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#13 LOOP BLAKE 第1章 異世界 第12話「呪われた能力の宿命」

光男みつお「………!………ふぁぁ……」

 あさました藍川あいかわ光男みつお身体からだをゆっくりこし、しばらくひらかずおおきく欠伸あくびをした。

光男みつお「……さてと」

 光男みつおひらいてよこると、モーテルの同室どうしつ一緒いっしょていたはずの自分じぶん息子むすこ姿すがたがどこにもないことに気付きづいた。息子むすこていたベッドはすでに布団ふとんたたまれており、そのうえにはちいさなメモがいてあった。

 ーーーさききて、にわ素振すぶりしてるーー

 光男みつおうれしいおもいがじわじわむねおくからいてたのをかんじた。

 光男みつおふく着替きがえて、木刀ぼくとうにぎるとウキウキしながらモーテルのプールきのにわた。

 そこには真剣しんけん素振すぶりをしている藍川あいかわ竜賀りゅうが姿すがたがあった。

光男みつお「おー!!相変あいかわわらずやってんなぁ?」

竜賀りゅうが「!あっ!とうさん!おはよ!」

光男みつお「おはよう!身体からだ調子ちょうしはどうだ?」

竜賀りゅうが「うん!昨日きのうたくさんべたから身体からだ元気げんきだよ!」

光男みつお「そっか?ならおれうでなまらねぇよう稽古けいこといくか!」

 竜賀りゅうが光男みつおから木刀ぼくとうると真剣しんけんさやおさめ、木刀ぼくとうふたた素振すぶりをはじめた。

光男みつおもルーティーンの素振すぶりをして身体からだ普段ふだん調子ちょうしもどしていった。


 あせながした2人ふたりはシャワーをびてから、ベイカー夫妻ふさいいえかった。トニーに案内あんないされダイニングキッチンにはいると、そこには朝食ちょうしょく用意よういされていた。

シャーリー「あら2人ふたりともおはよう」

竜賀りゅうが光男みつお「「おはようございます!」」

シャーリー「まぁ元気げんきだこと!」

光男みつお「ええ…昨日きのういただいた御馳走ごちそうのおかげですっかり元気げんきになれましたので」

シャーリー「そう?なら今日きょうもしっかりべて、もっと元気げんきになってね」

光男みつお「ありがとうございます!」

竜賀りゅうが「それじゃいただきます!!」

 そして2人ふたり食事しょくじをすすめていくのであった。


 黙々もくもく食事しょくじをするなか、トニーは2人ふたりいてきた。

トニー「それでこれから2人ふたりはこれからどうするんだ?日本にほんくのか?」

光男みつお「…いまのところなんのアテもないので、この世界せかい日本にほんかうため算段さんだんてようかなとおもってます…」

トニー「……そうか……」

 光男みつおは、トニーがくら表情ひょうじょうをしながら相槌あいずちっているのをて、なにかをさっしたよう言葉ことばえらびながら質問しつもんをしてみた。

光男みつおMr.ミスターベイカー?」

トニー「ン?…どうかしたのかい?光男みつお

光男みつお昨日きのうきそびれてしまったんですが、昨日きのうのおひる本当ほんとうだれ食事しょくじする予定よていだったんですか?」

 するとベイカー夫妻ふさい突然とつぜんビクッ‼︎としたようかたまった。

トニー「……どうしてそうおもうんだい?……」

光男みつお「あの料理りょうりのはあきらかに2人ふたりべれるりょうではないし、我々われわれため準備じゅんびしたにしてははやぎる……本当ほんとうべつのお客様きゃくさま予定よていのモノだったんじゃないですか?」

シャーリー「…ふふふ」

トニー「中々なかなかかしこおとこだな?」

竜賀りゅうがとうさん……」

トニー「光男みつお……きみったとおりだよ……」

光男みつお「ではやっぱり……」

シャーリー「ええ、昨日きのう本当ほんとう息子むすこむすめえってて、4にん一緒いっしょひさしぶりに食事しょくじする予定よていだったのよ」

光男みつお息子むすこさんとむすめさんがるはずだったんですか?」

シャーリー「そのはずだったんだけど……」

トニー「またべつ仕事しごとはいったのさ」

 竜賀りゅうがは3にん英語えいご会話かいわしているのをテーブルのすみきながら必死ひっし理解りかいしようとした。

光男みつお「よろしければきたいんですが、息子むすこさんたちのご年齢ねんれいは…?」

シャーリー「息子むすこのウィルソンが38さいで、むすめのメリアンが35さいなのよ」

光男みつお息子むすこさんはぼくの1つ年下とししたですね」

トニー「2人ふたりとも独身どくしん子供こどももいないから心配しんぱいでね……まぁ仕事しごとばっかりにんでいるから、2人ふたりとも充実じゅうじつしているらしいけど」

