#26 LOOP BLAKE 第2章 腐れ縁 第13話「猿渡源太の真実」
夜になったシカゴの都市の中、不気味な程静かな都市にゾロゾロと謎の男達が現れ始めた。その男達の中心にいたのは軍服姿をした高身長の紳士の様な男だった。
スティーブン「さあ!!これより!このシカゴシティを一気に制圧する!!都市のあらゆる場所に事件を起こし、マクシム連合の戦力は完全に分散されている!!今こそ都市を我がブルガント団の手に!!」
一同「オオオオオオオオ!!!!」
軍服の男・スティーブンが他の男達にそう言い放つと、男達は地を揺らす程の雄叫びを上げた。
スティーブン「まずは都市の入り口を塞ぎ、侵入者と脱走者が出ないようにしろ!!そしてマクシム連合のシカゴ支部の基地を完全包囲しろ!作戦通りにだ!!」
そして都市のいたる所を破壊しながら進んで行くその群勢は物陰や建物の中に隠れている人々を恐怖させた。
道路があっと言う間にその男達で埋め尽くされた。そう思った時、道路を猛スピードで駆け抜ける赤いジープと白い車があった。
その白い車のボンネットの上に乗っている女性が黄色く光る鞭で前を走る赤いジープを攻撃していた。そしてその攻撃をジープの荷台の上に立ち刀で受け止めている少年が藍川竜賀であった。
竜賀「父さん!!ホテルまであとどのくらい!?」
光男「もうここまで来れば、後10分もかからないくらいだ!!それまで持ち堪えろ!!」
竜賀は襲い掛かってくる光りの鞭を刀で弾き返したり、あるタイミングでは腕で受け止めていた。
バチィィィッ!!バチィィィッ!!
眩い火花を散らしている光りの鞭・天使の刃を全て捌ききっている竜賀をメリアン・ベイカーは怪訝そうな顔で見ていた。
メリアン(何故私の天使の刃が効かない…!?何かの防御能力?でもこの能力はただの肉体硬化程度なら問題なく焼き切ってしまえるハズだ…それに防御が発動させていながらあれだけ動けるのは本来ならあり得ない…!!)
攻撃を繰り返しながらも目の前で起きていることに半ばパニックになりながら、メリアンは竜賀の能力を分析しようとしていた。
しかし次の瞬間___
キキキイィィィィィィ!!!
目の前を走っていたジープがいきなり方向転換をし右の脇道に入って行った。それを咄嗟に反応して近くの柱に鞭を巻き付け車を急旋回させようとした。
ザン!!
しかし竜賀はこれを一瞬で見抜き、鞭を地面に叩き斬り落とし車は曲がれずスピンすることになった。
ルーカス「クソがああああああ!!!」
ガッシャアン!!!
ルーカスとメリアンを乗せた車はそのまま壁に激突しひっくり返って大破した。
ルーカス「いてててて……メリアン無事か!?」
メリアン「……ええ…とりあえずは…」
車の下敷きになっていたメリアンの手を引いて助け出した。二人はジープの曲がった脇道を見て少し諦め気味に溜め息をついた。
ルーカス「…ハアァ……撒かれたな…」
メリアン「…まだ…追い掛けられます…!!」
メリアンはそう言いながらも重い足取りで脇道の方に歩いて行った。ルーカスはそれを追う様に歩いて行った。
ルーカス「メリアン…お前の気持ちも分かるが…考えてみろ…!ここは俺達にとっては未知の都市。相手の方に土地勘がある場合こっちにはかなり不利だ」
メリアン「だからって!ここまで来て追い掛けるのを諦めるなんて!」
ルーカス「俺達は今組織の命令違反をしてここまで来ているんだ!そんなリスクを背負って行動した以上結果を出すしかなかった!それなのに俺達は今このザマだ!奴らを見つけ捕まえられなかった以上俺達は何かしらの処分が下されるだろう!」
脇道を歩き進んで行くと二人の目の前には別の車道が見えてきた。そこを出てメリアンは左右をキョロキョロして辺りを見回していた。
ルーカス「オイ!メリアン!いい加減にしろよ!こっちは事故している間に相手は車で走ってるんだぞ!?もうこの辺りには…」
メリアン「……あ……」
