見出し画像

#35 LOOP BLAKE 第2章 腐れ縁 第22話「ブルガント団のリーダー」

 数多かずおおくの偽造ぎぞう硬貨こうかかこまれ、シャンデリアのひかり反射はんしゃ黄金おうごんかがやかりが部屋へや全体ぜんたいらしていた。

 その部屋へや中心ちゅうしんたおれている少年しょうねん藍川あいかわ竜賀りゅうが。そしてそのよこっている二人ふたりおとこ、アレックス・ブルガントとソルマン・ノルスタイン。おとこじゅうけているレスリー・コーナー。

レスリー「まずはおまえたち逮捕たいほする!ウイリー・べドナーもと所長しょちょうとの関係かんけい取調とりしらしつでたっぷりかせてもらうからな!!」

アレックス「おまえ状況じょうきょうがよくわかっていないようだな…」

レスリー「なに?」

アレックス「いさましく一人ひとりんでたんだろうが、こっちは二人ふたり…そしておまえ一人ひとり…あとこっちには人質ひとじちまでいる」

レスリー「…ッ!!」

 アレックスは竜賀りゅうがからだあしみつけグリグリとさえつけてきた。

アレックス「こっちは作戦さくせん実行じっこうするためならどんな犠牲ぎせいいとわない覚悟かくごうごいている…だがおまえらはどうだ?こんな小僧こぞうまもらなきゃいけない。組織そしきのイメージをまもらなきゃいけない。都市まちまもらなきゃいけない。まももの多過おおすぎるおまえらマクシム連合れんごうにはしがらみってくさり身体からだいてんのがおれにはえるぜ?」

レスリー「ああ…そうだな…」

 レスリーはじゅう両手りょうてかまなおし、ねらいをさだめるようにアレックスを見据みすえた。

レスリー「それがおまえらと俺達おれたちかくちがいだ」

 その言葉ことばにアレックスとノルスタインは同時どうじまゆをピクリとうごかした。

レスリー「まももの多過おおすぎる?結構けっこうなことじゃねぇか!俺達おれたちはマクシム連合れんごう権限けんげん市民しみんからあずかっているなんだよ!おまえらみたいにだれからも期待きたいされていないヤツらと一緒いっしょにされたくないな」

ノルスタイン「!!?…んだと!?」

レスリー「俺達おれたちマクシム連合れんごう使命しめい市民しみん平和へいわ安全あんぜんまもることにある!おのれ自尊心プライドしめすことじゃない!!」

アレックス「だったら…その使命しめいとやら…まっとうしてみろ…」

 アレックスがうえげた瞬間しゅんかん周囲しゅういたな金具かなぐ硬貨コインがカタカタとおとててかびがりはじめた。

レスリー・竜賀りゅうが「「!?」」

 金具かなぐやネジがはずれていくと同時どうじ自分じぶんたちっていたかたなじゅうがひとりでにうごいたのにレスリーと竜賀りゅうがおどろいていた。

アレックス「おれまえではこんな金属きんぞく武器ぶき一切いっさい使つかえねぇ」

竜賀りゅうが磁力じりょくか!?」

レスリー「これがうわさくブルガントの磁気じき能力のうりょくか?」

アレックス「残念ざんねんだったな?折角せっかく霊具ギーツまった使つかものにならなくなってよ」

 すると背後はいごにいたノルスタインがをレスリーにけると波動はどうかたまりした。

  ドンッ!!!

レスリーは波動はどうかたまりをモロにらった。かべけられたレスリーは地面じめんした。

レスリー「ぐ……流石さすがブルガントだんだ…きたねぇ手段しゅだん使つか小物こものっぷりはうわさどおりだな…!!」

ノルスタイン「小物こもの結構けっこう…!!」

アレックス「きたなきてきたから長生ながいきしてるんでね!うらでどれだけきたなきていこうがおもてってりゃ全部ぜんぶ正義せいぎであり、正攻法せいこうほうとしてみとめられる…それがこの資本主義しほんしゅぎ社会しゃかい本質ほんしつだろ?」

   ガシッ!!

