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#34 LOOP BLAKE 第2章 腐れ縁 第21話「卑怯も戦いの内」

竜賀りゅうがゆるさねぇ……絶対ぜったいゆるさねぇぞテメェ!!」

 藍川あいかわ竜賀りゅうがうごかなくなってしまったエリック・ブラックと、それをかかえてなみだながすマーカス・ジャッジをて、からだ内側うちがわからあふいかりをおさえられなかった。そしてエリックのをせせらわらっているソルマン・ノルスタインをにらけた。

ノルスタイン「ン〜〜〜フッフッフッフッフ♪…どーーしましたか?♫他人ひと〜〜ぬのははじめてまーーしたか?♪」

源太げんた「いや…何回なんかいたさ……でもな…こんなにむねけられた気分きぶんになんのは…はじめてだ」

竜賀りゅうがおれもだ源太げんた…でもおれ人生じんせいで…」

 竜賀りゅうがかたなをゆっくり両手りょうてにぎめた。しかし、かたなつかからギリギリとおとこえてきそうなほど竜賀りゅうがつよかたなにぎった。こえにはいままでかんじたことのないほどいかりがっていた。

竜賀りゅうが「ここまでひところしたいとおもったことはじめてだ…」

 竜賀りゅうがはそれだけうといきなりノルスタインのふところんで、かたなげるかまえをった。しかし、ノルスタインは平気へいきかおでそれをながめていた。

ノルスタイン「りませんね〜〜♫」

 しかし自分じぶんかおねらって斬撃ざんげきんでるとおもっていたのとは裏腹うらはらに、竜賀りゅうが身体からだ高速こうそく回転かいてんさせながらノルスタインの背後はいごまわんだ。

ノルスタイン「!?」

 背後はいごから竜賀りゅうがけんをノルスタインの後頭部こうとうぶ目掛めがけて背面はいめん横薙よこなぎでんだ。

  ガキィィン!!

 しかしこれもまた竜賀りゅうが斬撃ざんげき完全かんぜん波動はどうかたまりめていた。

ノルスタイン「無駄ムダ無駄ムダ無駄ムダ〜〜〜♬そんな攻撃こうげきでーーはこの波動はどうの〜〜たてまえではまーーったくの無意味むいみで〜〜す♩」

竜賀りゅうが「だったら連続れんぞく攻撃こうげきだ!!」

 竜賀りゅうが今度こんどはノルスタインのあたま目掛めがけて唐竹割からたけわりをんだ。

ノルスタイン「死角しかくへ〜〜の攻撃こうげきーーまらな〜〜いとかーーった途端とたん、ヤケになってしょ〜〜めん突破とっぱでーーすか〜〜?♬まーーだまだ子供こどもで〜〜すねーー♬」

 竜賀りゅうが正気しょうきうしなったかとおもえるほど連続れんぞく攻撃こうげき真正面まっしょうめんからノルスタインに仕掛しかけた。しかしそれらの攻撃こうげきすべてがことごと波動はどうたてによる全方位ぜんほうい防御ガードふせがれていた。

竜賀りゅうが「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 はたかられば闇雲やみくも攻撃こうげきしているようにしかえないこんな攻撃こうげきがノルスタインにはずい。源太げんた竜賀りゅうが様子ようすてそうかんじた。源太げんた最初さいしょがったいかりの感情かんじょう徐々じょじょしずまっていき、二人ふたりたたかいを冷静れいせい見極みきわめられるくらいになってきた。

源太げんたいまりゅうがこんなに攻撃こうげきしてるのに全然ぜんぜんたってない…不意打ふいうち、見せかけ技フェイント正面しょうめんからの連続れんぞく攻撃こうげき…ここまでやってても攻撃こうげきつうじてない…けど)

 しばらく竜賀りゅうが攻撃こうげきしている様子ようす源太げんた気付きづいた。

源太げんた(さっきから余裕よゆうそうなかおしてるわり全然ぜんぜんりゅう攻撃こうげき仕掛しかけようとしてねぇ…ってことはコイツは攻撃こうげき仕掛しかけてるあいだはあの“波動はどうたて”ってのが使つかえないってことだ…それにもしかしたら)

 竜賀りゅうが強烈きょうれつ攻撃こうげきいているあいだ源太げんた如意棒にょいぼうし、ノルスタインにえないよう移動いどうした。

ノルスタイン「いくらこ〜〜げきしよーーと♬この波動はどうたてやぶることはで〜〜きませーーん♪」

 源太げんたはノルスタインの背後はいご如意棒にょいぼう先端せんたんけるようかまねらいをさだめた。

源太げんた(これで…どうだ!!)

