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【LOOP BLAKE】第3章 剣聖 第1話「盗まれた聖剣と盗人」 #42
シカゴを後にした竜賀達はそのまま西の方角に向かって進んで行っていた。運転席でジープを動かしていた藍川光男は暇そうにぼやいていた。
光男「………何か…車内が一気に寂しくなったな……」
竜賀「まぁ…そりゃ一番煩い奴がいなくなったからね…」
光男「これからはただただ西に向かってひたすら運転するだけだからな…」
竜賀「どこの西遊記だよ…あっちはもっと豪華なメンバーだったから俺らとは違うんだよ!」
光男「因みにどんなメンバーだったか知ってるか?」
竜賀「三蔵法師に、孫悟空と、猪八戒と、沙悟浄だっけ?」
光男「そう!…因みにどっからどこまで旅してたか知ってるか?」
竜賀「知らないよ!中国が舞台ってことまでは知ってるけどさ…天竺にお経を取りに行くんでしょ?」
光男「そう!その天竺ってのが中国のお隣の国インドのガンダーラって場所になるんだ」
竜賀「え!!?あれってインドまで旅する物語だったの!!??」
光男「そうだぞ…単純な地図上での直線距離で言うと1万メートル以上なんだが…当時の複雑な地形を考えて遠回りしながら行った距離を考えると4万キロ〜6万キロぐらいの長旅になったそうだ」
竜賀「6万キロって…」
光男「そんな酷しい道のりを歩いたんだったら、仏教の教えを書いたお経なんて要らないのにねぇ」
竜賀「?…どうして?」
光男「そんだけ長い距離を旅するだけで得られる人生の苦楽の方が、お経に書かれている内容よりも深いからだよ……経験に勝る知識無しってな」
竜賀「経験に勝る知識無し…か」
光男「本や他人の経験談も良いんだけどね……やっぱり自分の足で動いて手に入れた経験は重みが違うからな」
竜賀「重み……」
そして車はそのまま進み続けた。真っ直ぐの道の横に広がる緑を眺めながら。
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