竜賀りゅうが油断ゆだんしたな…!!」

 アレックスは自分じぶん足首あしくびつか感触かんしょくかん足元あしもとると、そこにはアレックスをニヤリと見上みあげながらあしつかんでいる竜賀りゅうが姿すがたがあった。

アレックス「クソ!!はなせ!!」

竜賀りゅうが「ホイ」

 アレックスがつかまれたあしおもると竜賀りゅうがはすぐにはなし、今度こんどはアレックスのもう一方いっぽうあしすそつかんで一瞬いっしゅんった。

アレックス「なに!?」

 バランスを完全かんぜんくずしたアレックスは地面じめんたおんだ。かろうじてあたまつのはけていたが、つぎ瞬間しゅんかん予想よそうだにしていなかったことがきた。

 磁力じりょくかしていた金属きんぞく一斉いっせい地面じめんちてきた。

  ガッシャアアアアアン!!!!

 金属きんぞく瓦礫がれきちゅうからちて地面じめんたたけられ、鼓膜こまくやぶれたかとおもえるほど轟音ごうおん部屋へや全体ぜんたいるわせた。竜賀りゅうがとレスリーは咄嗟とっさ出来事できごとではあったもののなんとかしてテーブルや椅子イスしたからだもぐませたおかげ大事だいじいたらずにんだ。

 金属きんぞくおんしばらくしてようやおさまってくれたのをかんじた竜賀りゅうが周囲しゅうい山積やまづみになった金属片きんぞくへんでゆっくりしずかにしてみた。

竜賀りゅうが(やけにそとしずかだな…)

 まわりの静寂せいじゃくさをかんじた竜賀りゅうがはこれ以上いじょううごいててき生存せいぞん察知さっちされることをおそれてちからよわめた。そしてそれが正解せいかいであったとすぐおもることになった。

   ガシャガシャン!!

 金属きんぞく瓦礫がれきからだれかがたのをかんじた竜賀りゅうがなんとかいきひそめようとくちふさいだ。そと様子ようすをもっとりたくてみみました。

アレックス「はぁ…はぁ…クッソ餓鬼がきが!!めた真似マネしてくれやがって!!オイ!!ソルマン!!いるんだろ!!さっさときろ!!」

 するとそのちかくで金属きんぞくうごおとひびいてひとがる気配けはいがした。

ノルスタイン「く……!!」

アレックス「…おまえそのキズ…」

ノルスタイン「さっきのドサクサのなかであの小僧こぞうけんちてきて、左腕ひだりうでさったんですよ…」

アレックス「さった?……ったんじゃなくてか?」

ノルスタイン「ええ…不運アンラッキーですよ…しかもあじするどかったんでくのにかなり苦労くろうしましたよ」

 竜賀りゅうが二人ふたり会話かいわいたとき自分じぶんあたま片隅かたすみにあった記憶きおくよみがえった。

竜賀りゅうが(まさか…あのかたな……)

 この世界せかい最初さいしょく、ワイルズをころしてしまったとき出来事できごとがフラッシュバックしてしまった。自分じぶん身体からだおもどおりにうごかなくなったとき、ひとりでに勝手かってかたなうごいたようにかんじてしまったあの感覚かんかくを。

アレックス「…それより……アイツらはどうなった?」

ノルスタイン「…さっきのでにましたかね?」

アレックス「もしかしたらきているかもしれんぞ……ん?」

 アレックスがなにかにいたようだった。すると二人ふたりがこっちに近付ちかづいて気配けはいがした。竜賀りゅうがはアレックスとノルスタインの足音あしおと自分じぶんもと近付ちかづいてたびに、心臓しんぞうせわしなく身体からだをドンドンとたたいてくるのをかんじた。

竜賀りゅうがる?)

 竜賀りゅうが武器ぶきっていないこの状況じょうきょうでどうすれば2たい1の絶体絶命ピンチけられるかを必死ひっしかんがえた。

 しかしふたつの足音あしおと竜賀りゅうがのすぐそばまでたとおもったらそのままとおぎてってしまった。

竜賀りゅうが(あれ?)