光男みつお「そうなんですね…」

シャーリー「2人ふたりとも仕事しごとさきがマクシム連合れんごう軍事ぐんじ関係かんけいでね」

光男みつお軍事ぐんじ関係かんけい?」

シャーリー「ええ」

トニー「なにやらぐん必要ひつよう研究けんきゅうをしているらしい……おれたちにもなにってくれないんだ…」

シャーリー「トニー…2人ふたりとも組織そしき機密事項きみつじこうだから家族かぞくにもはなせないって以前いぜんからってたじゃないですか?」

トニー「だからっておや元気げんきかどうかも連絡れんらくすらしてくれないじゃ……」

光男みつお「それはさびしいですね…」

シャーリー「だから昨日きのう2人ふたり連絡れんらくして、一緒いっしょ食事しょくじしましょってさそったんだけど……」

光男みつお「それを直前ちょくぜんになってことわられた……?」

トニー「………」

シャーリー「せっかくつくった料理りょうり台無だいなしになりかけていて、トニーとわたしこまってたところに光男みつお貴方アナタてくれたのよ」

トニー「あのときたすけてくれと突然とつぜんわれて戸惑とまどってしまったが、竜賀りゅうがたおれているところをたら、ほっとけなかったよ…」

光男みつお「そのせつはありがとうございました」

 光男みつおふたた2人ふたりあたまげた。

光男みつおぼくたすけてくださった2人ふたりちからになりたいんですが……ぼくなに2人ふたり手伝てつだえることなどありませんか?」

トニー「そんなこときみにする必要ひつようはないんだよ…我々われわれ勝手かって善意ぜんいでやったことだ」

光男みつお「しかし……」

 ベイカー夫妻ふさい一瞬いっしゅんわせると、竜賀りゅうがて、そして視線しせんふたた光男みつおもどした。

シャーリー「それじゃあ、ここのモーテルの清掃せいそうとか、管理かんりのお手伝てつだいをおねがいしてもいかしら?」

光男みつお「はい!!よろしくおねがいします!!」

トニー「ここらへんのモーテル全体ぜんたいがウチも所有物しょゆうぶつだから掃除そうじだけでもほねだぞ?」

光男みつお「いいえ!!体力たいりょくには自信じしんがありますので!!」

トニー「それじゃあ、おれとこのあとよろしくな?もちろんはたらいてくれたぶんのおかねす」

光男みつお「…!!ありがとうございます!!」

 光男みつおうれしそうなかおをしながら食事しょくじつづけていった。竜賀りゅうがはベイカー夫妻ふさいのアイコンタクトがなに意味いみしているのか、こころっかかっていたーーーー


 ーーーー食事しょくじわったあと台所だいどころ食器しょっきあらおうとしていたシャーリーのよこ竜賀りゅうが近寄ちかよっていった。

シャーリー「あら?どうしたの?竜賀りゅうが?」

 シャーリーは食器しょっきあらっていためて竜賀りゅうがった。竜賀りゅうがはマルチセルラーの翻訳ほんやく機能きのうしで辿々たどたどしい英語えいご使つかいながらシャーリーにはなしかけた。

竜賀りゅうが「あの……」

シャーリー「?」

竜賀りゅうがぼくに……英語えいごを…おしえてください……」

シャーリー「!……」

竜賀りゅうが「……駄目ダメですか?」

シャーリー「いいえ、わたしければ」

竜賀りゅうが「…!!ありがとうございます!!」

 うれしそうなかおをしながら、シャーリーの食器しょっきあらいを手伝てつだおうとした。

竜賀りゅうが「それじゃあ…これ…あらいますね?」

シャーリー「まぁ!ありがとう!ならこれがわったら英語えいご勉強べんきょうをしましょうね?」

竜賀りゅうが「はい!」

 竜賀りゅうが洗剤せんざいをスポンジにかけ、食器しょっきあらはじめたーーーー


 ーーーーあさモーテルからチェックアウトしたおきゃく使つかっていた各部屋かくへや掃除そうじわらせ、備品びひんのチェックをトニーと光男みつお一緒いっしょにやっていると、トニーが光男みつお世間話せけんばなしちかけてた。

