#33 LOOP BLAKE 第2章 腐れ縁 第20話「藍川竜賀VSソルマン・ノルスタイン」
薄暗い洞窟の中で地面や壁を大きく振るわせる大震動が起きた。辺りの石にヒビを入れ大量の砂埃が舞った。砂埃の中に倒れていた藍川竜賀はゆっくり立ち上がりながら目の前にいる男を睨み付けた。
竜賀「…畜生…!!」
ノルスタイン「…ン〜〜〜〜フッフン♫」
倒れている竜賀を鼻で嘲笑う様に鼻唄を唄っていたソルマン・ノルスタインがいた。
ノルスタイン「我らブルガントの首領…アレ〜〜ックス・ブルガーーントの最大の復讐相手〜〜♫それはこのーーアメリカ合衆国と言〜〜う国の仕組みそのもーーのなんですよ〜〜♪」
源太「国の仕組み…だと?…それって…」
竜賀「資本…主義か…!!」
ノルスタイン「Oh〜〜イエエエス!!♪このきょだ〜〜いな国は自由と言ーーう偽〜〜りの言葉をーー盾にして大勢〜〜の人々をーー苦し〜〜め続けていまーーす♩」
マーカス「それがお前らの行動原理ってことか…!?資本主義に対しての反乱こそが目的なのか!?」
ノルスタイン「ン〜〜フッフッフッフ♪この社会はーー国民をかこ〜〜くな競争の中に入れ、生きのこーーった選ばれ〜〜し強者のみがじゆーーうを手に入れられま〜〜す♫しかーーし!!♩」
ノルスタインは言葉を強調する様にわざとらしく手を大きく拡げた。
ノルスタイン「その反面このしゃか〜〜いはその競争に負けーーた者をじゃ〜〜くしゃにし、二度ーーと戦えない様〜〜に叩き潰しまーーす♫」
竜賀「徹底的な資本主義国家だからな…アメリカってのは…」
ノルスタイン「この社会におけ〜〜るじゆーーうは上位10%が〜〜90%の敗者の死屍の上ーーに成り立っているモノで〜〜す♫だかーーらこの様な社会をはか〜〜いする為ーーにブルガントだ〜〜んは集まーーったので〜〜す♬」
マーカス「……だからって…だからって!今までこの都市に住んでいた住人の生活が脅かされても良いってのかよ!」
ノルスタイン「その住人た〜〜ちは、そのような犠牲の上に立ーーっている♪さ・ら・に少数派の適能者達を徹底的に追い詰めま〜〜す♫なのに自分た〜〜ちが今度は追いやらーーれる側に立ったら被が〜〜い者ヅラでーーすか??♩ず〜〜いぶんつごーーが良いで〜〜すねーー♬」
竜賀「……だったらさ」
ノルスタイン「?」
竜賀「さっきまで檻の中にいた適能者達は何でシカゴの都市に住めていたんだろうな?」
源太「竜…」
竜賀「何で差別されているはずの適能者達はこの都市をアンタ達から取り返したいなんて言うんだろうな…」
ノルスタイン「無適能者にたまし〜〜を売った裏切り者ーーの気持ちを推し量〜〜れとでも言ーーうのでしょうか?」
竜賀「……結局そこがブルガント団の“限界”か…」
ノルスタイン「何…?」
竜賀「自分の為に他人が変わるのを期待してるだけの…そんな奴らが支配なんざできる訳ねぇだろ」
マーカス「竜賀…」
竜賀「権力や、暴力で人は一時的に言うことを聞くことはあっても…人の“心”まで縛り付けるうことは決してできない……苦労をして手に入れた国は治めるに易く、楽をして手に入れた国は治めるに難し、ってな」
ノルスタイン「Ohhhhh〜♬素晴らしーーお言葉で〜〜すねーー♪教養豊か〜〜なよーーですね〜〜♫」
竜賀「否…俺のお爺ちゃんの言葉だよ…だがこれが真実であり、現実でもある…お前らブルガント団がどれだけ暴力って手段を使って国を堕としても…ここまで“楽”な手段で誰も納得しないやり方で国を治めようとしたら…どんな結末を迎えるかなんて嫌って言うくらい歴史が証明してきたんだよ」
ノルスタインは今まで余裕そうな表情を見せていたのが、少しだけ眉をひそめた。