 違和感いわかんおぼえながらもしばらいきひそめていると二人ふたり足音あしおとがピタリとまった。

アレックス「……コイツ…んでんのか?」

ノルスタイン「たしかめてみましょうか?」

 竜賀りゅうがなにいや予感よかんをバンバンかんっていたが、こころのどこかでブレーキをかけるおと同時どうじひびいていた。しかし、竜賀りゅうがいや予感よかん的中てきちゅうしてしまった。

   グサッ!!

 刃物はものなににくいきおいよくおとこえた。

アレックス「なん反応はんのうい…」

ノルスタイン「いそぎましょうか…こんなところであぶらっているワケにもいきませんし」

アレックス「そうだな…」

 そのまま竜賀りゅうがいきひそめているととびらひらおとがして二人ふたり足音あしおととおざかってくのがこえた。

 竜賀りゅうが周囲しゅうい気配けはいくなったのを確認かくにんしたあと金属きんぞくやましやってそとた。竜賀りゅうがいそいで地面じめんると金属きんぞくやまなかからナイフがこうさった右手みぎてをダランしているのがえた。

 竜賀りゅうがいきいそいで、ってがっていた金属きんぞくけていった。

竜賀りゅうが「はぁ…!はぁ…!はぁ…!!そんな…!ぬな!!」

レスリー「……心配しんぱいするな…ダミーだよ」

 するとナイフがさっていた右手みぎてがまるで義手ぎしゅようにダランとしながら、根元ねもとから右手みぎてつかんでいる右手みぎてた。すると金属きんぞくやまからニコッとレスリーが笑顔えがおた。

レスリー「無事ぶじだったか?竜賀りゅうが…その様子ようすだといまのもなん問題もんだいかったようだな」

 レスリーはかったかったとうようにうなずきながらふくよごれをでパンパンとはらった。しかし、竜賀りゅうがはその様子ようすてもかおくもったままだった。

レスリー「…?どうした??」

竜賀りゅうが「…おれ……てっきりいまので…レスリーさんをんで…ころしちゃったんじゃないかって…おもった…」

レスリー「…?……あっ…そうか!…わるわるい!竜賀りゅうが!すっかりわすれてたよ」

竜賀りゅうが「え?」

 すると竜賀りゅうがまえっていたレスリー・コーナーがあたまうえからくろぬのおおかぶさったとおもったら、ぬのがどこかにられるようにしてえた。すると竜賀りゅうがまえにはルーカス・ブラゼルがっていた。

竜賀りゅうが「!!?」

ルーカス「フッフン♪言葉ことばうしなったかい?」

竜賀りゅうが「ルーカスさん!?どうして…」

ルーカス「どうしてって…これがおれ伽霊能力ギアルスキルだからだよ」

竜賀りゅうが変身系へんしんけい伽霊能力ギアルスキル?」

ルーカス「ああ…それにいまさっきのダミーの右手みぎて伽霊能力ギアルスキルつくったもんだよ」

竜賀りゅうが「……そうだったんか…」

ルーカス「なにホッとしてんだよ?もしかしておれんだとおもったのか?」

竜賀りゅうが「そうですよ……おれ…さっき貴方アナタおそわれるかもしれなかったのに、ここから一歩いっぽなかからようとしなかったんですよ…自分じぶん無事ぶじだったのに…全然ぜんぜんたすけようとしなかったんです」

ルーカス「…なにってるんだ?…あのときもし下手ヘタきみおれたすけるためにここにてたほうがずっと危険きけんだったさ……きみはここでも冷静れいせいひそめていてくれたおかげでアイツらはココからった」

竜賀りゅうがおれ…そんなふう冷静れいせいになってたワケじゃないんです……こわかったんです」

ルーカス「こわくなかったら…ぎゃくへんだよ…きみみたいな子供こども年頃としごろたたかいがこわくないだなんて…」

竜賀りゅうが自分じぶんにあの二人ふたり同時どうじたおせる能力チカラがないからとか…そんなのをわけにして…本当ほんとう貴方アナタいのちまもろうとすることからげてる自分じぶんがいたんです」