トニー「ところで光男みつお?」

光男みつお「?なんですか?」

トニー「竜賀りゅうが伽霊能力ギアルスキルれてからなにわったこととかないか?」

光男みつおわったことですか……?」

トニー「ああ……たとえば…その……攻撃こうげきてき性格せいかくになったり…とか、凶暴きょうぼうになったり…とか」

光男みつお「え?いやいや!そういうタイプの変化へんかなにいですよ?」

トニー「そ…そうか……」

光男みつお「あのはあののまんま…やさしいのまんまですよ」

トニー「…………」

光男みつお「………もしかして……息子むすこさんとむすめさんに関係かんけいしてますか?」

トニー「!………ホンットにかんするどひとだね?きみっておとこは」

光男みつお「トニーさんのかおいてましたよ」

トニー「……ハハッ…シャーリーにもかおるとわれているからね…」

光男みつお「それで?ウィルソンさんとメリアンさんは伽霊能力ギアルスキルれてから、どうなったというんですか?……やっぱりわってしまったんですか?」

トニー「………ああ………すっかりわっちまったよ……」

光男みつお「………」

トニー「むかしやさしいたちだったんだ……」

 トニーは作業さぎょうするめ、ちかくの腰掛こしかけにすわるとクビにかけていたタオルであせぬぐいながら、ゆっくりかたはじめた。

トニー「丁度ちょうど、ウィルソンが竜賀りゅうがおなどしぐらいだったか……いもうとおもいの…純粋じゅんすいだった……無適能者アンチステージときよわ立場たちばもの気持きもちをかんがえ、けっして能力チカラたないことかんして悲観ひかんするようじゃなかった」

光男みつお「それが……能力チカラったときわっってしまったと……?」

トニー「………きっと能力チカラにしたことをおれ自慢じまんしたかったのかもしれない……それで学校がっこうにいた同級生どうきゅうせい大怪我おおけがさせてしまった…」

光男みつお「その大怪我おおけがした生徒せいとは…?」

トニー「さいわ生命いのち別状べつじょうないし、後遺症こういしょうのこらなかった………だがもしものことがあったらとおれはウィルソンを怒鳴どなりつけた」

光男みつお自分じぶん子供こどもにそんなことをしてしくなかったんですね?」

トニー「ああ……それ以来いらい息子むすことは関係かんけいみぞができてしまった………あんな能力チカラれてしまったばっかりに……」

光男みつお「……それから息子むすこさんとはおはなしはされたんですか?」

トニー「何度なんどちかけようとしたが、ことわられつづけてな……むすめのメリアンはたまにおれたちおや心配しんぱいをしている電話でんわはしてくれるんだが、息子むすこ仕事しごと没頭ぼっとうしているよ」

 光男みつおはトニーのはなしいて、竜賀りゅうがのことをおもかべた。竜賀りゅうがはあのとき伽霊能力ギアルスキル覚醒かくせいしても人格じんかく突然とつぜん変異へんいしてはいなかった。

光男みつおMr.ミスタートニー?きたいことがあるんですが?」

トニー「なんだい?」

光男みつお「この世界せかいでは伽霊能力ギアルスキルつことがやはり“特別とくべつ”なことなんですか?」

トニー「そりゃそうだ……この世界せかいじゃ能力チカラっていれば暴力ぼうりょく経済力けいざいりょく求心力きゅうしんりょく能力チカラたざるもの支配しはいすることもできる…」