ノルスタイン「では〜〜その歴史というーーのをワタ〜〜クシ達に見せて下さーーい♬」
吐き捨てる様に言葉を放ちノルスタインは竜賀達に向かって腕を横に振った。竜賀は何かヤバいのが飛んで来ると直感し、急いで闇雲に刀を振るった。それが功を奏した。
竜賀達を襲った何かは竜賀を中心に扇状に真っ二つになって、壁や地面を破壊した。
ノルスタイン「つくづく勘の鋭〜〜い子供ですねーー♩」
マーカス「な…何なんだ一体…!?」
竜賀「はぁ…!はぁ…!はぁ……“音”か?」
ノルスタイン「Ohhhh…素晴らしいですね〜♫その通りでーーす♩」
源太「音ってどういうこと?」
竜賀「“音”を“衝撃波”に変えて俺達に向けて放つ能力…それがコイツの能力の正体だよ」
ノルスタイン「ン〜〜〜フッフッフッフ…少しちがーーいますね〜〜♫」
源太「!?」
竜賀「違う?」
ノルスタイン「そもそ〜〜も君は“音”とは何なのかりかーーいしてま〜〜すかーー?♫」
竜賀「……空気の振動…」
ノルスタイン「正解で〜〜す♫しかーーし衝撃波ではな〜〜いのでーーす♩衝撃波と〜〜は音速で大気にあーーつ力がかか〜〜った際に生まれるきゅうげーーきな圧力と空気のへ〜〜んかの波を衝撃波と言いまーーす♪」
源太「……なるほど…さっぱり解らん」
竜賀「解ってないんかい…」
ノルスタイン「ワタ〜〜クシがやっているのは言ーーうなれば“波動”でーーす♪」
マーカス「波動?」
ノルスタイン「空気を簡単な形の空間に閉じ込めたじょ〜〜たいで振動させ高速でいどーーさせる♩それがワタ〜〜クシの“波動”で〜〜す♪」
竜賀「つまり振動する空気の塊を放つ能力ってことか…」
ノルスタイン「せいか〜〜いでーーす♪ですから〜〜音速ほどのスピーードなど出せませ〜〜んし、周囲の物を一斉に破壊するなーーどはぜ〜〜んぜんできませーーん♬」
ノルスタインは見せつける様に掌の上で歪な球体の形の波動を作って見せた。
竜賀「源太、マーカスさん…ここは俺に任せてくれませんか?」
マーカス「…戦うんだな?」
竜賀「はい」
源太「俺でも分かるくらいヤバい敵だぞ」
竜賀「ああ…でも誰かが残って相手をしなけりゃいけねぇくらい、この男は危険過ぎる」
ノルスタイン「ほう?♫」
竜賀「今ブルガント団のマクシム連合への攻撃を抑えたいのに、この男の能力は戦況を一気にひっくり返される可能性がかなり高い…だったら1分1秒でも長くコイツをここで足止めすることが勝率を上げるなら俺がやる」
マーカス「しかし!!」
源太「マーカスさん!!ここは竜賀の言う通りにしましょう!!」
源太は伽鍵礼符を取り出し、自分の腕を巨大化させエリックとマーカスの身体を鷲掴みし持ち上げ、奥へ走って行った。
ノルスタイン「Ohhhhh〜〜♪ターゲットをさらに追い掛けなければならーーなくなりま〜〜したーー♬」
竜賀「自分の生命の心配しな」
竜賀はゆっくり源太から視線をノルスタインに戻しながら言った。
竜賀「アイツがそばにいると邪魔だったからな……」
ノルスタイン「何がですか?♫」
竜賀「決まってんだろ…お前を殺すにはな」
ノルスタイン「……なんだ…そんな眼もできるんじゃねぇか」
竜賀は刀を振り上げたかと思いきや猛スピードでノルスタインに向かって突進していった。刀の切先をノルスタインの目に目掛けて刺突を放った。
竜賀「……シッ!!」
ノルスタイン「ワォ!!」
ノルスタインは辛うじて竜賀の攻撃をギリギリ躱したが体勢を崩され倒れかけていた。竜賀はその一瞬を見逃さず次の攻撃も仕掛けようとした。その時、
ノルスタイン「あま〜〜〜〜い!!!♬」
竜賀の頭の上からノルスタインの左手が振り下ろされた。竜賀はそれをギリギリで躱し、急いで後退したがノルスタインの左手が地面に触れた瞬間、
ドガアアン!!!