ルーカス「………」

竜賀りゅうが「…あきれちゃいましたよね…こんな臆病おくびょうものたたかいのにいるなんて…」

ルーカス「あのとききみ本当ほんとうはどうしたかったんだい?」

竜賀りゅうが「すぐびかかって二人ふたりとも自分じぶん一人ひとりたおしたかったです…だれうしなわなくてすむように!」

ルーカス「……フッ…だったらつよくなればい…」

 ルーカスは竜賀りゅうがながらそうげた。竜賀りゅうがかおげ、ルーカスをつめた。

ルーカス「いまみたいにくやしいおもいをしなくてすむようにな…そうすればいつでもおまえ自分じぶん大切たいせつなモンをまもることができる」

竜賀りゅうが「……ふふ」

ルーカス「なに可笑おかしんだ?」

竜賀りゅうが「だって…ルーカスさん、おれのおとうさんとおんなじことうんだもん…ちからってのはぎてもこまりもんだけど、まったいよりは絶対ぜったいあったほういってさ…」

ルーカス「ああ、そのとおりだよ…そしておれちからってまれた以上いじょう、これをだれかをまもったり、だれかにとって大切たいせつなにかをまもため使つかっていくべきなんだよ」

竜賀りゅうが「『おおいなるちからには、おおいなる責任せきにんともなう』ってこと?」

ルーカス「…ああ……そうだ」

竜賀りゅうが「……よし!いつまでもグズグズもしてられない!」

ルーカス「その意気いき少年しょうねん!」

竜賀りゅうがいま地上ちじょうでの状況じょうきょうってどうなってます?」

ルーカス「いま地上ちじょうではブルガントだん幹部かんぶおとこ、スティーブンを本物ほんもののレスリー・コーナーが足止あしどめしてくれている状況じょうきょうだ…しかもきみかせてくれて解放かいほうされたシカゴの適能者デュナミストたちがブルガントだんたたかってくれているおかげでそれほどおおきな被害ひがいになってはいないんだ」

竜賀りゅうが民間人みんかんじんなんですよ彼等かれらは!?」

ルーカス「彼等かれら脱走だっそうするのは相当そうとう不意打ふいうちだったのか、パニックになってておもったよりシカゴ支部しぶない制圧せいあつできてなかったらしい」

竜賀りゅうが「おお…おれナイス判断はんだんだったワケだ」

ルーカス「そんななかこのパニックをこした原因げんいんさぐためにソルマン・ノルスタインをおくんだんだが、そのノルスタインからの連絡れんらくがしばらくれてなかったからリーダーご自身じしん地下ちかのこの状況じょうきょうようとしたらしい」

