ノルスタインの背中に当たった。
ドン!!
如意棒の先端はノルスタインの背中には直撃していなかった。背中と如意棒の間に発生していた波動の盾によって防がれていたのだ。しかし源太はその様子を見てニヤリと笑った。
源太「今だ!!竜!!」
その瞬間ノルスタインの正面から刀で斬撃を放っていた竜賀の一撃が、なんとノルスタインの胴体に大きな傷を付けた。
竜賀「!!?」
ノルスタイン「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!??」
これまで身体に傷一つ付かなかったノルスタインが大きなダメージを自分が喰らったのを驚愕していた。
竜賀「攻撃が通った…?」
源太「やっぱりそうか…」
竜賀「源太…」
源太「さっきコイツの背中に如意棒を当ててたんだが、波動の盾がそれを防いでたんだ」
竜賀「何?」
源太「どうやらコイツの波動の盾は一つの攻撃しか防げないってことだ」
竜賀「……」
源太「攻撃をしている最中と別の攻撃を防いでいる時にあの波動の盾は機能しないってことだぞ竜!!」
竜賀「もしかしてそのヒントを俺に教える為に加勢したのか…?」
源太「こういう卑怯な手を使ってくるのはお互い様だからな!但し!お前の武士道に免じて今回限りだぜ親友!そのクソ野郎をさっさとぶっ倒せ!!」
そう言い残すとまるで竜賀の怒りが爆発する前に逃げ出す様にマーカスとエリックの遺体を担いで道を進んで行った。
竜賀「……へっ…礼は言わねぇからな…!」
ノルスタイン「はぁ…!はぁ…!はぁ…!」
胸から腹にかけての大きな切り傷から血を流しているノルスタインは痛みを堪えようと必死に呼吸していた。竜賀はノルスタインの顔に刀の切先を向けた。
竜賀「…覚悟しろよ…つってもテメェもこれまで何人も殺してきたんだからできてんだろ?」
ノルスタイン「…随分…久しぶりだな」
竜賀「?」
ノルスタイン「擦り傷とか…火傷くらいなら今まで何度もあったが…ここまで大傷を負わせられる羽目になるとはな…」
竜賀「さっきまでのムカつく喋り方が無くなっちまってんぞ」
ノルスタイン「…この私に…こんな醜い傷を負わせたのが……こんな餓鬼だと?」
竜賀「………」
竜賀は何か嫌な予感が過ぎり、右手から新しい伽鍵礼符を取り出した。
ノルスタイン「舐めんなよ糞餓鬼があああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
ノルスタインが絶叫しながら、別の伽鍵礼符を取り出し伽霊能力を発動した。すると耳を劈く様な超音波が周囲に響き渡った。
キイイイイイイイイイィィィィィィィィィン!!!!
ノルスタインの体全体から発せられている超音波が竜賀の耳に入ったかと思いきや、竜賀は強烈な目眩に襲われた。竜賀は刀を地面に落とし頭を抱え込む様に地面に蹲った。
竜賀「〜〜〜っあぁ!!」
ノルスタインは超音波を10秒程流し続けた後、額から汗を浮かべながら竜賀に近付いてきた。
ノルスタイン「はぁ…はぁ…はぁ……こんな能力まで使うことになるとはなぁ…」
竜賀は頭を抱えながらも左手は刀を必死に探していた。ノルスタインはそれを滑稽なものを見るかの様な目でしばらく眺めていた。
ノルスタイン「この“脳壊波”は一定の距離内で音を聞いた生物の脳を破壊する音波だ…この至近距離で喰らえばお前の脳みそはとっくに再起不能の状態だろうぜ…!!」
竜賀「かは…!!」
ノルスタイン「ふん…この私をここまで怒らせたのは人生でお前が初めてだぜ糞餓鬼」
ノルスタインは竜賀の刀を足で、手の届かない所まで蹴飛ばした。そして竜賀の頭を足で上から踏みつけた。
竜賀「ぐ…!!」
ノルスタイン「良い気味だな?…死ぬ前にこれだけは教えといてやる…力の差の前ではどうしようもない時には逃げ続ける…弱者が戦場で生き残るにはそれしかねぇんだよ…勇敢さなんざ何の役にも立ちやしねぇんだってことをな」
竜賀の頭を何度もグリグリと踏みにじるように足を動かしてノルスタインは竜賀は言い放った。ノルスタインの目は怒りと同時にどこかやり切れない悔しさが浮かんでいた。
ノルスタイン「夢とか!!希望だの!!未来だの!!鬱陶しいだけなんだよ!!そんなもん結局全部一部の人間が自分達が得する為に他の人間を騙す幻なんだよ!!」
ガシッ!!