地面が爆発した様に、土が木っ端微塵に吹き飛んだ。ノルスタインはよろめきながらも体勢を立て直していた。
ノルスタイン「ン〜〜〜フッフッフッフ♫せーーーかいッ!!♩避けてせーーかいで〜〜すよーー♫」
竜賀は辛うじて避けていた筈の顔から血が流れていた。額から流れてくる血が眼に入らないように竜賀は右目を閉じていた。
竜賀「アホ言ってんじゃねぇよ…避けれてねぇよ…しっかり当たってるわ」
ノルスタイン「バカ言っちゃダ〜〜〜メでーーすよ〜〜♫その程度では当たーーったことにはな〜〜りませんよーー♪」
竜賀「あんな崩した体勢からでもここまで正確に標的に向かって攻撃を当てられるなんて相当戦い慣れしてなきゃできない」
ノルスタイン「ン〜〜〜♬嬉しーーことを言ってくれま〜〜すねーー♩」
竜賀「ブルガント団には大したことのないチンピラ適能者ばっかりの集まりだと思ってたのに、ここまでできる奴がいるのはびっくりだわ」
ノルスタイン「♪」
竜賀「アンタ元は軍人じゃねぇのか?」
ノルスタイン「鋭〜〜いでーーすねぇ〜〜♫そうでーーす♬ワタ〜〜クシは元々イギリス出身の母親を持つイギリス系アメリカ人の軍人でーーす♩もっとも〜〜所属は暗殺専門のーー隠密機動〜〜でしたがねーー♪」
竜賀「ここまで能力に恵まれていながら道をどこで踏み外したのか…もの凄く気になるんだがな」
ノルスタイン「…道ですか……アナ〜〜タが思い描ーーいている道など、圧倒的な力の前では儚〜〜い幻に過ぎませーーん♪アナ〜〜タは努力をすれーーば必ず夢は叶〜〜うと信じーーているのかもしれ〜〜ませんが♪それは全て戯言でーーす♫」
竜賀「権力ってこと?」
ノルスタイン「そのと〜〜りでーーす♪」
竜賀「ここは自由の国アメリカのはずなのにな?」
ノルスタイン「表向きでは〜〜そう言っているだけーーで実態は不自由〜〜と不公平、不平等なーー現実が蔓延〜〜っているざんこーーくなしゃか〜〜いなのでーーす♬」
竜賀「そんな社会を…アンタ達は変えたいのか?」
ノルスタイン「そうで〜〜す♪ブルガントだーーんにはそのよ〜〜な社会の落伍ーー者達が集ま〜〜っていまーーす♫努力ではどうしよ〜〜もできなーーい資本主義とは名ばかりの権力争いには〜〜いぼくしてしまった者達でーーす♩」
竜賀「……随分アンタ正直だね」
ノルスタイン「?」
竜賀「自分達のことを落伍者とか敗北者なんて言うなんてよ…」
ノルスタイン「……」
竜賀「事実をちゃんと受け止めてんのは評価するけど卑屈なのは気に喰わねぇんでな」
ノルスタイン「…ほぅ?」
竜賀「そんな自分を過小評価して一生を終えたいってんなら勝手にすれば良いけど、だからって他の関係の無い誰かまで巻き込んですんなってんだよ…!!」
竜賀はそれだけ言い残すとノルスタインの顔目掛けて再び刺突を放った。
ノルスタイン「馬鹿の一〜〜つ覚えのよーーに同じ攻撃ば〜〜かり仕掛けーーても、躱せま〜〜すよーー♪」
同じ軌道の刺突をまたヒョイと避けたノルスタインは竜賀の横に回り込んで、返技を仕掛けようと波動を発動しようとしていた。しかしそれを見越していたかのように竜賀はノルスタインの避けた方向に身体を捻りながら、刀を引いた。
竜賀「まだだ!!!」
ギイィィィン!!!
しかし、竜賀の二撃目を狙った横薙ぎはノルスタインの脇腹で寸止めされていた。竜賀は自分の刀を見ると、刃とノルスタインの脇腹の間に小さな波動があったのを見つけた。
竜賀「…!!?」
竜賀は急いで敵の攻撃から逃れようと後に飛び退いた。受身を何とか取って体勢を立て直し、再びノルスタインに襲い掛かった。しかし、
ノルスタイン「全く♪懲りませ〜〜んねーー♬」
竜賀の連続攻撃をノルスタインは突っ立った状態で受け続けた。正面からの攻撃を全く意に介していない様な表情で斬撃を波動で受け止められている竜賀はイラついている表情が滲み出てきた。
竜賀「〜〜〜ッ!クソッ!!」
ノルスタイン「も〜〜止めましょーー♪無駄で〜〜すよーー♬アナ〜〜タの攻撃はワターークシには効きませ〜〜んが♩ワターークシの攻撃はアナ〜〜タには効くんでーーす♫」
ノルスタインは両手を上げて竜賀に狙いを定めていた。
ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!