光男みつお「………適能者デュナミストたち世界せかい能力チカラ支配しはいし、よわものたちしいたげるなかわってしまったんですね」

トニー「どんなちかられたなら、それをためひとため使つかってしいもんだ……」

光男みつお竜賀りゅうがは……もしかしたら…そうなってしまうかもしれません」

 トニーは光男みつおかおおどろいたようつめた。

トニー「………あんたは息子むすこしんじていないのかい…?」

光男みつお「いや……これから竜賀りゅうがまわりを環境かんきょうそのものが、竜賀アイツえてしまうとぼくおもいます」

 光男みつおはトニーのながらった。

光男みつお人間にんげんくもわるくも環境かんきょう左右さゆうされやすいものです……でも…」

トニー「?……でも?」

光男みつお間違まちがいをおかしてしまったら、そのあやまちからまなえるのも人間にんげんだとおもいます」

トニー「…………」

光男みつおぼく息子むすこ絶望ぜつぼうからがるちからしんじています」

トニー「……なるほど……」

 トニーは光男みつお言葉ことばにある竜賀りゅうがへの信頼しんらいかんじてすこしだけ安心あんしんしている様子ようすだったーーーー


 ーーーー英語えいご勉強べんきょうを2時間じかんくらいしていた竜賀りゅうが集中しゅうちゅうりょく完全かんぜんちていた。

竜賀りゅうが「………つ…つかれた……」

 あたまからプシュ〜とおとてきそうなくらい知恵熱ちえねつしていた。

シャーリー「あらあら、おつかさま

 シャーリーは勉強べんきょうづかれでグッタリしている竜賀りゅうがねぎいの言葉ことばをかけながらニッコリ微笑ほほえんでいた。

竜賀りゅうが「は…はやく…ぼくだけでも英語えいごみ・き・翻訳ほんやくできるようにならないと……」

シャーリー「本当ほんとう竜賀りゅうが頑張がんばさんね?でもあんまりこんぎてもいことはいわよ?」

竜賀りゅうが「あんまりもと世界せかいにいたときちゃんと勉強べんきょうしてこなかったから、全然ぜんぜん英語えいごとかなんとなくしか分からなくて……」

シャーリー「そう?…言葉ことばはあくまで気持きもちを表現ひょうげんするため道具どうぐでしかないわ。本当ほんとう大切たいせつなことは自分じぶん気持きもちやかんがえを相手あいてつたえることよ。英語えいご完璧かんぺきはなすことじゃないわ」

竜賀りゅうが自分じぶん気持きもち……」

シャーリー「そのてん竜賀りゅうが全然ぜんぜん問題もんだいいわ。間違まちがってもいいから必死ひっし自分じぶん気持きもちをわたしつたえようとしてくれたでしょ?」

竜賀りゅうが「ただ無鉄砲むてっぽうなだけですよ……父親ちちおやにもわれているんですけどね」

シャーリー「竜賀りゅうがはちゃんとコミュニケーション才覚センスはあるわ」

竜賀りゅうが「そりゃかったです……」

シャーリー「それより……気分きぶん転換てんかんもの一緒いっしょきましょ?」

竜賀りゅうがきます……アメリカのスーパーマーケットになっていたので是非ぜひ…」

シャーリー「食材しょくざいもそうだけど…竜賀りゅうが貴方アナタのおとうさんのふくいにかないとずっとその格好かっこうだとねぇ…」

 竜賀りゅうが自分じぶん服装ふくそうて、たしかに…と絶句ぜっくした。あおいTシャツにくろみになったいたいま状態じょうたい御洒落オシャレとおすには限界げんかいがあった。

