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#28 LOOP BLAKE 第2章 腐れ縁 第15話「藍川光男vsウイリー・べドナー」

 肌寒はだざむいミシガンからながれるかぜが、ネオンにいろどられたシカゴの都市まちとおける。都市まちみなみがわ位置いちするホテル『ローグ』と看板かんばんかれた建物たてもの正面しょうめん玄関げんかんまえ二人ふたりおとこがそれぞれの武器ぶきたずさえてかいっていた。

 一人ひとりたけほどもある巨大きょだいなスピアがた鎚矛メイス右手みぎてつスーツ姿すがた大男おおおとこウイリー・べドナー。

 そしてもう一人ひとりみどりがみに180cmの細身ほそみ長身ちょうしんでジャケット姿すがたをした日本人にほんじんだった。こしには漆塗うるしぬりのさやし、右手みぎてにはさやおな漆塗うるしぬりのつかをしたあお刀身とうしんをした日本刀にほんとうにぎっていた。そのおとこ藍川あいかわ光男みつお

 二人ふたりあいだながれるいきまるよう闘気とうきあた一面いちめんからおとようだった。

 都市まちあかりを光男みつおにぎっていたかたな聖剣せいけん藍風あいかぜ』のやいばあやしくひかかがやいていた。

ウイリー「……フン……いのか?」

光男みつおなにがだ?」

ウイリー「無適能者アンチステージ適能者デュナミストたたかさいには重火器じゅうかき所持しょじする……常識じょうしきはずだぜ」

光男みつお「……フッ……御忠告ごちゅうこくどうも……だが残念ざんねんなことにおれじゅうとか火炎かえん放射器ほうしゃきとかのたぐい重火器じゅうかきさわったことさえないんでね」

ウイリー「……ほう?」

光男みつお息子むすこにもってることさ……あつかれてない武器ぶきなんて危険きけんだし無駄ムダあらそいのもとになるから師匠ししょうつかるまでけっしてさわるなってね…」

ウイリー「いままさにそのあらそいをこそうとしている最中さなかはずだがな」

光男みつおおれはこうった真剣しんけんあつかいにかんしては、剣道けんどうおしえてくれた師匠ししょうである義父とうさんのおかげれてんだよ」

ウイリー「すこうで自信じしんがある程度ていど過信かしんするとることになるぞ」

光男みつお「その言葉ことばかえしさせてもらおうか……偶然ぐうぜんれただけのもの能力チカラ自力じりきだとおもんだら地面じめんいずりまわ羽目ハメになるぞ?」

 その瞬間しゅんかんウイリーは巨大きょだい鎚矛メイス光男みつおむねけてもうスピードで突撃とつげきしてきた。光男みつおはそれをかたなすころし、かがめた。

ウイリー「もうおそいッ!!」

 完全かんぜん鎚矛メイス先端せんたん光男みつおかおとらえた。ウイリーはそれを確信かくしんした。

 そしてつぎ瞬間しゅんかん光男みつおはウイリーの視界しかいから消えた・・・

  ………スッ……

 突然とつぜんのことにおどろき、咄嗟とっさまってブレーキをかけるとウイリーは自分じぶんクビかたなやいばしずかにえられていたことにいた。

光男みつおあと半歩はんぽ…」

 クビえられていたやいば辿たどったさきにいたかたなぬしである藍川あいかわ光男みつおがウイリーのふところしずかにつぶやいた。

光男みつおみがふかかったら……アンタのクビ今頃いまごろ地面じめんころがっていただろうぜ」

 ウイリーは状況じょうきょう理解りかいすると身体からだ全身ぜんしんからあせがドッとてくるのをかんじた。いま一体いったいこのおとこはどうやって攻撃こうげきかわして自分じぶんふところんでられたんだと、ウイリーは理解りかいができないなにかに恐怖きょうふした。

ウイリー「……どんな能力チカラだ?」

光男みつお「ん?」

ウイリー「高速こうそく移動いどうけいか?それとも瞬間しゅんかん移動いどうけいか?」

光男みつお「……ふ……この程度ていどのこともわからないとはね…いま伽霊能力ギアルスキルじゃねぇよ…技術テクニックだよ」

ウイリー「なに?」

光男みつお古武術こぶじゅつしきうちひとつ……“縮地しゅくち”だよ…」

ウイリー「シュク…チ…?」

光男みつお「ああ……子供こどもでもできるし、年寄としよりでも、もちろんアンタでもできる簡単かんたん技術ぎじゅつさ……まぁすこしコツがるけどな」

ウイリー「…ほう……」

光男みつお人間にんげんからだ移動いどうってのはすなわち、人間にんげん重心じゅうしん移動いどうさせることだ…だから人間にんげん自身じしん重心じゅうしんはや移動いどうさせるため脚力きゃくりょくきたえようとする」