メリアンが何かを見つけルーカスはそれに釣られて、彼女の視線の先にあるモノを探すとそこにはホテルの様な建物の前に追い掛けていた赤いジープが停まっていた。
ルーカス「………いたよ……」
メリアン「こんなあっさり追いつくなんて……そんな簡単に諦めるもんじゃないわね…」
二人は改めて藍川光男とその家族を追い掛けようとホテルに走った____
____ルーカスの運転する車の追跡を振り切って脇道をジープで走り、また別の大通りに出て光男は大声で竜賀に呼びかけた。
光男「竜賀!!よくやった!!アイツらの追跡振り切れたぞ!!」
竜賀「ああそう!それで?後どのくらいで着くの!?」
光男「もう着いたよ!」
光男はジープのスピードを緩めて行ってホテル『ローグ』の真ん前にジープを停めてエンジンを切った。
竜賀「嘘だろ…?さっきアイツらが事故ったとこ、すぐそこだぞ!アイツら諦めなかったらすぐ見つかるぞ!」
光男「んあ?…まぁそうだな……」
光男は運転席の脇に置いてあった刀袋を手に取った。
源太「せめて車だけでも隠して時間稼ぎしないの!?」
光男「良いんだよ!この方が寧ろ都合が良い!それよりマーカス・ジャッジさんの縄を早く解け!」
源太「それよりって……」
マーカス「……ここには戻ってくるつもりなんてなかったハズなのになぁ…」
源太はマーカスの縄を解いて、手を取りながら彼を車から降ろした。
マーカス「……エリック俺を見て何て言うかなぁ…」
竜賀「それは…会ってからのお楽しみってことで!」
竜賀はマーカスの背中を押し、ホテルの正面玄関に無理矢理歩いて行かせた。玄関の手前まで連れてきて取手に手を掛け、扉を開くとまた誰もいないガランとしたホールが目の前に広がっっていた。
源太「エリーーーック!!!どこにいるのーー!?いるなら返事してーー!!」
竜賀「エリックさん!!マーカスさん連れて来たんだよ!!」
しかし、どこからも返事がくる気配は無くシーンとしたホテルを見回したが何起きなかった。ホールの奥の受付まで四人は歩いて行った。
光男「一体どうしたんだ?」
竜賀「もしかして…誘拐?」
源太「エリックが誘拐?何の為に??」
竜賀「そりゃ俺達三人を引き摺り出す為とか?」
マーカス「お前らブルガント団と戦ってんのか!?」
源太「まぁ雑魚ばっかと…」
マーカス「そんな……」
光男「貴方の紹介でローグに初めて来た時もそうでしたよ?トンプソン兄弟をすぐ倒しましたからね」
光男がそう言うとマーカスは口をあんぐりと開け驚いた表情をしていた。
竜賀「何で父さんが自慢げなんだよ…倒したのは俺と源太の二人でしょ…」
そう言っていると背後から何かが駆け寄ってくる足音がした。
そっちに振り返ると玄関前の階段を上がっているルーカスとメリアンがいた。
メリアン「やっと追い付いた…!!」
ルーカス「ターゲット発見!!っと、やっぱりと言うべきか?…ダミアン・シーベルト君も発見した」
メリアン「後はコイツらから取り返せば良いだけですね……」
ルーカスとメリアンは自分の伽鍵礼符を取り出し戦闘態勢に入ろうとした。しかしそれを見ている光男は刀を刀袋から出そうとはせず棒立ちでルーカスとメリアンに向かい合った。
竜賀「父さん何してんの!?あの人達闘る気満々なんだよ!!」
竜賀は刀を取り出し、また二人に向けた。しかし光男は竜賀の左手を掴み刀をゆっくり下げさせようとした。
光男「よせ!…もういいんだ……」
竜賀「え?」
戦おうとする意志を一切見せようとしない光男に竜賀は愕然とした。ルーカスとメリアンは一瞬戸惑っていたが、ハッとすると再び武器を構えた。
メリアン「もうその手には乗らないわよ」
ルーカス「そうやって油断させたところで不意打ちを狙う……お前が俺達に一番最初にやった手口だ」
そして二人は明らかに周囲を気にし始めた。
ルーカス「同じ手が何度も通用するとでも思ったか?」
光男「いや…別にもう戦わなくても良くなった…とでも言ったところか」
メリアン「何…?」