そしてノルスタインの両手から連続でバスケットボールくらいの波動の塊が交互に飛んで来た。
竜賀「!!?」
竜賀は後に飛び下がりながら放たれた波動を刀で懸命に叩き斬っていった。しかし、斬った波動が分散されるとその余波がさらに周囲を破壊していった。
ドカン!!ドドン!!ドカアァン!!!
竜賀「ガハ!!」
波動の余波を喰らってしまった竜賀は血を吐き出しながらも、クリティカルヒットを何とかして避け続けていた。
ノルスタイン「フッフッフッフッフッフ〜〜♪そんなものでーーすか!!?♫アナ〜〜タの実力といーーうものは!!♩攻撃を受け止めることだ〜〜けに必死で敵にーー一撃も加えられ〜〜ず終わーーっていくのが!!♬」
次々飛んで来る波動の塊を躱し続けいる竜賀は刀を振ることを決して止めなかった。
そしてその一方的な攻撃を3分間も竜賀は受け続けた。
竜賀「はぁ…!はぁ…!はぁ…!はぁ…!」
ノルスタイン「はぁ…はぁ…はぁ…しつこいで〜〜すねぇ…♪」
竜賀は口から血を流しながらも構えを崩さず攻撃に耐えている姿は、ノルスタインにプレッシャーを与えていた。序盤は優勢であった筈のノルスタインの余裕そうな顔にはじんわりとした汗が滲み出ていた。
ノルスタイン「ここまで攻撃を喰ら〜〜っているのに倒れない相手なーーんて初めてで〜〜す…♪」
ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!
竜賀「はぁ…はぁ…はぁ…どうした?…さっきまでの涼しそうな顔から…!!…汗が出てんぜ…!!」
ノルスタイン「!?」
ノルスタインは攻撃の手を止め、手で自分の額を拭った。自分が汗をかいている事実を知り目を見開いていた。
ノルスタイン「……な〜〜るほどーー♩…ワタ〜〜クシに波動を打たせ続けーーて霊力の枯渇を狙〜〜っていく作戦でーーすか♪」
ノルスタインは少し焦った様な声を出していたが、竜賀の様子を見て落ち着こうとした。
ノルスタイン「しかもアナ〜〜タの目的はあくまで時間を稼ぐ為にここでワターークシの足止め♬…なら〜〜ばワターークシがすべきは…」
ノルスタインは右側にあった壁を右手で触ると、まるで水の中に入る様に壁に吸い込まれていった。
竜賀は壁の中に消えていったノルスタインに驚愕した。
竜賀「ノルスタイン!!どこ行きやがった!!?勝負はまだ終わってねぇぞ!!」
竜賀は辺りをキョロキョロしたが、さっきまで感じていたノルスタインの殺気が無くなったのを不思議に思った。
竜賀「はぁ…はぁ…どこ行った…?…奴の目的は…!?」
竜賀は何かに気が付いたのか源太達が歩いて行った道を急いで走って行った。
竜賀「まずい!!間に合ってくれよ…!!」
一方その頃、源太・マーカスの二人が長い通路をエリック・ブラックの肩を担ぎながら懸命に歩いていた。
源太「…結構長いトンネルだな…でも後ちょっとで上に上がる階段かエレベーターに着く筈ですから頑張って下さい!二人共」
マーカス「はぁ…はぁ…はぁ…クソッタレ!年は取りたくないもんだ!昔はこんな距離チョロいもんだったのによ…!!」
エリック「……へへ」
マーカス「何が可笑しいんだよエリック!」
エリック「それはこっちの台詞だよ…若い時はこんな怪我…どうってことは無かったってのに……年取ると治りも…遅くなっちまうのかね…」
マーカス「…へ!…そんだけ冗談が言える様になりゃ大分回復できてらぁ!」
エリック「……年を取ると…今まで見えてこなかった世界の…黒い部分も…見えてくるようになっちまう……それで夢を…諦めたり…妥協したりして…自分を誤魔化しちまって…」
マーカス「…それが…大人になるってことなんだよな」
エリック「でも…本当にそれが…大人になる…ってことなんだったら…俺は…」
ノルスタイン「見つけま〜〜したよーー♪」
そこまで言いかけた三人の背後からいきなり別の男の声が聞こえてきた。そう思った瞬間、
ドゴン!!!