竜賀りゅうが「そこでおれっちゃったってワケか……でもよくそこまで状況じょうきょうくわしくれましたね?」

ルーカス「地下ちかからたブルガントだん連中れんちゅう解放かいほうされた囚人しゅうじんたちから状況じょうきょういて整理せいりしたのさ」

竜賀りゅうが「なるほど…でもルーカスさん?なんでさっきブルガントとのたたかいをんだフリしてけたんですか?」

ルーカス「この部屋へやにはヤツ磁力じりょく反応はんのうするもの多過おおすぎて勝負しょうぶにならねぇと判断はんだんしたからだよ」

竜賀りゅうが「!…そっか周囲しゅうい金属きんぞくおおいから必然的ひつぜんてきにあっちが有利ゆうりになってしまうから」

ルーカス「このみちすすんださきヤツ磁気じき影響えいきょうしないところがある…そこで勝負しょうぶ仕掛しかける…竜賀りゅうがきみにも一緒いっしょたたかってもらうよ」

竜賀りゅうが「はい!!」


 ___ブルガントだんアジトの地下ちか通路つうろにて

アレックス「まさかねずみ3びき侵入しんにゅうゆるしただけでここまで計画けいかくくるっちまうとはな」

ノルスタイン「ここまでしてくるとも予想よそうできなかったですしね!」

アレックス「ソルマン?おまえいつものはなにつくしゃべかたどうした?」

ノルスタイン「あの小僧こぞうどもにやられてムカついてるんで、そんな気分きぶんじゃないんですよ!」

レスリー「だったらもっとムカつく気分きぶんにさせてやろうか?」

 通路つうろ速足はやあしけて二人ふたり背後はいごからこえけてくるのがこえた。

 アレックスとノルスタインがかえるとそこには竜賀りゅうがとレスリーがっていた。

アレックス「呆気あっけない最期さいごだとおもっていたが、やっぱりそんな簡単かんたんぬタマじゃあなかったか…」

竜賀りゅうが「あんなんでぬような適能者デュナミストがいるワケないだろ?」

レスリー「それに…こんなダミーの死体したいにナイフして死亡しぼう確認かくにんするあたり、ツメもワキも甘々あまあま連中れんちゅうだな…」

アレックス「……」

レスリー「地下ちか牢獄ろうごくからひそかにつかまえつづけていた囚人しゅうじんが、作戦さくせんちゅう一斉いっせい脱獄だつごくして、組織そしき内部ないぶから攻撃こうげきする…このぐらいの最悪さいあくのシナリオも想定そうていできない危機きき管理かんり能力のうりょくひくさじゃあ…合衆国がっしゅうこく支配しはいなんかゆめのまたゆめだな」

ノルスタイン「ってくれるじゃねぇか…たかが一組織いちそしき使つかいっぱしりが」

レスリー「だったらおまえらは一体いったいなんなんだ?資本主義しほんしゅぎ既得権益きとくけんえきやぶれてたりするしかできない無能むのうなテロリスト気取きどりか?それとも口先くちさきだけはご立派りっぱ理想りそう主義しゅぎしゃか?どっちだ?」

アレックス「ノルスタイン…この雑魚ザコども相手あいてをしておけ…おれうえがって…牢獄ろうごくから囚人しゅうじんども皆殺みなごろしにしてくる」

レスリー「てよ…折角せっかく2たい2なんだ…おたが一人いちにん一殺いっさつするぐらいいだろうが?」

ノルスタイン「つまりワタクシ相手あいては…?」

竜賀りゅうがおれまってんだろ」

 竜賀りゅうがはレスリーの邪魔じゃまをしようとするノルスタインのまえちはだかるようってはいった。ノルスタインは感情かんじょうおさえる表情ひょうじょうをしながらゆっくりとした口調くちょうはなはじめた。

ノルスタイン「きみもつくづくしつこ〜〜いでーーすね〜〜?♪」

竜賀りゅうが「アンタにわれたくはねぇな…さっきも後頭部こうとうぶにきっつい一撃いちげきもらったしな」

ノルスタイン「適能者デュナミスト同士どうしころ〜〜しいにけはあーーりませ〜〜ん♬そーーして〜〜♩」

竜賀りゅうが「……」

ノルスタイン「けもあ〜〜りませーーん♫〜〜れたほうぬ♪だ・か・ら♫」

竜賀りゅうが「だから?」

ノルスタイン「手足てあし千切ちぎれようが、どんだけみじめだろうが意地いじつづけたヤツ最後さいごわらうんだよッ!!!」

 ノルスタインは両手りょうてからこれでもかというほど波動はどうかたまりした。竜賀りゅうがうしろがりながらんで波動はどうさばいていった。

竜賀りゅうが「それはもうらわんッ!!」

ノルスタイン「あまいんだよ!!」

 無数むすう波動はどうかたまりかわすのにられていた竜賀りゅうがはノルスタインが地中ちちゅうからばして、自分じぶん足首あしくびつかんでいるのに気付きづくのに半歩はんぽおくれた。竜賀りゅうがあしられバランスをくずした。

竜賀りゅうが「しまっ…」

  ドガドガドガガガン!!!