するとルーカスとメリアンの背後から何やらタタタタタッと大急ぎで駆け寄って来る足音が聞こえてきた。それも一つではない。複数の足音であった。そして玄関の扉を開けて四人の男と、二人の女が入ってきた。
レスリー「そこまでだ!!一体全体何事だ!!」
源太「あっ!!Mr.コーナー!?」
レスリー「ん?何だ?猿渡源太か…」
光男「え!?二人共知り合いなの?」
源太「うん…おやっさんが買い物してる時に助けてくれたんだ」
レスリー「とりあえず…そこのお二方……貴方方は何故武器を構えている?」
ルーカス「何故?…そんなもの任務に決まっているだろう…」
レスリー「任務?…一体どこの組織のだ?ブルガント団か?」
ルーカス「我々二人はマクシム連合インディアナ支部所属の隊員だ!私はルーカス!こっちはメリアンだ!」
ルーカスとメリアンはポケットからモバイル端末を取り出し背後にいるレスリーに警察手帳を見せる様に肩の上に持ち上げた。
レスリー「……確認した」
ルーカス「何…?」
レスリー「我々もマクシム連合の隊員だ…私はシカゴ支部の警備隊の隊長のレスリー・コーナーだ」
竜賀「やべ……向こう味方が増えちまったっぽいけど…」
光男「大丈夫だ…心配するな…」
レスリー「ルーカス……貴方がここに来た理由は?このシカゴシティは貴方方の管轄外だったはずでは?」
ルーカス「こちらはマクシム連合のトップからの重要任務としてコイツらを追跡していたんだ…インディアナ支部からな」
レスリー「トップからの重要任務だと?」
ルーカス「ああ……そこの男の傍らにいる褐色の肌の少年がいるだろう?」
レスリー「猿渡源太のことか?」
ルーカス「あの少年がマクシム連合の上層部の幹部の親戚としてこのアメリカに密かに入国していたダミアン・シーベルト君なんだ…」
レスリー「何…?」
ルーカス「入国してからしばらくしてから行方不明になっていたので、マクシム連合はもしもシーベルト君が人質にされ組織の弱みを握られることを恐れ、我々軍部の隊員に極秘に探すように命令が下ったんだ」
その二人のやり取りに口を挟む様に光男がわり込んだ。
光男「だが…その命令が言い渡されていたのが実はインディアナ支部だけだった……だろ?」
ルーカス「こっちが話してるんだ黙れ…!!」
レスリー「だがその男の言う通りだ…現に我々シカゴ支部の軍部どころか、所長からもそんな情報は一切届いていないんだぞ」
ルーカス「!?…そんな馬鹿な!!」
メリアン「そんなはずないわ!!コイツらが!」
竜賀「それじゃあ俺達が本当に源太を誘拐していたんだとしたら、源太は何でそこのコーナーさんと一緒にいた時に助けを求めなかったんだ!?説明してみろ!!」
光男「竜賀の言う通りだ……俺達はかなりの時間一緒にいたとは言え、この子を一人にする時間も確実にあったんだ」
竜賀「俺達が何か隠してるって言ってたな?だったらルーカスさん、メリアンさんアンタ達は証明できるのか?」
メリアン「アンタ達が誘拐犯であるってことを?」
竜賀「違う…アンタ達が俺達やシカゴ支部の隊員達に隠していることや嘘を吐いていることは一切無いって確信を持って言えるのか?ってことだよ!」
竜賀が強気でそう言い放つと、まるでホールの空気が凍りついたかの様に冷たくなった。ルーカスとメリアンは明らかに動揺していた。
ルーカス「そ、それは…」
メリアン「あ、当たり前じゃない!!私達が嘘を吐いているなんてこと…」
光男「竜賀が言いたいのは……」
また再びメリアンの言葉を遮った。
光男「アンタ達ではなく…アンタ達が所属している組織のトップがアンタ達に何か隠し事をしたり、嘘を吹き込んで源太を捕まえてくる様に命令しているんじゃないかってことさ…アンタ達に実際の否は無くても、アンタ達のトップがそういう悪意を持って命令したならその命令を実行したアンタ達にも責任が出てくるぞ?」
メリアン「私達を拾ってくれた組織が私達に嘘なんて吐くはずがない!!私みたいな適能者に居場所をくれた!!そんな優しい組織が何で裏で汚いことなんてするって言うのよ!!いい加減なこと言うと許さないわよ!!」