   ビヨーーン!!

 源太げんた如意棒にょいぼうもうスピードでびていき、ノルスタインの背中せなかたった。

  ドン!!

 如意棒にょいぼう先端せんたんはノルスタインの背中せなかには直撃ちょくげきしていなかった。背中せなか如意棒にょいぼうあいだ発生はっせいしていた波動はどうたてによってふせがれていたのだ。しかし源太げんたはその様子ようすてニヤリとわらった。

源太げんたいまだ!!りゅう!!」

 その瞬間しゅんかんノルスタインの正面しょうめんからかたな斬撃ざんげきはなっていた竜賀りゅうが一撃いちげきが、なんとノルスタインの胴体どうたいおおきなキズけた。

竜賀りゅうが「!!?」

ノルスタイン「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!??」

 これまで身体からだキズひとかなかったノルスタインがおおきなダメージを自分じぶんらったのを驚愕きょうがくしていた。

竜賀りゅうが攻撃こうげきとおった…?」

源太げんた「やっぱりそうか…」

竜賀りゅうが源太げんた…」

源太げんた「さっきコイツの背中せなか如意棒にょいぼうててたんだが、波動はどうたてがそれをふせいでたんだ」

竜賀りゅうがなに?」

源太げんた「どうやらコイツの波動はどうたてひとつの攻撃こうげきしかふせげないってことだ」

竜賀りゅうが「……」

源太げんた攻撃こうげきをしている最中さいちゅうべつ攻撃こうげきふせいでいるときにあの波動はどうたて機能きのうしないってことだぞりゅう!!」

竜賀りゅうが「もしかしてそのヒントをおれおしえるため加勢かせいしたのか…?」

源太げんた「こういう卑怯ひきょう使つかってくるのはおたがさまだからな!ただし!おまえ武士道ぶしどうめんじて今回こんかいかぎりだぜ親友しんゆう!そのクソ野郎ヤロウをさっさとぶったおせ!!」

 そうのこすとまるで竜賀りゅうがいかりが爆発ばくはつするまえようにマーカスとエリックの遺体いたいかついでみちすすんでった。

竜賀りゅうが「……へっ…れいわねぇからな…!」

ノルスタイン「はぁ…!はぁ…!はぁ…!」

 むねからはらにかけてのおおきなきずからながしているノルスタインはいたみをこらえようと必死ひっし呼吸こきゅうしていた。竜賀りゅうがはノルスタインのかおかたな切先きっさきけた。

竜賀りゅうが「…覚悟かくごしろよ…つってもテメェもこれまで何人なんにんころしてきたんだからできてんだろ?」

ノルスタイン「…随分ずいぶんひさしぶりだな」

竜賀りゅうが「?」

ノルスタイン「かすきずとか…火傷やけどくらいならいままで何度なんどもあったが…ここまで大傷おおきずわせられる羽目ハメになるとはな…」

竜賀りゅうが「さっきまでのムカつくしゃべかたくなっちまってんぞ」

ノルスタイン「…このワタクシに…こんなみにくキズわせたのが……こんな餓鬼がきだと?」

竜賀りゅうが「………」

 竜賀りゅうがなにいや予感よかんぎり、右手みぎてからあたらしい伽鍵礼符キーカードした。

ノルスタイン「めんなよクソ餓鬼がきがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 ノルスタインが絶叫ぜっきょうしながら、べつ伽鍵礼符キーカード伽霊能力ギアルスキル発動はつどうした。するとみみつんざよう超音波ちょうおんぱ周囲しゅういひびわたった。

 キイイイイイイイイイィィィィィィィィィン!!!!