ウイリー「そりゃそうだろ……もっとつよ筋力きんりょくはやいスピードをすのが常識じょうしきってモンだ」

光男みつお「だがじつはそうじゃないんだよ…スピードってのは最高速さいこうそくおおきさだけじゃねぇんだよ…」

ウイリー「………」

光男みつお「スピードには3Sスリーエスってのがあるんだよ」

ウイリー「3Sスリーエスだと?」

光男みつお「ああ…まず最初さいしょSエスが『STARTスタート』…速度そくどゼロからMAXマックススピードまでっていく“加速力かそくりょく”…そしてそのつぎSエスが『SPEEDスピード』、MAXマックススピードをつねたもつづける維持いじするちから…そして最後さいごSエスが『STOPストップ』、MAXマックススピードから速度そくど0ゼロまで瞬時しゅんじとすことができる“減速力げんそくりょく”…これがスピードの3Sスリーエスってうんだよ」

ウイリー「…なるほど……」

光男みつお「アンタのってんのはMAXマックススピードのおおきさだけだ……まぁいままでって適能者デュナミストのほとんどがそうだったがな…能力のうりょく解放かいほうして身体能力しんたいのうりょく上昇じょうしょうしたことに胡座あぐらをかいて技術テクニック向上こうじょうおろそかにするヤツばっかだ」

ウイリー「それで?その縮地しゅくちってのがおまえうスピードの3Sスリーエスなん関係かんけいがあるってんだ?」

光男みつお「…アンタいまおれ一瞬いっしゅんえたようえたんじゃねぇか?」

ウイリー「……!」

光男みつお無適能者アンチステージえるわけないだろ?……いまのはスピードの3Sスリーエスなかもっと重要じゅうような『STARTスタート』…つまり加速力かそくりょくたかめる技術テクニックさ…日本にほん古武術こぶじゅつ身体からだ使つかかたの、ひとつで脚力きゃくりょく極力きょくりょく使つかわず重心じゅうしん移動いどうするちからおおきくする特殊とくしゅ歩法ほほう……それが“縮地しゅくち”だ」

ウイリー「なるほど…トップスピードではなく加速力かそくりょくげる技術テクニックか…それがわかればおなつうじまい…二度にどとな……」

光男みつお二度にどとねぇ…」

ウイリー(よううごしがあまりにもはやかったためえたよう錯覚さっかくした…そうかんがえればおどろくことはなにもない…)

 ウイリーは鎚矛メイスふたたかまえ、光男みつお返技カウンター警戒けいかいした。

ウイリー(つまり鎚矛メイス攻撃こうげき範囲はんいうちがわはいませなければい…武器ぶきとど距離きょり攻撃こうげきつづければコイツは消耗しょうもうする…!!)

 ウイリーは鎚矛メイス片手かたてまわはじめた。そしてあたりにおおきなかぜうずした。

ウイリー(…こんなヤツに…霊力ギーラー無駄ムダ消費しょうひしてたまるか…!!霊段階ステージ2ツーの『土貫鎚矛サンドスピア』だけで仕留しとめてやらぁ…)

  ブオン!!ブオン!!ブオン!!ブオン!!

ウイリー「おりゃあ!!!」

 そして巨大きょだい鎚矛メイスたてろされ光男みつおあたま目掛めがけてちてきた。

光男みつお「……あらよっと…」

   ドン!!

 光男みつお攻撃こうげき紙一重かみひとえけると鎚矛メイス地面じめんすさまじい轟音ごうおんててたたまれた。

ウイリー「…チィ!!」

 しかし、ウイリーがつぎ瞬間しゅんかんつぎ攻撃こうげきうつため鎚矛メイスげようとしととき目線めせんなんとなくみぎけるとそこには光男みつおがビリヤードのようかまえでかたなかまえていた。

ウイリー「〜〜シット!!」

光男みつおおそい!!」

  グサッ!!!

