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嫌なことですら希望に変える”プロセスワーク”という革命
2025年2月の頭に日本プロセスワークセンター(NPWC)の”プロセスワーク入門コース”に参加してきました。そこでの経験と学びが人生の中でとても役に立つ実践的なスキルで、それほど難しくなく(簡単でもないのですが)再現性があることに気づきました。皆さんにシェアをして、取り入れていただきたくことでより良い人生に向かっていただきたく、ここにメモを残しておきます。
前置きがあるので、核心にすぐに行きたい方は目次の”プロセスワークの圧倒的なインパクト”から読んでみてください。
プロセスワークとの出会い
”対立する炎にとどまる(アーノルド・ミンデル)”との出会い
場所は東京の参宮橋にある国立オリンピック記念青少年総合センター。普段は長野県茅野市の山の中で生活をしている僕は、金曜日をまるまる1日移動日に設定して、ワンちゃんたちを連れて茨城県牛久市にある実家に向かいました。
ワンちゃんたちを実家で預かってもらい、自分は出張中のホテルにしているハイエースのキャンピングカーで東京に向かい、新宿辺りのコインパーキングで車中泊することにしました。
”入門コース”は週末の土日2日間両日ともに10:00-17:00まで行われ、料金も5万円弱かかります。動物と山で暮らす自分にとって状況することは割と大変ですが、それでも参加しようと思ったのは、プロセスワークに非常に関心があったためです。
最初のきっかけは、Arnold Mindell(アーノルド・ミンデル:2024年逝去)の著書である"対立する炎にとどまる(Sitting in the Fire)”という本を2024年に読んで衝撃を受けたからです。本を知るきっかけはCTI(Co-Active Training Institute) JapanでCo-Activeコーチングの学びの旅をともにする方がFacebookにポストしていたものを拝見したからです。
表題や装丁からして僕にとってはインパクトがありました。2024年から僕はとある地方製造業企業をクライアントとして、”マネジメント改革プロジェクト”を推進していました。
圧倒的な頭脳による正しい答えを与えても人は動かない
同年7月の提案当初の僕は、経営・戦略コンサルタントとして25年の経験と実績、それに裏付けられたスキルを発揮する人間として、状況を分析し、情報を収集し、整理・関係付けをした上で、評価軸を設定した上で評価を行い、優先順位をつけて顧客に”答えを提示する”プロフェッショナルでした。
提案内容も”純然たるコンサルティングもの”であり、事業としてのゴールを設定し、それをロジックツリーの形状で、できるだけ細かい単位まで分解し、量的な達成度と期限、担当部門・担当者を紐づけた上で、体制・組織に落とし込み、投資も含めて足りないリソースを確保する計画を立て、PDCAを回すというものでした。完全なる”正論”の世界です。
一方、僕は同年、CTIでCo-Activeコーチングの学びの旅を始めていました。基礎コースと応用コースの104時間を五反田で過ごしていく中で、”圧倒的な頭脳により極めて確からしい答えを与え、指示・命令する”自分が破壊され、中から柔らかく暖かい自分を発見し続けることになりました。僕はプロジェクトの過程で変容していったのです。
プロジェクトの中で僕は”相手が欠けることのない存在と信じて関わり続け、内なるエネルギーから行動が出てくるのを徹底して待つ”ことを次第にやるようになりました。
正論を振りかざす自分であった頃、クライアントは僕が出した最終報告の質と量に圧倒され、感謝はするものの、その内容が行動に移されることはありませんでした。額縁に飾られて拝まれて終わりです。ところが、信じて待つ姿勢に変わった途端にクライアントは動き出したのです。「たちまち」という感じでした。
Co-Activeコーチングで動き出す組織、結果として生じる対立
動き出した結果として、様々な軋轢や衝突が発生していきました。その場に停滞していれば何も起こらないのですが、動くから摩擦が生じるのです。事故すれすれということも起こりました。自分が関係することも少なからずあり、毎日が”魂や胆力を試される”ことになりました。”Sitting in the Fire”の日々でかの本と出会ったのです。
"Process Work”で検索をして米国の公式サイトを探り当てると、日本の代表機関が掲載されていました。それがNPWCでした。2025年に入り、”初夢”を題材とした”夢のワーク”のオンライン体験会が無料で開催されることを知り、さっそく参加しました。詳細は省きますが、”夢のワーク”をやってみた結果は自分にとってはかなり大きなインパクトがあるもので、これからの生き方の”大きな流れ”を暗に示唆していました。体験会の後、すぐに入門コースへ申し込みをしたのは当然の結果でした。
プロセスワークの圧倒的なインパクト
取り上げたケース: 腹立たしい爺さん警備員