するとノルスタインの足首を竜賀が掴んだ。ノルスタインはまさかという驚いた表情を浮かべた。
竜賀「やっと…捕まえたぞ…」
ノルスタイン「なっ…まさか…“脳壊波”をあの至近距離で喰らって効いてなかったのか!?」
竜賀「何言ってんだよ…ちょっとは喰らったっつーの…」
すると竜賀は掴んだ脚を上に引き上げ、ノルスタインをひっくり返した。ノルスタインは完全に体勢を崩され地面に仰向けに倒れてしまった。今度は竜賀ノルスタインを見下ろす構図になってしまった。
竜賀「足元を掬われるってのはこういうことを言うんだろうな…」
竜賀はノルスタインの両腕を踏みつけ身体に馬乗り状態になり、今度は竜賀がマウントを完全に取っていた。
ノルスタイン「何故…私の攻撃に耐えたんだ!?」
竜賀「ああ…これだよ…」
すると竜賀は1枚の伽鍵礼符を取り出し、ノルスタインに見せた。それは竜賀とメリアンがさっき戦っていた時に覚醒した新しい礼符であった。
竜賀「霊段階4…“竜ノ鱗”だよ…コイツは俺に対する攻撃や厄災から、俺の身を守ってくれる礼符だってさ」
ノルスタイン「まさか…それを発動して私の攻撃を防いでいたってのか…!!」
竜賀「否…発動したのはアンタの超音波が聞こえるより僅か後だったから、俺の耳に超音波は少し届いてダメージを喰らったよ…今も少し頭クラクラするしな…」
ノルスタイン「…そんな防御系の伽霊能力をここまで隠していたのか…」
竜賀「隠していたって言うよりかは…さっき覚醒したばっかりの能力だったから、得体の知れない能力を発動させるのが恐かったんだよ」
ノルスタイン「お前は私を憎んでいるんじゃないのか?」
竜賀「さっきまでは殺そうと思ってたよ…本気でな…でも」
竜賀は落ち着いた口調でノルスタインに語りかけた。
竜賀「源太が勝手にアンタとの戦いにチャチャ入れてきて、アンタにこんな大怪我を負わせた時から……何か殺す気が失せたよ」
竜賀は右手でノルスタインの首を押さえ付け、左手を振り挙げ拳を握った。
竜賀「アンタもこれに懲りたら、ブルガント団なんか辞めて…もう一回やり直せよ…俺のお爺ちゃんが言ってたんだけど…人生本気でやり直すのに遅いはないってな」
ゴン!!