 右手みぎてからはなたれた強烈きょうれつ刺突つきやいばがウイリー・べドナーの右肩みぎかた貫通かんつうした。

ウイリー「ガアアアアアアアアアアアアアアアア!!?」

 光男みつお素早すばやかたなきウイリーのかたからやいばくと、ウイリーのかたから一気いっきた。

ウイリー「ああアアアアア!!がァ!!がァ!!」

光男みつお出血しゅっけつひとつやふたつでピーピーわめくな!!」

   ドンッ!!

 光男みつおはウイリーの右肩みぎかた傷口きずぐち左手ひだりてこぶしなぐり、さらにあふた。ウイリーは激痛げきつうもだえ、うつせで地面じめんうずくまってしまった。

ウイリー「あああああああああ〜〜〜!!!」

光男みつおいたいか?…いたいよな!?…でもな!!おまえ裏切うらぎられたおまえ仲間なかまこころキズは……」

 光男みつおおもいっ右足みぎあしうしろりかぶって、まるでサッカーボールをろうとするかまえをってウイリーにねらいをさだめた。

光男みつお「こんなモンじゃねぇぞ!!」

   ドスン!!!

 光男みつお右足みぎあし渾身こんしんちからでウイリーの脇腹わきばらさった。ウイリーの身体からだすこちゅうようんで、地面じめんをゴロゴロところがっていった。

ウイリー「〜〜〜〜ッ!!!」

光男みつお「……はぁ…もうとしだな……いまので筋肉きんにくったかも…」

 すこいたそうな素振そぶりをせながらかたないたをそこにちていたぬのり、さやかたなおさめた。そしてみんなかった方向ほうこうあるそうとした。

光男みつお「さてみんなそろそろ支部しぶいてるかな…?」

ウイリー「……て…よ…」

光男みつお「……タフだな…適能者デュナミストってのは…」

ウイリー「まだ…わっちゃいねぇよ…たたかいが…まだわってねぇのに……てき背中せなかけてんじゃねぇ…!!」

光男みつお「……もうわってるよ…無理むりすんな…右肩みぎかた貫通かんつうしてんだぞ?下手ヘタうごくと出血しゅっけつ多量たりょういのちとすぞ?」

ウイリー「ウルセェ…!!…ここまでコケにされてだまってられるか…!!」

光男みつお「そんなにくやしいのかよ……無適能者アンチステージけるってのは…人生じんせいきてりゃけるのの連続れんぞくだろ…」

ウイリー「だまれ!!無能むのう分際ぶんざいで!!俺様オレサマ見下みくだしたみてぇなくちきいてんじゃねぇ!!俺様オレサマが!!テメェごときに!!!」

光男みつお「…はぁ〜〜〜…めんどくせぇ自尊心プライドだねぇ……いや…ここはほこたかいとでもっておくべきか…?」

ウイリー「このままわってたまるか…!!このまま…!」

光男みつお最後さいごいていか?」

ウイリー「なんだよ…!!」

光男みつお「アンタは何故なぜブルガントだん協力きょうりょくしてんだ?…そして何故なぜアンタはマクシム連合れんごうインディアナ支部しぶ違法いほう実験じっけんかくしてたんだ?」

ウイリー「……!!」

光男みつおこたえられねぇか?…そんな生命いのち危機ききむかえてもかくつづける必要ひつようのある秘密ひみつなのか?」

ウイリー「………」

光男みつお「そこまでして……秘密ひみつ墓場はかばまでって価値かちのある仲間なかまなのか?」

ウイリー「……ただのくさえんだ……」

光男みつおくさえん?」

ウイリー「ああ……アレックス・ブルガントとおれむかし…この都市まちんでいた幼馴染おさななじみさ……この都市まちおおくの無適能者アンチステージどもあふかえっていた…ヤツらは俺達おれたちおそれ、俺達おれたち迫害はくがいしていた」

光男みつお迫害はくがい?」

ウイリー「そうさ…ヤツらは俺達おれたち能力チカラかなわねぇことをさとって…適能者デュナミストたいして不利ふり法律ほうりつ条例じょうれい次々つぎつぎ可決かけつして俺達おれたち飢死うえじにするようにしてきた……おれはこんなクソみてぇななかえるためおおきな組織そしきはいって地位ちいれ…ようとした…」