 ノルスタインのからだ全体ぜんたいからはっせられている超音波ちょうおんぱ竜賀りゅうがみみはいったかとおもいきや、竜賀りゅうが強烈きょうれつ目眩めまいおそわれた。竜賀りゅうがかたな地面じめんとしあたまかかよう地面じめんうずくまった。

竜賀りゅうが「〜〜〜っあぁ!!」

 ノルスタインは超音波ちょうおんぱを10びょうほどながつづけたあとひたいからあせかべながら竜賀りゅうが近付ちかづいてきた。

ノルスタイン「はぁ…はぁ…はぁ……こんな能力チカラまで使つかうことになるとはなぁ…」

竜賀りゅうがあたまかかえながらも左手ひだりてかたな必死ひっしさがしていた。ノルスタインはそれを滑稽こっけいなものをるかのようでしばらくながめていた。

ノルスタイン「この“脳壊波ブレーンプレス”は一定いってい距離きょりないおといた生物せいぶつのう破壊はかいする音波おんぱだ…この至近しきん距離きょりらえばおまえのうみそはとっくに再起不能さいきふのう状態じょうたいだろうぜ…!!」

竜賀りゅうが「かは…!!」

ノルスタイン「ふん…このワタクシをここまでおこらせたのは人生じんせいでおまえはじめてだぜクソ餓鬼がき

 ノルスタインは竜賀りゅうがかたなあしで、とどかないところまで蹴飛けとばした。そして竜賀りゅうがあたまあしうえからみつけた。

竜賀りゅうが「ぐ…!!」

ノルスタイン「気味きみだな?…まえにこれだけはおしえといてやる…ちからまえではどうしようもないときにはつづける…弱者じゃくしゃ戦場せんじょうのこるにはそれしかねぇんだよ…勇敢ゆうかんさなんざなんやくにもちやしねぇんだってことをな」

 竜賀りゅうがあたま何度なんどもグリグリとみにじるようにあしうごかしてノルスタインは竜賀りゅうがはなった。ノルスタインのいかりと同時どうじにどこかやりれないくやしさがかんでいた。

ノルスタイン「ゆめとか!!希望きぼうだの!!未来みらいだの!!鬱陶うっとうしいだけなんだよ!!そんなもん結局けっきょく全部ぜんぶ一部いちぶ人間にんげん自分じぶんたちとくするためほか人間にんげんだままぼろしなんだよ!!」

   ガシッ!!

 するとノルスタインの足首あしくび竜賀りゅうがつかんだ。ノルスタインはまさかというおどろいた表情ひょうじょうかべた。

竜賀りゅうが「やっと…つかまえたぞ…」

ノルスタイン「なっ…まさか…“脳壊波ブレーンプレス”をあの至近距離しきんきょりらっていてなかったのか!?」

竜賀りゅうがなにってんだよ…ちょっとはらったっつーの…」

 すると竜賀りゅうがつかんだあしうえげ、ノルスタインをひっくりかえした。ノルスタインは完全かんぜん体勢たいせいくずされ地面じめん仰向あおむけにたおれてしまった。今度こんど竜賀りゅうがノルスタインを見下みおろす構図こうずになってしまった。

竜賀りゅうが足元あしもとすくわれるってのはこういうことをうんだろうな…」

 竜賀りゅうがはノルスタインの両腕りょううでみつけ身体からだ馬乗うまの状態じょうたいになり、今度こんど竜賀りゅうががマウントを完全かんぜんっていた。

ノルスタイン「何故なぜワタクシ攻撃こうげきえたんだ!?」

竜賀りゅうが「ああ…これだよ…」

 すると竜賀りゅうがは1まい伽鍵礼符キーカードし、ノルスタインにせた。それは竜賀りゅうがとメリアンがさっきたたかっていたとき覚醒かくせいしたあたらしい礼符カードであった。

竜賀りゅうが霊段階ステージ4フォー…“竜ノ鱗りゅうのうろこ”だよ…コイツはおれたいする攻撃こうげき厄災やくさいから、おれまもってくれる礼符カードだってさ」

ノルスタイン「まさか…それを発動はつどうしてワタクシ攻撃こうげきふせいでいたってのか…!!」

竜賀りゅうがいや発動はつどうしたのはアンタの超音波ちょうおんぱこえるよりわずあとだったから、おれみみ超音波ちょうおんぱすことどいてダメージをらったよ…いますこあたまクラクラするしな…」