竜賀は手加減したパンチをノルスタインの顎に叩き込んで、気絶させた。ノルスタインが動かなくなったのを見た竜賀はゆっくり起き上がり、地面に転がっていた刀を拾い上げ、洞窟の外に出ようと歩いていった。
竜賀「……源太の奴…勝手に勝負に横から割って入ってきやがって…帰ったら一発しばいてやる…」
しばらく歩いていると暗い洞窟に不釣り合いな豪華な装飾が施されていた大きな扉が松明の灯りに照らされていたのが視界に入ってきた。
竜賀「何だ?この扉…」
竜賀はその扉の前まで来ると、左手で扉の取手を握りゆっくり引いた。
そこはさっきまでの薄暗さがどこにもない金貨、銀貨、銅貨が壁やショーケースの中に飾られていた執務室の様な場所であった。キラキラ輝く硬貨に目が行きがちな中、よく竜賀はもっと周囲をちゃんと見ると緑色のインクで数字と肖像画が描かれていた紙を見つけた。竜賀はそれに近付いてよく見てた。
竜賀「これって……ドル札??…それにこっちは…ユーロ札??…」
すると竜賀は他に何かないかとキョロキョロしていると、随分久しぶりに目にする漢字で描かれた紙幣が目に入った。
竜賀「これ…日本銀行発行券??1万円札か…!!?」
アレックス「見たな…!!」
突然聞こえてきた男の声に竜賀は飛び上がる様に振り返った。そこには高身長のスーツ男が立っていた。オールバックの髪に片眼鏡を左眼にかけたダンディな男だった。
竜賀「アンタは?」
アレックス「…アレックス・ブルガント…と言えば解るか?」
竜賀「!!?…つまりアンタがブルガント団のリーダーって認識で良いんだな?」
アレックス「ああ……まったく…お前らにはつくづくイライラさせられたよ…ここまで作戦を台無しにされた俺の感情がお前らに理解できるか?」
竜賀「ああ…ここの牢獄の中にいたこの都市の住人を解き放ったことか?」
アレックス「それだけじゃねぇんだよ…さっきからウイリー・べドナーと連絡が取れなくなっちまってんだよ…何か知ってるか小僧?」
竜賀「さっき見た時その男は自分の仲間のマクシム連合の一員を殺してたよ……大切な仲間に手をかけるなんて最低だっつって俺の親父が1対1で勝負してる筈だぜ…まぁ親父はクソつえぇから 勝ってるだろうけどな」
アレックス「一つ間違ってるな…ウイリーはマクシム連合に確かに所属してるが元々は俺達ブルガント団に忠誠を誓っているんだ…だからマクシム連合の連中を殺すのは奴にとっては裏切りではなく、任務を忠実に遂行しているだけに過ぎない」
竜賀「最初から殺す為に仲間になったフリをしてただけだってのか?」
アレックス「作戦を遂行する為には長い準備が必要なことだってあるんだよ」
竜賀「その長い時間…ウイリー・べドナーのことを本当の仲間だって信じてた奴らが何人もいたんだぞ…」
アレックス「そう思わせなきゃ計画に支障をきたすからな…ウイリーは実に完璧に俺達の要望通りの行動を取り続けてくれたよ……アイツの生き様を世界中が否定しても俺達だけは肯定し続ける」
竜賀「自分達にとって都合が良い時だけな!」
アレックス「……君はまだ子供だね?誰かにとって都合の良い時って言うのは、別の関係の無い誰かに不都合な皺寄せがいっているってことだよ…」
竜賀「は?」
アレックス「君が幸せな時…世界全体も同じ幸せに包まれているとでも思っているんじゃないだろうね?だとしたらそれはとんだ思い違いだよ」
竜賀「何が思い違ってるってんだ?」
アレックス「君は今自分の目に映っている光景だけが“世界の全て”だと思っているのかもしれないが、それは大きな間違いだ…君の見えないところで平凡な日常を送っている者、幸せな毎日を堪能している者、地獄の様な時間を過ごしている者…そういう人間がいるとは考えたことはないのか?」
竜賀「…剣道の試合で勝った時にはしゃぎ過ぎると親父がそういうことで叱ってくるのはよくあったよ」
アレックス「そういうことだよ……勝者がいるってことは、その反面敗者が生まれる…このアメリカと言う国ではそれが特に顕著だ…」
竜賀「また資本主義のお話か」
アレックス「この国は資本主義によって世界の中でも圧倒的な力を持った経済大国となった…しかし、その為に生まれた人々の能力の格差や貧富の差は恐ろしい程広がってしまった」
竜賀「その格差を無くす為に革命を起こすってのか?…そんなことできんのかよ…こんな金ピカの石コロと紙切れの山でよ?」