光男みつお「それでかったんじゃねぇのか?」

ウイリー「だがそうはいかなくなっちまった……そのためはいったはずのマクシム連合れんごうでさえかね利権りけんまえ組織そしき上層部じょうそうぶ太刀打たちうちできなかったんだ」

光男みつお「…よくあるはなしだな……」

ウイリー「このアメリカを支配しはいしようにも圧倒的あっとうてきかずうえなのは無適能者アンチステージがわだった…しかも大半たいはんのマクシム連合れんごう隊員たいいん霊段階ステージ5ファイブ以下いか低適能ウーファーばっかりだ…これじゃあどんなに足掻あがいても軍事力ぐんじりょく資金力しきんりょくでも政府せいふ太刀打たちうちできない…だから俺達おれたちマクシム連合れんごう上層部じょうそうぶ組織そしき軍事力ぐんじりょくアップのため計画プラン着手ちゃくしゅすることになった」

光男みつお「それが…」

ウイリー「適能者デュナミスト霊段階ステージ強制的きょうせいてきげる研究けんきゅうだ……そうすりゃ適能者デュナミストしつがり組織そしきおおきなちからち、投資家とうしかたちから莫大ばくだい資金しきん調達ちょうたつすることができる」

光男みつお「だったら適能者デュナミスト個々ここ能力のうりょく訓練トレーニングばしていけば…」

ウイリー「当然とうぜんそれはやったさ!しかし伽霊能力ギアルスキル成長せいちょう自体じたいにも限界げんかいがあったのさ!!個々ここ能力チカラ成長せいちょうには肉体にくたいてき成長せいちょう以上いじょう精神せいしんてきおおきく関係かんけいしていた!どれだけ情報データあつめてマニュアルどおりの訓練トレーニングカリキュラムをんでも、どこかかべにぶつかり成長せいちょうまるもの続出ぞくしゅつした……だから組織そしき倫理りんりはんするとわかったうえ禁忌タブーおかした」

光男みつお「それが人体じんたい実験じっけんってことか?それも同志どうしであるはず適能者デュナミストの…!」

ウイリー「そうだ…」

光男みつお源太げんたも…あのも…その実験材料じっけんざいりょうひとつだったってのか…!!」

ウイリー「そうだ……それが“よりおおきなぜんために”であれば必要ひつよう未来みらいへの犠牲ぎせいとしてかたがれるだろうってな…」

光男みつお残念ざんねんながらそれはないな…」

ウイリー「……」

光男みつお歴史れきしのこすのはいつだって最初さいしょ常識じょうしき反逆はんぎゃくこしたものだけだ…犠牲ぎせいしゃはいつもその偉人いじんたちしたもれるだいとしてしかあつかわれないってのは、これまでの歴史れきし証明しょうめいしてしまってるんでな」

ウイリー「……なるほど」

光男みつお「それで?アンタはなぜアレックスとんだんだ?」

ウイリー「……かねさ…」

光男みつお「…は?」

ウイリー「こえなかったか?かねだよ……くさえんのダチかどうかなんてどうでもかった…アイツは『おれ協力きょうりょくすればかねになるビジネスにちからしてやる』ってってきたんだよ」

光男みつお「それにしたってのか…!?」

ウイリー「ああ…お陰様かげさまおれのマクシム連合れんごうでの地位ちいはかなりがったよ…ポイントをかせげたからな……」

光男みつお「ポイント?」

ウイリー「マクシム連合れんごうでの信頼しんらいられる実績じっせきあらわすポイントだよ……俺達おれたちがこのシカゴの都市まち犯罪はんざいおかしているブルガントだんつかまえて牢屋ろうやれていると実績じっせきめるうえに、まもってやっている愚民ぐみんどもから税金ぜいきん多額たがく徴収ちょうしゅうすることができる一石二鳥いっせきにちょうのビジネスさ…」

光男みつお「それをかったうえでアンタなんげつもそんな茶番ちゃばんみてぇなことに協力きょうりょくしてやがったのか…!!」

ウイリー「随分ずいぶんかせげたさ……ただ最大さいだい誤算ごさんは…おまえらだったよ」

光男みつお「?」

ウイリー「おまえらがなければ、この都市まち秘密ひみつあばかれることなくんでいた……そして、インディアナポリスでおこなわれていた…伽霊能力ギアルスキル実験じっけんもバレなくてんでいたはずだった…」