ノルスタイン「…そんな防御ぼうぎょけい伽霊能力ギアルスキルをここまでかくしていたのか…」

竜賀りゅうがかくしていたってうよりかは…さっき覚醒かくせいしたばっかりの能力チカラだったから、得体えたいれない能力チカラ発動はつどうさせるのがこわかったんだよ」

ノルスタイン「おまえワタクシにくんでいるんじゃないのか?」

竜賀りゅうが「さっきまではころそうとおもってたよ…本気ほんきでな…でも」

 竜賀りゅうがいた口調くちょうでノルスタインにかたりかけた。

竜賀りゅうが源太げんた勝手かってにアンタとのたたかいにチャチャれてきて、アンタにこんな大怪我おおけがわせたときから……なんころせたよ」

 竜賀りゅうが右手みぎてでノルスタインのクビさえけ、左手ひだりてこぶしにぎった。

竜賀りゅうが「アンタもこれにりたら、ブルガントだんなんかめて…もう一回いっかいやりなおせよ…おれのおじいちゃんがってたんだけど…人生じんせい本気ほんきでやりなおすのにおそいはないってな」

  ゴン!!

 竜賀りゅうが手加減てかげんしたパンチをノルスタインのアゴたたんで、気絶きぜつさせた。ノルスタインがうごかなくなったのを竜賀りゅうがはゆっくりがり、地面じめんころがっていたかたなひろげ、洞窟どうくつそとようとあるいていった。

竜賀りゅうが「……源太げんたヤツ勝手かって勝負しょうぶよこからってはいってきやがって…かえったら一発いっぱつしばいてやる…」


 しばらくあるいているとくら洞窟どうくつ不釣ふついな豪華ごうか装飾そうしょくほどされていたおおきなとびら松明たいまつあかりにらされていたのが視界しかいはいってきた。

竜賀りゅうがなんだ?このとびら…」

 竜賀りゅうがはそのとびらまえまでると、左手ひだりてとびら取手とってにぎりゆっくりいた。

 そこはさっきまでの薄暗うすぐらさがどこにもない金貨きんか銀貨ぎんか銅貨どうかかべやショーケースのなかかざられていた執務室しつむしつよう場所ばしょであった。キラキラかがや硬貨こうかきがちななか、よく竜賀りゅうがはもっと周囲しゅういをちゃんとると緑色みどりいろのインクで数字すうじ肖像画しょうぞうがかれていたかみつけた。竜賀りゅうがはそれに近付ちかづいてよくてた。

竜賀りゅうが「これって……ドルさつ??…それにこっちは…ユーロさつ??…」

 すると竜賀りゅうがほかなにかないかとキョロキョロしていると、随分ずいぶんひさしぶりににする漢字かんじかれた紙幣しへいはいった。

竜賀りゅうが「これ…日本にほん銀行ぎんこう発行券はっこうけん??1万円まんえんさつか…!!?」

アレックス「たな…!!」

 突然とつぜんこえてきたおとここえ竜賀りゅうががるようかえった。そこには高身長こうしんちょうのスーツおとこっていた。オールバックのかみ片眼鏡かためがね左眼ひだりめにかけたダンディなおとこだった。

竜賀りゅうが「アンタは?」

アレックス「…アレックス・ブルガント…とえばわかるか?」

竜賀りゅうが「!!?…つまりアンタがブルガントだんのリーダーって認識にんしきいんだな?」

アレックス「ああ……まったく…おまえらにはつくづくイライラさせられたよ…ここまで作戦さくせん台無だいなしにされたおれ感情かんじょうがおまえらに理解りかいできるか?」

竜賀りゅうが「ああ…ここの牢獄ろうごくなかにいたこの都市まち住人じゅうにんはなったことか?」

アレックス「それだけじゃねぇんだよ…さっきからウイリー・べドナーと連絡れんらくれなくなっちまってんだよ…なにってるか小僧こぞう?」

竜賀りゅうが「さっきときそのおとこ自分じぶん仲間なかまのマクシム連合れんごう一員いちいんころしてたよ……大切たいせつ仲間なかまをかけるなんて最低さいていだっつっておれ親父おやじ1対1サシ勝負しょうぶしてるはずだぜ…まぁ親父おやじはクソつえぇから ってるだろうけどな」

アレックス「ひと間違まちがってるな…ウイリーはマクシム連合れんごうたしかに所属しょぞくしてるが元々もともと俺達おれたちブルガントだん忠誠ちゅうせいちかっているんだ…だからマクシム連合れんごう連中れんちゅうころすのはヤツにとっては裏切うらぎりではなく、任務にんむ忠実ちゅうじつ遂行すいこうしているだけにぎない」