三人は突然身体を宙に吹き飛ばされる感覚に陥った。そして気付いた時には地面に強く叩きつけられた。
源太「〜〜〜いってーー!!?」
マーカス「い…一体…!?」
源太は痛みに堪えながら後を見ると、そこにはノルスタインが立っていた。
マーカス「ソルマン…ノルスタイン…!?」
源太「何でお前がここに?竜はどうした!?」
ノルスタイン「ン〜〜〜フッフッフッフッフ♬…今度はアナーータ方のば〜〜んでーーすよ〜〜♪」
ノルスタインは三人に手を向けて狙いを定めようとした。しかしその時、
ドゴ!!
ノルスタインの背中に渾身の力で跳び蹴りをかました小さな影があった。
竜賀「何やっとんじゃゴラアアアアアアアアァァァァァァァァァ!!!!」
ノルスタイン「ゴフ!!?」
ノルスタインの身体は竜賀に蹴り飛ばされ岩の壁に叩きつけられた。
源太「竜!!」
エリック「…おお…!」
マーカス「無事だったのか!?」
竜賀「三人共無事か?」
竜賀は刀をノルスタインに向けたまま警戒を解かず、三人の傍に近寄って安否を確認した。
マーカス「あ、ああ…こっちは何とか…」
地面に倒れていたノルスタインはゆっくり立ち上がりながら、竜賀を睨み付けながら言った。
ノルスタイン「今のは効きま〜〜したよーー♩ま〜〜さかこーーんなに早く追い付くな〜〜んてねーー♪」
竜賀「まぁ…こっちもアンタのプロ意識ってのを信じてみたのさ…」
ノルスタイン「プロ意識?」
竜賀「ああ…もしあそこで俺との闘いにムキになって時間を無駄にして、作戦を失敗させてしまったら…アンタは幹部として示しがつかない」
源太「竜…」
竜賀「だからあの場合は何が何でも作戦を優先するべきだ…そう考えればアンタのやりそうなことなんか自ずと出て来る」
ノルスタイン「な〜〜るほど♪」
竜賀「だがアンタにとっての計算外の事態ってのは…俺と出くわしたことだぞ!ソルマン・ノルスタイン!!」
ノルスタイン「?」
竜賀「俺はしつこいからな…どこまで逃げようが地獄の底まで追い掛けてやらぁ!!」
ノルスタイン「ならば♬地獄にはアナ〜〜タに行って貰いましょーー♫そこの三人と共にねぇ〜〜♪」
ノルスタインはそう言うと竜賀の目の前で水に沈む様に地面の中に入っていった。
エリック「あれは…奴が…ホテルに誰にも気付かれずに侵入した時に…使ってた…伽霊能力だ…」
源太「壁や地面をすり抜ける能力か!?」
マーカス「じゃあ奴は今どこに!?」
するとマーカスの背後の地面からノルスタインが浮いてくる様に現れた。竜賀と源太はそれに気付かなかった。しかし、エリックはそれに誰よりも早く気が付いた。
ノルスタイン「ワタ〜〜クシはここでーーすよ〜〜♪」
ノルスタインがマーカス目掛けて波動を撃ち出そうとしていたのに竜賀と源太がやっと気付いてマーカスとノルスタインの間に入ろうとした。しかし、タイミングが間に合わなかった。
竜賀「クソッ!!」
源太「間に合え!!」
ノルスタイン「…死ね」
ドン!!!
しかしノルスタインの放った波動の塊はマーカスとノルスタインの間に割って入った陰に直撃した。そしてマーカスとその陰は一緒にまとめて背後の壁に叩き付けられ土煙に包まれていた。
竜賀・源太「マーカスさん!!」
そして大量の土煙の中が晴れていくとその中から出てきたのは、マーカスと、血塗れになったエリックであった。
竜賀「……え?」
源太「エリックさん…??」
そしてエリックは地面に倒れて動かなくなってしまった。それを傍らで見たマーカスはその残酷な光景を信じられないと言う表情で凝視した。
マーカス「そんな……嘘だ……嘘だろオイ…!!」
マーカスは地面に膝を付いて親友の体を揺すって起こそうとした。
マーカス「なぁ…起きろよ…なぁ…お前はこんなところで死ぬ男じゃねぇだろ!!エリック!!起きろ!!なぁ!!」
しかしどれだけ呼び掛けてもピクリとも動かないエリックの身体はマーカスに死と言う現実と叩き付けていた。
マーカス「なぁオイ!!目を覚ましてくれよ!!あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
ノルスタイン「……あーーあ♩…成るように成ってしまうものですねぇ…♫」
竜賀「許さねぇ……絶対に許さねぇぞテメェ!!!」
To Be Continued