 ウイリーはよこになった状態じょうたいからゆっくりがってふたた地面じめんにあった鎚矛メイス左手ひだりてひろおうとした。

光男みつお「……やめておけ……ぬぞ…?」

ウイリー「よってその行為こういあたいする…!!」

 ウイリーは血塗ちまみれになった右手みぎてでポケットのなかをゴソゴソとさがはじめた。

光男みつおなにさがしてる?」

 するとウイリーは金属きんぞくせいのケースをポケットからし、そのなかからカプセルをした。

ウイリー「……みとめてやるよ藍川あいかわ光男みつお貴様キサマころすにはこれぐらいやらなきゃな…」

光男みつおなんだそのカプセルは?…ただのくすり治療ちりょうやくじゃねぇよな」

ウイリー「さっきはなしただろ……マクシム連合れんごう秘密裏ひみつりおこなっていた実験じっけんの……その素晴すばらしい成果せいかひとつがこれなんだよ!!」

光男みつお「!?て!!めろ!!」

 ウイリーはカプセルを一気いっきくちに2、3つぶれ、のどらしんだ。

ウイリー「…はぁ…はぁ…はぁ……これはまだ試作品プロトタイプだ…現段階げんだんかい霊段階ステージ10テンのぼめている俺様オレサマがコイツを使つかえば一体いったいどうなるか…」

 するとウイリーは自分じぶんむねさえ、呼吸こきゅう困難こんなんであるかのよういきあらくなりはじめた。

ウイリー「はぁ…!はぁ…!はぁ…!はぁ…!」

光男みつお「お、おい!!大丈夫だいじょうぶか!?」

ウイリー「はぁ…!は…ハハッ…ハハハハハハ…ハハハハハハハハハハハハ!!最高さいこうだ…!!身体からだ内側うちがわから能力チカラめどあふれてようだ!!!」

 ウイリーが鎚矛メイスひろげ、たからかにわらごえはじめた。不気味ぶきみ空気くうきかんった光男みつおはウイリーから距離きょりり、相手あいて出方でかたうかがった。

ウイリー「さぁ…まずは…能力チカラおおきさをためしてみるか?」

 ウイリーは伽鍵礼符キーカードを3まいした。した礼符カード異様いようなまでにひかりはなってあたりをらしていた。

ウイリー「Mr.ミスター藍川あいかわ…この能力チカラ増幅ぞうふくはかため実験じっけん…まずはおまえをサンドバックにしてためさせてもらおう!!」

 ウイリーはなにっていない左手ひだりてうえげるとあたりのかぜ徐々じょじょうずようにウイリーのまわりにあつまりはじめた。そしてそのうず巨大きょだいとうようてんにそびえた。

ウイリー「らえ!!!」

 左手ひだりて光男みつおけてろすと竜巻たつまきなかから三日月みかづきがた何か・・もうスピードでんでた。

   ザン!!

 光男みつお直感ちょっかんでやばいとさと全力ぜんりょくそれ・・かわした。すると重苦おもくるしいおとともに、地面じめんぐなヒビれたくちができていた。

光男みつお「マジかよ!ようやく本気ほんきになってきたってことか!」

ウイリー「いちいち攻撃こうげきにビビってるヒマなんざねぇぞ!!」

 巨大きょだい竜巻たつまきはまるでものよううごめきながら、さらに周囲しゅういすなせているようだった。

ウイリー「おれ伽霊能力ギアルスキルすなどろあやつ能力チカラだ!!この周囲しゅういにある建物たてものすべてをすなえて自身じしん武器ぶきえる能力チカラだ!!」

  ドン!!ドン!!ザン!!ドン!!

 光男みつお次々つぎつぎおそかってくるすな斬撃ざんげき球体きゅうたいがたすなかたまりをギリギリでかわしまくった。

光男みつお「へ!…霊段階ステージごとの能力のうりょく自体じたいがてんでバラバラのはずなのになんでアンタは自分じぶん能力のうりょくをこれだって断定だんていしきれるってんだ?」

ウイリー「フフフフフフフ…!!この伽霊能力ギアルスキルはな…じつ霊段階ステージ10テン礼符カード能力チカラこそが…その適能者デュナミスト能力のうりょくの“本質ほんしつ”そのものなのだ!!」