竜賀りゅうがたしかにこの服装ふくそうなんにちもいるなんてキツイか……」

シャーリー「貴方アナタふくもだけど光男みつおふくいにかないとね」

竜賀りゅうが「あ!…そっかとうさんのふくわなきゃいけないんだった」

シャーリー「あと光男みつおさんにふくのサイズきいかなきゃね」

竜賀りゅうが「いや!どっちかとうと体型たいけいはかったほういかも?もしかしたらサイズの規格きかくがココとぼくもといた世界せかいちがうかもしれませんから」

シャーリー「!…それもそうね……それじゃあこうからカバンとメジャーってるからっててね?」

竜賀りゅうが「はい!」

 竜賀りゅうがはシャーリーの支度したくととのうのをリビングでっていたーーーー


ーーーー竜賀りゅうが流石さすがおおぎじゃないですか?……これは……」

 大量たいりょうものぶくろ両手りょうてげて、竜賀りゅうがとシャーリーはまちあるいていた。

シャーリー「いのよ。ひさしぶりのものなんだし貯金ちょきん沢山たくさんあったから奮発ふんぱつしちゃった!」

 手下てさぶくろを3つぐらいかかえてウキウキしながらあるいているシャーリーのうしろ必死ひっしになって竜賀りゅうがはついていった。

シャーリー「それにしても竜賀りゅうがったとおり、まえ光男みつお貴方アナタからだのサイズはかっておいてかったわ」

竜賀りゅうがあんじょうぼくんでる世界せかいふく規格きかく全然ぜんぜんちがってましたもんね……」

シャーリー「光男みつおさんは旦那だんな一緒いっしょ仕事しごとをしなきゃいけないかられてワケにもいかないし、サイズだけメモしておいたけど」

竜賀りゅうが「おかげてスムーズにものわりましたけど、下着ショーツから靴下ソックスシューズまでそろえるなんて気合きあいはいぎじゃないですか?」

シャーリー「いのいの!………あら?」

竜賀りゅうが「??……どうしました?」

 シャーリーの視線しせんさきなにがあるのかをると、路地ろじかげみょう人集ひとだかりができているのをつけた。

シャーリー「………あそこでなにやってるのかしら?」

竜賀りゅうがなんめずらしいものとか……もしかして動物どうぶつでもいるのかも?」

 2人ふたり興味本意きょうみほんいでそこに近付ちかづいていってみると、そこには1人ひとり人間にんげんキズだらけでかべにもたれかかるようたおれている少年しょうねんがいた。

竜賀りゅうが「!!?」

 竜賀りゅうがあたまかんがえるよりさきに、そこにいそいでけると人混ひとごみをかき少年しょうねんのそばにった。

竜賀りゅうが「おい!!大丈夫だいじょうぶか!?」

チンピラ「オイ!なにソイツかばってんだよ?」

 いかにも不良ふりょうですといたげな刺青タトゥーれた白人はくじん長身ちょうしん少年しょうねん竜賀りゅうが見下みおろしながら怒鳴どなってきた。

少年しょうねん「………………?」

チンピラ「おまえコイツの仲間なかまか?」

竜賀りゅうが「もしそうだってったらなんだってんだよ」

チンピラ「だったらコイツ同様どうようボコボコにしてやるよ!」

 チンピラのまわりにいたきの連中れんちゅうもそうだそうだと同調どうちょうするよう野次やじばした。竜賀りゅうがかこんでいる連中れんちゅうふくかお見渡みわたし、

竜賀りゅうが「それじゃあコイツがおまえらになんかしたのかよ!?あぁ!!?」

 竜賀りゅうががりながら、チンピラにかっていかりをぶつけた。チンピラは竜賀りゅうがかお自分じぶんかお近付ちかづ怒鳴どなりつけた。

チンピラ「そいつは適能者デュナミストなんだよ!!」

竜賀りゅうが「だからなんだってんだよ!!それがこいつを傷付きずつけても理由りゆうになるってのか!?こいつが適能者デュナミストならこいつをこんなまみれにしたっていって法律ほうりつでもあるってのか!?あぁ!!?」

チンピラ「適能者デュナミストけがれた能力チカラ平気へいきひとおそいかれた存在そんざいなんだよ」

竜賀りゅうがだれがそんなことめたんだよ?だれがそんなことおまえったんだよ!!こたえろ!!どうせおまえ適能者デュナミスト攻撃こうげきされたことねぇんだろ!?」

チンピラ「オレの父親ちちおやってたんだよ!それに大抵たいていニュースでながれる事件じけん犯人はんにん適能者デュナミストばっかりだしな!きててもロクことねぇのろわれた連中れんちゅうなんだよ」