 竜賀りゅうが最後さいごんで波動はどうをモロにはららった。攻撃こうげきがそのまま直撃ちょくげきした竜賀りゅうがかべ強烈きょうれついきおいでたたけられ地面じめんたおんだ。

竜賀りゅうが「〜〜〜ガハ!!」

ノルスタイン「さっきのリーダーのおかえしだよ…」

 もだえる竜賀りゅうがはらをノルスタインはあしけた。

ノルスタイン「餓鬼がきがッ!!デカいツラしてッ!!この俺様オレサマにッ!!めたくちききやがってッ!!」

竜賀りゅうが「〜〜〜!!!」

ノルスタイン「ムカつくんだよ!!テメェも!!アイツらも!!能力チカラたねぇクセに!!それに嫉妬しっとして!!おれ見下みくだしたやがって!!まれながらかみ見捨みすてられた分際ぶんざいで!!」

竜賀りゅうが「!!?…そうか……ようやわかったよ…アンタ……両親りょうしんてられたのか…」

ノルスタイン「!!?ちがう!!!」

  ドガドガドガ!!!

 ノルスタインはあきらかにいたいところをかれた様子ようす竜賀りゅうが身体からだ手数てかずえていた。しかし手数てかずえたぶん一発いっぱついていなかった。

竜賀りゅうが両親りょうしんも…兄弟きょうだいも…なんのろいもなかった無適能者アンチステージだったのに…自分じぶんだけこの忌々いまいましい伽霊能力ギアルスキルのろわれたことで…ずっと家族かぞくにまで…けむたがられたのか…」

ノルスタイン「!!?だまれ!!だまらないところすぞ!!」

竜賀りゅうが「だからなのか?…ブルガントだんはいったのは?…アンタのことをてた家族かぞくに…みとめてもらうためか?」

ノルスタイン「だまれってんだよ!!おまえおれなにかる!?」

竜賀りゅうがかんねぇよ…だけど…だからってこんなやりかたえらんだのかってのがもっとかんねぇよ…」

ノルスタイン「なに!?」

竜賀りゅうが「アンタほど適能者デュナミストだったら…もっとだれかのやく能力チカラ使つかかたがあったはずだろ…?」

ノルスタイン「それはおまえらの意見いけんだ!勝者しょうしゃ正攻法せいこうほう万人ばんにんてはまるとおもんでいるヤツらの傲慢ごうまんなんだよ!!」

 一通ひととおりをれたノルスタインは竜賀りゅうがかってかざした____


 ____ルーカス・ブラゼルがけているレスリー・コーナーがアレックス・ブルガントのまえちはだかり行手ゆくてはばんでいた。

レスリー「おまえをここからさきかせるワケにはかないとったはずだ!」

アレックス「またんだフリでもしてみるか?」

レスリー「あの場所ばしょじゃあ窮屈きゅうくつだからな…たたかうならこのぐらいひろいエリアでやったほういだろ」

アレックス「フン…おまえかっているんだろ?あの部屋へやじゃ磁気じき反応はんのうするもの多過おおすぎる…だから部屋へやそとほうがまだマシとおもったんだろうが、そもそもおまえ伽霊能力ギアルスキルじゃあおれ能力チカラ相性あいしょう悪過わるすぎるだろ?」

レスリー「何故なぜそうおもうんだ?」

アレックス「ウイリーからここのマクシム連合れんごう隊員たいいん情報じょうほうはキッチリかせてもらったぜ…レスリー・コーナー…おまえ霊段階ステージ8エイト適能者デュナミスト一見いっけんするとこうレベルだがな…使つか能力チカラ属性ぞくせいみずをきた」

レスリー「よくお調しらべなこった」

アレックス「ってんだろ?おれ電気でんきけい伽霊能力ギアルスキル使つかうってのは?みず電気でんきじゃあ圧倒的あっとうてきにおまえ不利ふりだ…ちがうか?」

レスリー「…………」

アレックス「だまってるってことはこたえはイエスってことだ」

 アレックスはから伽鍵礼符キーカードした。

アレックス「そんな相性あいしょう最悪さいあくてきにもいどむのを“勇気ゆうき”っとはわねぇぞ?それは“無鉄砲むてっぽう”ってうんだよ」

レスリー「本当ホントにそうかどうか、テメェのたしかめてみるんだな!!」

 レスリーがふたたじゅうかまえてアレックスにかってとうとした。しかしアレックスはそれを素早すばやげた。

  バンバンバン!!