光男「………源太……もうそろそろ話せ」
源太「え……」
光男「お前が……これまでずっと俺達にも隠し続けていた“全ての真実”を…」
源太「…でも……」
竜賀「源太…俺もそう思う……もうここまで来たら話すしかないだろう?」
源太「でも!もしここで本当のこと全部喋ったら!皆の命が危険に…」
光男「秘密を知って命の危険に晒される?その手の危険は慣れっこさ…この世界に来た最初からそうだったんだからな…」
レスリー「?」
光男「だからもう俺達に隠すのはやめろ…例え秘密を知っても俺達は死ぬことはない」
源太「………………」
竜賀「源太…決断は早くした方がいいぞ…もうどんどん外の騒ぎが大きくなってるからな…」
源太「……分かった…知ってること全部話すよ」
ルーカス「…!」
源太「俺は元々見捨てられた町出身の適能者だったんだ…」
光男と竜賀は源太の話をじっと聞いていた。そして周りも水を打ったかの様にシンと静まりかえって源太の話を聞いた。
源太「いつだったかはもう覚えてない…ただ生まれた時からそうだったのか……それとも親が捨てたのか…それは分かんないけど……物心がついた時には…盗みや殺しは日常茶飯事…いつ誰が死んでもおかしくない血塗れの世界だけが目の前に広がってた……」
源太「そんなある時…見捨てられた町に見た事のない白い服を着たマスクを着けた奴らがやってきて……町にいる適能者を次々と知らないところに連れて行かれたんだ」
源太「訳の分かんない見たこともない白い壁に囲まれた…窓のない建物の中に閉じ込められて…初めは食事を与えられていたんだ……」
源太「最初はホントに訳が分からなかったけど、檻の中にいるだけで食事が貰えて…毎晩寝る為の布団があって…いつ殺されるか分からない恐怖もない…安心な場所に来れたんだって喜んでたんだ……」
源太「でもある時俺と同じくらいの歳の男の子の適能者三人が俺と一緒にその建物の中のある部屋に連れて行かされたんだ」
源太「そこでは白い服を着た大人達が沢山いて、見たこともないような薬の入った瓶が沢山あったんだ……その部屋の中にあったベッドに横になるように言われたんだ」
源太「そしたら俺達四人はベッドに手足を手錠みたいなものでロックされて動けなくなって…その後白い服を着た大人の人は注射みたいな物を持ってきて……俺達の中の一人にオレンジ色の変な薬みたいなのを身体に直接打ち込んだんだ」
ルーカス「……人体実験……」
源太「そしたら、薬を打たれた男の子が突然のたうちまわりながら呻き声を出し始めたんだ…そしてしばらくしたら動かなくなったんだ……まるで地獄の苦しみをあじ合わせられてるみたいになってて……」
源太「そして俺はそれが恐くなって……必死に抵抗して、注射を打たれる前に手錠を力づくで壊して建物から出て行ったんだ……」
源太「その建物の外側に出たら、その建物の看板の音声アナウンスでは会社の名前を案内してたんだ……『フューチャーウェーブ』って…」
メリアン「『フューチャーウェーブ』ですって?…それってインディアナポリスにあるマクシム連合が出資した製薬会社じゃない!」
レスリー「そこはインディアナ支部とは関係が深いのかい?」
メリアン「…ええ…!伽霊能力に関する研究も兼業もしながら適能者の薬の販売も行っている企業よ」
源太「そこから抜け出した俺はとにかくそこから必死に離れようと走ったんだ……でも出る時何も用意してなかったから…俺は道端の動物を捕まえて食ったり、泥水を飲みながら何とかして生きていたら…無適能者の連中に弱ってるところを見つかって…」
源太「でも…意識を失いそうになる…そんな時に竜賀とシャーリーが俺を助けてくれて…」
メリアンは突然出て来た母親の名前に少し動揺していた。
源太「シャーリーは…俺にとって初めて…母親みたいに思える存在で…竜賀は親友とか、兄弟みたいだった……トニーは父親みたいで…おやっさんは俺に初めて名前をくれたんだ…猿渡…源太って」