竜賀りゅうが最初さいしょからころため仲間なかまになったフリをしてただけだってのか?」

アレックス「作戦さくせん遂行すいこうするためにはなが準備じゅんび必要ひつようなことだってあるんだよ」

竜賀りゅうが「そのなが時間じかん…ウイリー・べドナーのことを本当ほんとう仲間なかまだってしんじてたヤツらが何人なんにんもいたんだぞ…」

アレックス「そうおもわせなきゃ計画けいかく支障ししょうをきたすからな…ウイリーはじつ完璧かんぺき俺達おれたち要望ようぼうどおりの行動こうどうつづけてくれたよ……アイツのざま世界せかいじゅう否定ひていしても俺達おれたちだけは肯定こうていつづける」

竜賀りゅうが自分じぶんたちにとって都合つごうときだけな!」

アレックス「……きみはまだ子供こどもだね?だれかにとって都合つごうときってうのは、べつ関係かんけいだれかに不都合ふつごう皺寄しわよせがいっているってことだよ…」

竜賀りゅうが「は?」

アレックス「きみしあわせなとき世界せかい全体ぜんたいおなしあわせにつつまれているとでもおもっているんじゃないだろうね?だとしたらそれはとんだおもちがいだよ」

竜賀りゅうがなにおもちがってるってんだ?」

アレックス「きみいま自分じぶんうつっている光景こうけいだけが“世界せかいすべて”だとおもっているのかもしれないが、それはおおきな間違まちがいだ…きみえないところで平凡へいぼん日常にちじょうおくっているものしあわせな毎日まいにち堪能たんのうしているもの地獄じごくよう時間じかんごしているもの…そういう人間にんげんがいるとはかんがえたことはないのか?」

竜賀りゅうが「…剣道けんどう試合しあいったときにはしゃぎぎると親父おやじがそういうことでしかってくるのはよくあったよ」

アレックス「そういうことだよ……勝者しょうしゃがいるってことは、その反面はんめん敗者はいしゃまれる…このアメリカとくにではそれがとく顕著けんちょだ…」

竜賀りゅうが「また資本主義しほんしゅぎのおはなしか」

アレックス「このくに資本主義しほんしゅぎによって世界せかいなかでも圧倒的あっとうてきちからった経済けいざい大国たいこくとなった…しかし、そのためまれた人々ひとびと能力のうりょく格差かくさ貧富ひんぷおそろしいほどひろがってしまった」

竜賀りゅうが「その格差かくさくすため革命かくめいこすってのか?…そんなことできんのかよ…こんなきんピカのいしコロと紙切かみきれのやまでよ?」

アレックス「人間にんげん歴史れきしていればかる…人間にんげん社会しゃかい結局けっきょくのところかねすべてだ…適能者デュナミストだろうが無適能者アンチステージだろうが…なかかね支配しはいする世界せかいだ…大量たいりょう贋札にせさつつくって世間せけんにばらけばハイパーインフレをこすことができる…すでに実証じっしょうしてきたからな」

竜賀りゅうがひとつのくに実験台じっけんだい経済けいざい混乱こんらんこして…つぎはこのくに経済けいざい混乱こんらん破壊はかいするってのか?」

アレックス「そのとおりだよ…経済けいざいテロをこせば軍事力ぐんじりょくなど簡単かんたんくずせるからね」

竜賀りゅうが「そんなこと…絶対ぜったいにさせねぇ…テメェらのくだらねぇ反乱はんらんもここでめてやるよ…!!」

アレックス「……きみからないだね?」

竜賀りゅうが「アンタらに事情じじょうがあるのはかったよ…でも…それがこのシカゴの都市まちあいし、懸命けんめいきている人達ひとたち人生じんせいまでおびやかして理由りゆうになってしくない…それがおれがこの都市まちまもたい理由りゆうだ!!」

アレックス「なるほど?…あくまできみ自身じしんかんがかたけではなく、きみ欲望よくぼうであると…」

竜賀りゅうがひとうご理由りゆうなんて大抵たいてい欲望よくぼうしかないだろ…理由りゆうかんがえなんていつも後付あとづけだ」

アレックス「ククク…それもそうか……きみように“ねつ”のものると…つい自分じぶん誤魔化ごまかそうってあたまはたらいてしまうよ…」

竜賀りゅうが「アンタにもあるんだろ?ここまでやるのにくだらない理由りゆうけやわけなんかをぱらった本当ほんとう欲望よくぼうってのがさ…」

アレックス「…フン…そのとおりだ……このくにただしてやろうだの…このくにのシステムをつくえようだの…所詮しょせんわけだ…おれのやろうとしていることに、あの連中れんちゅう勝手かっていてただけのことさ」

