キース・ジャレット 75歳誕生日に、未発表ソロ「Answer Me」をリリース
2020年5月8日、キース・ジャレットが75歳の誕生日を迎えた。ECMは、2016年、ブダペストでの未発表ピアノソロ<Answer Me>を公開し誕生日を祝った。キースは、2017年2月15日ニューヨーク・カーネギー・ホールを最後に活動休止中だが、現在はニュー・ジャージー州の自宅で穏やかに暮らしている。
(Cover photo: ©Alan Nahigian / ECM Records - Manfred Eicher and Keith Jarrett at NEA Jazz Masters Awards 2014. 当日の公演とインタビュー動画 )
1945年5月8日の対独戦勝記念日にアレンタウンに生まれた。さらに3ヵ月、日本との戦争が続き、またニューヨークに亡命していて、最後の力を振りしぼって「ピアノ協奏曲 第3番」を書き進めながら9月26日に亡くなったベラ・バルトークとわずかに人生が交差する。キースの70歳の誕生日にリリースされたのが、べラ・バルトーク「ピアノ協奏曲 第3番」(ECM2445)だった。ペンシルベニア州アレンタウンは、ビリー・ジョエル「Allen Town」に歌われたあの街。PVはその時代をある程度反映するのでご参照されたい。キース・ジャレット75年の音楽の歩みは別途まとめたのでそちらをご参照いただきたい。
さて、ECMは2016年7月3日ブダペストで録音されたピアノソロ未発表テイク<Answer Me>を同日ネット上で公開しキースの誕生日を祝った。ジャズとクラシックで素晴らしい音楽を残して来た巨匠ピアニスト・作曲家であるキースの2016年ピアノソロツアーは欧米8都市で開催され、その中から『Keith Jarrett / Munich 2016』(ECM2667)がリリースされている。
Answer Me (Fred Rauch & Gerhard Winkler)
YouTube (Audio)はこちらhttps://youtu.be/cg5GBH7fR5g
Spotify, Apple Musicなど ecm.lnk.to/AnswerMeMyLoveFP
Keith Jarrett: Piano
Recorded live on July 3, 2016 at Béla Bartók National Concert Hall, Palace of Arts, Budapest, Hungary
Recording Engineer: Martin Pearson Mastering Engineer: Christoph Stickel
Produced by Keith Jarrett and Manfred Eicher
ECM Records, May 8, 2020
この夏の夜のピアノソロコンサートは、ドナウ川に面し、2005年にオープンした「Müpaブダペスト」(旧ブダペスト文化宮殿)にある、最新の音響設計を誇る「ベラ・バルトーク国立コンサートホール」で日曜夜8時から開催された。
©Woong Chul An / ECM Records
©Posztos Janos
<Answer Me, My Love>は、1952年にドイツ語の歌<Schütt die Sorgen in ein Gläschen Wein, Mütterlein>または<Mütterlein>として作曲され、1953年にカール・シグマンによって英語詞がつけられ、フランキー・レインとデヴィッド・ウィットフィールドの両者のヒットを経て多くのシンガーに歌われ、特にナット・キング・コールの演奏で知られる。キースもたびたび演奏しており、2013年スタンダード・トリオとしての最後の来日公演でも演奏された。
スタンダーズ・トリオは、2014年11月30日のニュージャージー・パフォーミング・アーツ・センター(NJPAC)を最後に活動を終了。筆者はこの公演を観ることができた。ゲイリー ピーコックの健康状態が原因で継続困難かと思われたが、幸いゲイリーは自身のトリオでツアーも行っている。
ピアノソロも2017年2月15日ニューヨーク・カーネギー・ホールを最後に活動休止中となっている。現在はCOVID-19の影響を受けることもなく、ニュージャージー州の自宅で穏やかに暮らしている。これまでのキースの素晴らしい音楽に感謝しながら、長寿と活躍を祈りたい。
自宅でのチャーリー・ヘイデンとのデュオセッション~Jusmine (ECM2165)
NEA Jazz Masters Awards 2014での講演とインタビュー