参宮橋での2日目、会場である国立オリンピック青少年総合センターに向かう僕に冴えないことが続きました。象徴的なこととして、車をセンターの駐車場に入れようとした僕と正門の警備員とのやり取りを紹介します。
正門の入口に車を寄せて、助手席の窓を開け、「駐車場はどこですか?」とたずねた僕に対して、年齢にして70を越えると思われる警備員のお爺さんは反応がありません。声の大きさを上げて、半ば叫ぶような形で伝えると、ようやくゆっくりとした調子で僕の車に歩いてきました。ここまで彼は一切僕に声を返すことはありませんでした。
車の脇に立った彼は、「ここが駐車場のわけがない」とぶっきらぼうに言い、首を傾けて「あっちだ」という素振りを見せました。僕はこの態度に流石に頭に血が上りました。怒りが込み上げ、罵声を浴びせたい気持ちに駆られました。Co-Activeコーチングで”自分のあり方”が変わってきた自分は、なんとか持ちこたえて我慢することができました。
怒りを覚えた対立する相手に入り込む
入門コースの中ではこの体験を題材にプロセスワークをエクササイズしました。カウンセラー役の相手に対してことの詳細を説明した後に、警備員のお爺さんになり切ってみることをしました。立ち上がり、センターの正門を想像し、守衛の詰め所の横に立つお爺さんを想像し、入り込んでいきます。
彼の目にはハイエースでやってくる僕の姿が見えました。何か言っている様子ですが、聴こえません。耳がそれほど良くないのです(想像ですが)。彼が必死な様子を見て、近づいていきます。70歳を越える自分にはゆっくりとした動作しかできません。
相手のエネルギーを想像し、味わい、取り込む
プロセスワークの特徴として相手のエネルギーを感じ、味わい、表現します。警備員のお爺さんのエネルギーに意識を向けます。ポイントは絶対値として感じるところにあります。マイナスの符号を取り払うのです。
僕は、そこでゆったりとした暖かいエネルギーを感じました。そしてそれは僕にとってとても心地よいものだったのです。たゆたう大きな川の流れに身を任せているような、絶対的な安らぎがあったのです。このエネルギーとともにいることはとても良いことだなと思いました。
取り込んだエネルギーを人生に活用する
次に、このエネルギーを日々の生活に活用するとどうなるのか、と想像します。とても良い感じがしました。僕は長年、直観にもとづく衝動に突き動かされActiveな人生を送ってきました。
Co-Activeコーチングの個人スーパービジョン(有料コーチングをコーチとして実施したセッションの録音をスーパーバイザーに聴いてもらい、フィードバックを受けるもの)の1回目で、ファカルティから「テラさんはActive 90%のコーチングですね、Co 90%でやってみてください」と指摘があるくらいでした。そう、僕の人生はバランスを欠いて偏っていたのです。
プロセスワークの革命的な考え方
シグナル、一次・二次プロセス、エッジ
プロセスワークではもろにこのことが、無意識から意識に上がったのです。プロセスワークでは世界を”シグナルの海”と捉えます。周囲で起こることや、自身の身体症状も含めて”シグナル”と捉えます。シグナルを解釈し、それが自分とともにあるものであれば”一次プロセス”が起こっていると捉え、自分とともにない感覚であれば”二次プロセス”と捉えます。
警備員のお爺さんの出現と僕との関わりは、まさに僕にとっての”二次プロセス”でした。”ぞんざいな態度で、正確性を欠き、迅速に行動しないこと”は僕とともにはありませんでした。一次プロセスと二次プロセスの間には”エッジ”があります。思い込みや先入観を意味しています。はい、僕には「人は丁寧で、正確かつ迅速に行動しなければいけない」というエッジがあったのです。
警備員のお爺さんの役をする、ということはエッジを越えた先をロールプレイするということです。やってみた結果として”ゆったりとした、暖かい感覚”をエネルギーとして味わうことになり、「それはそれで悪くないし、人生に必要なものだ」と思えたのです。僕はエッジを越えたのです。
内外で起こることは障害ですら福音になる
衝撃的でした。自分の外部環境で、そして身体も含めて内部で起こる軋轢、衝突などの不協和音、不快な感覚は全て”エッジの向こう側にある二次プロセスであり、それを越えることでエネルギーを獲得することができ、自分のその後の人生に活かすことができる”のです。立ちはだかるあらゆる困難を希望に変えることができるのです。
相手の力をそのまま取り込む合気道のようです。敵と思われた対象が自分の隠された一部で、克服をすることにでより包括的な存在として生きることができる捉えることができるのです。自分の内部や外部に意識的になり、積極的に関わっていくことでどんどん宇宙に近づいていくのです。”自分を癒やす”という考え方ではなく、”攻撃してきた相手ですら取り込んで、より強くなる”。ホメオパシーやワクチンのようなものかもしれません。
革命的ですよね?
魔術的とも捉えられるかもしれません。
自分はこの概念を実践として経験した後からは、どのような局面においても不安や恐怖というものを感じなくなりました。興味がある方はぜひNPWCの体験会などに参加してみてください。