 レスリーのった弾丸だんがんがアレックスにかってんでったが、アレックスのばしたまえ弾丸だんがんがピタッとまっていた。

アレックス「おれにメタルジャケットの弾丸だんがん通用つうようしないってのはかってんだろ?」

 そしてアレックスはげていたでまるでなにかをよううでばすと、ちゅういていた弾丸だんがんきをえてレスリーにかってんでた。

レスリー「!?」

アレックス「フン!」

  ガガガガン!!!

 レスリーはそれを素速すばやうごきでかわした。その直後ちょくごアレックスは片手かたてなにかを手繰たぐせるよううごきをさせた。するとレスリーのっていた拳銃けんじゅうがまるでアレックスのところにせられるようられた。

レスリー「!?クソ!!」

アレックス「ほら…寄越よこせ!」

 そして拳銃けんじゅう磁石じしゃくせられるようにアレックスのもとんだ。アレックスはそれをキャッチしてもてあそようじゅうをクルクルとまわしていた。

アレックス「こんな玩具オモチャ通用つうようするとでもおもってんのか?それとも…おれにテメェの伽霊能力ギアルスキル相性あいしょうわるいとあきらめてんのか…」

レスリー「…」

アレックス「まぁ…どっちにしろテメェにとって状況じょうきょう絶望的ぜつぼうてきだがな…」

レスリー「だったらこっちか仕掛しかけさせてもらうぜ!!」

 アレックスにかって突進とっしんするようんだレスリーは伽鍵礼符キーカードした。

アレックス「この状況じょうきょうすのは“水の城壁リキッド・ウォール”か?」

 アレックスはレスリーにかってげた電撃でんげきみ、電撃でんげき光線こうせんはなった。

 しかし、レスリーに光線こうせん直撃ちょくげきせずにすりけた。

アレックス「!!?」

レスリー「どこてんだよ?」

 アレックスが背後はいごからこえるこえ反応はんのうして、いそいで距離きょりひろげようとうごこうとした。

レスリー「おそいッ!!!」

 レスリーのからくろ洋杖ステッキあらわれた。そして洋杖ステッキ一振ひとふりし、おおきなほのおした。

アレックス「!!?」

 予想よそうがい攻撃こうげきけて体勢たいせいくずしてしまったアレックスは電撃でんげき闇雲やみくもした。

レスリー「かねぇよ!!」

 今度こんどくろ布地ぬのじのマントをし、自分じぶんかって電気でんきをマントではらうとアレックスのほうはじかえされた。

アレックス「!!??」

 アレックスはその電撃でんげきかろうじてけたが、余波よはによって右肩みぎかた火傷やけどをしていた。

レスリー「こんな攻撃こうげき全部ぜんぶ予想よそうどおりってか?」

アレックス「馬鹿バカってんじゃねぇよ…ここまで全部ぜんぶ予想よそうがいだ…おまえ一体いったいだれだ?」

 レスリーはアレックスのまえくろいマントをし、自分じぶんからだ全体ぜんたいけるようおおった。

アレックス「やけに霊具ギーツおおってんだな」

レスリー「それがおれりでもあるからな」

 マントがバサっとはらわれるとそこにっていたのはまったくの別人べつじん白人はくじんおとこだった。

アレックス「おまえは…?」

ルーカス「マクシム連合れんごうインディアナ支部しぶ戦闘せんとう部隊ぶたい隊長たいちょう、ルーカス・ブラゼルだ」

アレックス「!…黒の奇術師ブラック・マジシャンか」


To Be Continued

いいなと思ったら応援しよう!