光男みつおなんだと?」

ウイリー「霊段階ステージAエースから霊段階ステージ9ナインまでは適能者デュナミスト成長せいちょう環境かんきょうおおきく関係かんけいしてくる!!そしてそこまでの成長せいちょう集大成しゅうたいせい能力チカラはいる!!それが霊段階ステージ10テンなんだよ!!」

 ウイリーの足元あしもとのコンクリートがサラサラしたすなわっていきはじめた。そしてそのすながどんどんうずきながら光男みつおかって近付ちかづいてた。

ウイリー「この俺様オレサマにこの礼符カード使つかわせたことに敬意けいいひょうして……本気ほんきせてやらぁぁ!!」

 巨大きょだい砂嵐すなあらしたった建物たてものするど斬撃ざんげき粉々こなごなりながら光男みつお接近せっきんしてくるのを、光男みつお全力ぜんりょくはしってげた。

光男みつお「やべぇやべぇ!!たりかまわず容赦ようしゃしかい!!」

ウイリー「ハハッ!!ハハハハハハハ!!能力チカラ普段ふだんおさえて使つかってたんだ!!人生じんせい一回いっかいは“全力ぜんりょく”ってヤツためしてみたかったんだよなぁ!!」

 鎚矛メイスかた背負せおって光男みつお近付ちかづきながら攻撃こうげきしてくるウイリーは完全かんぜん正気しょうきうしなっていた。光男みつおはウイリーのその様子ようす物陰ものかげかくれてうかがった。

光男みつおウイリーアイツ完全かんぜん自分じぶん見失みうしなってやがる…普段ふだんならすきだらけで格好かっこう餌食えじきなんだが……なまじこっちの戦闘せんとうりょくが、この藍風あいかぜ一本いっぽんだけってとぼしいモンだからな…」

 光男みつおっていた藍風あいかぜふたたけ、自分じぶん武器ぶきたよりなさをかんじていた。

ウイリー「おいおい!!もうわりか!?まだまだこっちはあばれたりねぇんだよ!!折角せっかくおれ能力のうりょく実験台じっけんだいになるんだったら!!手足てあし全部ぜんぶもげる最後さいごまで足掻あがけよ!!」

光男みつお「あっちは周囲しゅういすべ武器ぶきにできて弾幕だんまくれる反則はんそくきゅう攻撃こうげき範囲はんい伽霊能力ギアルスキル……それにひかえこっちはかたな一本いっぽん…もうんだかな…」

 光男みつお自分じぶんたすけはないことをかんがえ、ここまでかとさとった。

光男みつお「あんまし格好かっこうつけるモンじゃなかったな……でも…」

 光男みつお自分じぶんかたなつよにぎめた。目前もくぜんにしたおとこ最後さいご辿たど境地きょうち

光男みつお「どうせぬんだったら、さむらいらしく格好良カッコよってやらぁ…!!」

 オトコ覚悟かくごめた瞬間しゅんかんだった。

ウイリー「いコラァ!!ずっとそうやってげんのかよ腰抜こしぬけの臆病者チキンが!!」

光男みつおだれ臆病者チキンだと?…」

 するとウイリーの背後はいごかたなかまえた光男みつおっていた。

ウイリー「……テメェにってんだよ……」

光男みつお卑怯ひきょうものけてげるほどおれちぶれちゃいねぇんだよ…!!」

ウイリー「なんだよ……それがさむらいスピリットってやつか…?」

光男みつお「まぁ…そんなとこだ…」

ウイリー「たたかいからげるくらいなら、たたかいにってにたい……日本にっぽんはそうやってアメリカにけたんだ!!けをみとめて無様ぶざま降伏こうふくするほうがずっとらくきられたんだ!!歴史れきしはそれを証明しょうめいしている!!弱者じゃくしゃたたえられる歴史れきしなんざどこにもねぇ!!評価ひょうかされんのはつね勝者しょうしゃだ!!」

光男みつお「だったら……おれだろ!!!」

 光男みつおかたなさやおさめ、抜刀ばっとうじゅつかまえをった。

 ウイリーの鎚矛メイスすな竜巻たつまきヘビよう渦巻うずまきながらき、まるでウイリーが右手みぎて巨大きょだい竜巻たつまきけんにぎっているようだった。

ウイリー「ねぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 竜巻たつまきけんなんメートルもはなれている光男みつおおそかってきた。

 光男みつおにもまらぬスピードでかたなさやからき、高速こうそくいた。

   ザンッ!!!


To Be Continued

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