アレックス「人間の歴史を見ていれば分かる…人間の社会は結局のところ金が全てだ…適能者だろうが無適能者だろうが…世の中は金が支配する世界だ…大量の贋札を作って世間にばら撒けばハイパーインフレを起こすことができる…すでに実証してきたからな」
竜賀「一つの国を実験台に経済混乱を引き起こして…次はこの国を経済混乱で破壊するってのか?」
アレックス「その通りだよ…経済テロを引き起こせば軍事力など簡単に崩せるからね」
竜賀「そんなこと…絶対にさせねぇ…テメェらの下らねぇ反乱もここで止めてやるよ…!!」
アレックス「……君も分からない子だね?」
竜賀「アンタらに事情があるのは分かったよ…でも…それがこのシカゴの都市を愛し、懸命に生きている人達の人生まで脅かして良い理由になって欲しくない…それが俺がこの都市を守たい理由だ!!」
アレックス「なるほど?…あくまで君自身の考え方の押し付けではなく、君の欲望であると…」
竜賀「人が動く理由なんて大抵は欲望しかないだろ…理由や考えなんていつも後付けだ」
アレックス「ククク…それもそうか……君の様に“熱”の有る者を見ると…つい自分を誤魔化そうって頭が働いてしまうよ…」
竜賀「アンタにもあるんだろ?ここまでやるのに下らない理由付けや言い訳なんかを取っ払った本当の欲望ってのがさ…」
アレックス「…フン…その通りだ……この国を正してやろうだの…この国のシステムを作り変えようだの…所詮は言い訳だ…俺のやろうとしていることに、あの連中が勝手に着いて来ただけのことさ」
竜賀「…アンタのカリスマ性ってのに魅せられてか?」
アレックス「俺はただ『自分より上に立っている奴が気に喰わねぇ』『気に喰わねぇから叩き潰して俺が上に立っていてぇ』…そんな単純な獣の本能みてぇなことしか考えられない…そんな男だよ」
竜賀「…充分だよ」
アレックス「?」
竜賀「俺もアンタのやってることは気に喰わねぇな…だからアンタを倒したい…いつだって戦いが始まる切掛けなんざシンプルなモンだよ」
アレックス「だったら…そうしてみろ……もっとも…その前にお前はお陀仏になるかもしれんがな…」
竜賀「何?」
ドン!!
竜賀「ガハ!!?」
竜賀は突如背後から来た衝撃によって身体を吹っ飛ばされた。受身も取れず壁に叩き付けられた竜賀は身体全身に広がる痛みに悶絶していた。辛うじて片目を薄く明け、状況を見るとそこにはノルスタインが立っていた。
ノルスタイン「クッッソガキが…!!舐めやがって…!!」
アレックス「…ククク……完全に油断したな…さっき倒したからもう襲って来ないとでも思っていたのか小僧?」
竜賀が倒れている所にアレックスが近付いて来ると竜賀の髪を鷲掴みにし、頭を無理矢理引き上げた。
アレックス「どんだけ情けをかけようが、どんだけ正々堂々と戦おうが…負ければ自分も周りも守れない…だから倒した敵はもう二度と立ち上げれねぇように息の根を止めておく」
竜賀「ぐ…!!」
アレックス「分からねぇなら教えておいてやるよ小僧…自分にとってかけがえのない大切なモンを守る為に情け容赦無く他人を殺す…!それが戦いだ!!それが嫌だってんなら最初から守るべきモンなんざ作るんじゃねぇよ!!」
竜賀「〜〜〜!!!」
アレックス「これが戦いだ…お行儀の良いスポーツと勘違いしてる奴が先に死ぬ理不尽な現実なんだよ」
アレックスは空いた方の手で竜賀の首を掴み、宙に吊り上げた。
竜賀「ぐうう…!!」
アレックス「……死ね」
???「させねぇよ!!!」
ドン!!!
その時部屋の入口から巨大な銃声が響き渡った。直後に竜賀の首を掴んでいたアレックスの手がパッと離れた。
アレックス「これはこれは…」
竜賀「レスリー…コーナーさん…?」
レスリー「アレックス・ブルガント!!通貨偽造、及びブルガント団による数々の犯行により!貴様ここで連行させてもらう!!」
レスリーはそう言うと持っていた銃をアレックスとノルスタインの二人に交互に向けながら近付いてきた。
アレックス「ここの戦闘部隊の隊長を務めている君の情報を俺が掴んでいないとでも思っているのか?君の弱点ぐらい知り尽くしているんだがね」
レスリー「そんなことが…何の罪も無い善良な市民をここまで危険に晒したお前達を捕まえるのを止める理由になるとでも思っているのか?悪党が繁栄する未来など絶対にあってはならない!!」
アレックス「下らない正義論だな。もっとマシな答えを期待していたんだがな」
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