竜賀りゅうが「…アンタのカリスマせいってのにせられてか?」

アレックス「おれはただ『自分じぶんよりうえっているヤツわねぇ』『わねぇからたたつぶしておれうえっていてぇ』…そんな単純たんじゅんけもの本能ほんのうみてぇなことしかかんがえられない…そんなおとこだよ」

竜賀りゅうが「…充分じゅうぶんだよ」

アレックス「?」

竜賀りゅうがおれもアンタのやってることはわねぇな…だからアンタをたおしたい…いつだってたたかいがはじまる切掛きっかけなんざシンプルなモンだよ」

アレックス「だったら…そうしてみろ……もっとも…そのまえにおまえはお陀仏だぶつになるかもしれんがな…」

竜賀りゅうがなに?」

  ドン!!

竜賀りゅうが「ガハ!!?」

 竜賀りゅうが突如とつじょ背後はいごから衝撃しょうげきによって身体からだばされた。受身うけみれずかべたたけられた竜賀りゅうが身体からだ全身ぜんしんひろがるいたみに悶絶もんぜつしていた。かろうじて片目かためうすけ、状況じょうきょうるとそこにはノルスタインがっていた。

ノルスタイン「クッッソガキが…!!めやがって…!!」

アレックス「…ククク……完全かんぜん油断ゆだんしたな…さっきたおしたからもうおそってないとでもおもっていたのか小僧こぞう?」

 竜賀りゅうがたおれているところにアレックスが近付ちかづいてると竜賀りゅうがかみ鷲掴わしづかみにし、あたま無理矢理むりやりげた。

アレックス「どんだけなさけをかけようが、どんだけ正々堂々せいせいどうどうたたかおうが…ければ自分じぶんまわりもまもれない…だからたおしたてきはもう二度にどげれねぇようにいきめておく」

竜賀りゅうが「ぐ…!!」

アレックス「からねぇならおしえておいてやるよ小僧こぞう自分じぶんにとってかけがえのない大切たいせつなモンをまもためなさ容赦ようしゃ他人たにんころす…!それがたたかいだ!!それがいやだってんなら最初さいしょからまもるべきモンなんざつくるんじゃねぇよ!!」

竜賀りゅうが「〜〜〜!!!」

アレックス「これがたたかいだ…お行儀ぎょうぎいスポーツと勘違かんちがいしてるヤツさき理不尽りふじん現実げんじつなんだよ」

 アレックスはいたほう竜賀りゅうがクビつかみ、ちゅうげた。

竜賀りゅうが「ぐうう…!!」

アレックス「……ね」

???「させねぇよ!!!」

   ドン!!!

 そのとき部屋へや入口いりぐちから巨大きょだい銃声じゅうせいひびわたった。直後ちょくご竜賀りゅうがクビつかんでいたアレックスのがパッとはなれた。

アレックス「これはこれは…」

竜賀りゅうが「レスリー…コーナーさん…?」

レスリー「アレックス・ブルガント!!通貨つうか偽造ぎぞうおよびブルガントだんによる数々かずかず犯行はんこうにより!貴様キサマここで連行れんこうさせてもらう!!」

 レスリーはそううとっていたじゅうをアレックスとノルスタインの二人ふたり交互こうごけながら近付ちかづいてきた。

アレックス「ここの戦闘せんとう部隊ぶたい隊長たいちょうつとめているきみ情報じょうほうおれつかんでいないとでもおもっているのか?きみ弱点じゃくてんぐらいくしているんだがね」

レスリー「そんなことが…なんつみ善良ぜんりょう市民しみんをここまで危険きけんさらしたおまえたちつかまえるのをめる理由りゆうになるとでもおもっているのか?悪党あくとう繁栄はんえいする未来みらいなど絶対ぜったいにあってはならない!!」

アレックス「くだらない正義せいぎろんだな。もっとマシなこたえを期待きたいしていたんだがな」


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