源太「俺は今まで名前で呼ばれたことなんてなかった……実験施設でもNo.1835って呼ばれるだけで俺の存在を認めてくれた初めての家族がベイカー家と藍川家の四人だったんだ…!」
そして源太はメリアン・ベイカーの顔を真っ直ぐ見据え強く言い放った。
源太「俺の名前は猿渡源太だ!ダミアン・シーベルトなんかじゃない!!」
メリアンはいつの間にか武器を下ろして源太の目を真っ直ぐ見ていた。
メリアン「………それが貴方の真実なのね?」
源太はその目を真っ直ぐ見つめながらゆっくり、そして力強く頷いた。
光男「だが源太…一番肝心なことと俺達に言ってないぞ?」
源太「え?」
光男「その『フューチャーウェーブ』って施設で行われていた人体実験……その内容は?」
ルーカス「!そうだ…その内容が最も重要なことだ!!」
源太「その実験施設にいた男の人が言っていたのは…『伽霊能力を強制的に暴走させて、潜在能力を引き出す実験』とかって言ってた……薬を打ってその効果を試す為の実験だとか」
レスリー「完全に違法な人体実験だな……インディアナ支部のお二人さん?」
ルーカス・メリアン「「?」」
レスリー「一応念の為聞いておくが……アンタ達はこの事実を知らなかったんだな?」
ルーカス「あ、ああ……」
メリアン「そりゃそうでしょ!私達はただこの子を探せとだけ…」
ルーカス「でも…」
ルーカスがメリアンの言葉を遮ると全員、ルーカスの次の言葉を聞く為に彼に注目した。
ルーカス「このシカゴの都市に入る時に所長のジョージ・マッカートニーに直前で…もう追跡するなって命令を受けたんだ…」
レスリー「それってーーー」
竜賀「!!?全員伏せろッ!!!」
ドンッ!!
竜賀が突然大声で全員に向かって叫ぶとレスリーの横にいた女性隊員の身体が宙を浮き、心臓を赤色の鋭い棘が貫いていた。
女性隊員「きゃあああああああああああああああああああああああああ!!?」
もう一人の女性隊員が仲間の姿を見て絶叫した。
レスリー「サリー!!?」
光男「全員物陰に隠れろ!!殺されるぞ!!」
光男はマーカスを引っ張って受付のカウンターに急いで身を潜めた。竜賀も源太もそれぞれルーカスとメリアンの服を掴んでホールの陰に隠れた。レスリーとその仲間の助かった他の三人は攻撃の出所を探す為に背後に振り向いていた。
しかし、それを探す必要は無かった。なぜならその相手はレスリーの前に堂々と立っていたのだから。その男は右手に持った巨大な鋭いメイスの先端にサリーと呼ばれたレスリーの仲間を串刺しにして感情の読み取れない表情をして立っていた。
レスリー「……そんな……まさか……」
女性隊員「な……何で…」
男性隊員「どうして……」
その男がここにいることが“ありえない”とでも言う表情をしていた隊員達はジリジリと後退りしていた。
レスリー「何で……貴方が…ここにいるんですか…!?ウイリー・べドナー少将!!?」
ウイリー「……何で?……消す為だよ…」
男性隊員「消す?…消すって何をですか…!?」
ウイリー「“知ってはいけない事実”を知ってしまった者をだよ……」
女性隊員「知っては…いけない…秘密?」
ウイリー「そうだよ……なぜなら“秘密”ってのは…それを知られたくない人間がいるから“秘密”って言うんだからな」
ウイリーと呼ばれるその男は巨大レイスを後に振り、串刺しにしていたサリーを背後の道路に叩きつけた。そして再びメイスを振り上げた。
ウイリー「非常に残念だよ……君達は優秀な部下だった…それを自らの手で葬り去らねばならないなんて……でもしょうがない…」
ウイリーは握る手からミシミシと音が聞こえてくるほど強くメイスを握り締めた。
ウイリー「その“秘密”と共に散れ…!!」
ブウォン!!…ガン!!!
ウイリーが猛スピードで振り下ろしたレイスがレスリーに当たる直前何かがメイスを受け止めた。
竜賀「そこまでだ!!」
源太「これ以上はさせねぇ!!」
巨大メイスを刀と棍で受け止めたのは竜賀と源太であった。
To Be Continued