竜賀りゅうが「だからっておまえや、おまえきにも危害きがいくわえてないコイツにいしげて道理どうりなんてどこにもないだろ!!」

チンピラ「テメェさっきからなにコイツかばようことってんだよ…!もしかしてテメェも適能者デュナミストかよ!?」

 チンピラの言葉ことばまわりのきがゾッとしたよう後退あとずさりした。

竜賀りゅうが「………」

 竜賀りゅうがはただチンピラをにらけていた。チンピラのきは沈黙ちんもくったのか、さっきとはってわって竜賀りゅうがおびえるよう表情ひょうじょうをした。

チンピラ「……ハッ!……やっぱりおまえコイツのお仲間なかまだったのかよ!!上等じょうとうだ……かかってこいよ!!」

竜賀りゅうが「いいぞ……やってやる……!」

シャーリー「やめなさい!!いま警察けいさつんだわ!!」

 突然とつぜんそこにってはいようにシャーリーのこえひびいた。

チンピラ「やべ!!おまえら!!いますぐトンズラするぞ!!」

 チンピラが大声おおごえきにびかけると、蜘蛛くもらすようりにそのからえていった。

竜賀りゅうが「シャーリーさんありがとう…警察けいさつんでくれて……」

シャーリー「はぁ…はぁ…ウソよ」

竜賀りゅうが「………へ?」

 シャーリーはそこにすわみ、ホッとしたよう深呼吸しんこきゅうした。

シャーリー「警察けいさつるとでもわなかったら、貴方アナタ喧嘩ケンカするところだったじゃない」

 竜賀りゅうがはシャーリーのそばにり、目線めせんわせるようにしゃがみんだ。

竜賀りゅうが「………ごめんね……心配しんぱいかけて……」

シャーリー「…竜賀りゅうが……もう二度にどとあんな危険きけんこと自分じぶんからまれにようなマネはやめなさい」

竜賀りゅうが「……なるべくけるよ……それより……あの…」

 竜賀りゅうが視線しせんたおれているおとこけた。竜賀りゅうがとシャーリーはおとこって怪我ケガ状態じょうたいた。

竜賀りゅうが「シャーリーさん…このは?」

シャーリー「かおキズもそうだけど、それよりこの相当そうとう栄養失調えいようしっちょうこしてるわ」

竜賀りゅうが「このおれみたいに御飯ごはんべたらなおる?」

シャーリー「いいえ!ここまでくるとまず点滴てんてき直接ちょくせつ身体からだ栄養えいようおくらないといけないわ」

竜賀りゅうが「シャーリーさん!このたすけてくれない!?」

シャーリー「!?」

 シャーリーは竜賀りゅうが言葉ことばおどろいた。

シャーリー「いまわたしいえ貴方アナタ貴方アナタのおとうさんをかくまってるのに、そのうえこのかくってしいってうの?」

竜賀りゅうが「おねがい!!」

 シャーリーはおとこ竜賀りゅうがかおて、はらくくったよう表情ひょうじょうをした。

シャーリー「かったわ!とりあえずこのいえまではこびましょう!」

竜賀りゅうが「はい!」

 竜賀りゅうがこえげて返事へんじをすると、おとこかつげ、ものぶくろひろいえかった。

シャーリー「竜賀りゅうが大丈夫だいじょうぶ?…大分だいぶおもそうだけど……」

竜賀りゅうが大丈夫だいじょうぶ大丈夫だいじょうぶ…これぐらい稽古トレーニングおもえばかるいもんだよ!」

 竜賀りゅうがひたいあせかべながら、あるいた。

竜賀りゅうが「シャーリーさん……さっきのことなんだけど……」

シャーリー「なにかしら……」

竜賀りゅうが適能者デュナミストって本当ほんとうに“のろわれた存在そんざい”なの?」

シャーリー「!」

竜賀りゅうがまれたときから……物心ものごころつかないうちから……のろわれてるなんて…そんなのおれみとめたくなんかない」

シャーリー「………竜賀りゅうが……気持きもちはかるわ…でもなかにはいろんなひとがいるわ……どうしても理解りかいしあえないひとたちも…」

竜賀りゅうが「……うん……」

シャーリー「でも……本当ほんとう大切たいせつことは、ひとはそれぞれちがうってことい、理解りかいうことだとおもうのよ」

竜賀りゅうが「……そういうモンか……」

シャーリー「わたしすくなくとも貴方アナタこと“呪のろわれた存在そんざい”だなんてまったく|思《おもってないわ」

竜賀りゅうが「……ありがとう……」

シャーリー「だからそんなにまないで、伽霊能力ギアルスキルなんて能力チカラこころ支配しはいされないつよになりなさい」

竜賀りゅうが「…なんとなくかった……」

 竜賀りゅうがはシャーリーの言葉ことばは“理解りかい”はできたが“納得なっとく”はできていなかった。

 あのときクリフ・ポーランドの言葉ことばがさっきのチンピラの言葉ことばかさなっていたからだ。

伽霊能力ギアルスキルのろわれた能力チカラ背負せおった人間にんげん宿命しゅくめい。それが自分じぶんとこのおとこ生涯しょうがいのろつづけるんだろうか?竜賀りゅうがいまそのこたえがみちびせなかった。


To Be Continued

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