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自己紹介 - サイエンティストとして
私のサイエンスへの旅は、好奇心旺盛な少年時代から始まりました。幼い頃から、様々なものに興味を持ち、熱中する性格でした。サッカー、バスケ、ファミコン、小説、将棋、音楽など、多岐にわたる分野に手を出しては夢中になっていました。学校の担任の先生からは、毎年のように「好奇心旺盛」と評されるほどでした。
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しかし、その中でも特に心を捉えたのはサイエンスの世界でした。東京・上野の国立科学博物館に父に連れていってもらった思い出は、今でも鮮明に覚えています。展示物を見ながら、人間という生命体への漠然とした興味が芽生えていったのです。小学生の頃は、学校の図書室で伝記を読むのが大好きでした。北里柴三郎、野口英世、アルベルト・シュヴァイツァー、マリー・キュリー、ジェームズ・ワトスンなど、理系の偉人たちの生涯に魅了されました。特に、北里柴三郎、野口英世の生き方に強く憧れを抱いていました。大学時代には、利根川進先生の講演に感銘を受けました。一緒に講演を聞いていたのは、高校時代からの親友、竹内春樹君(現・東京大学・理学部・教授)でした。
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私のサイエンスへの興味は、家族・親族の影響も大きかったと思います。父方・母方の家系には医師や研究者が多く、お正月に親戚が集まる度に、彼らの知的で魅力的な人柄に惹かれていきました。自然と会話が理系の話題になり、「自分も理系なのだろうな」と思うようになっていったのです。大学進学の際、生命科学の研究者になりたいという夢を抱きながらも、医学部か理工学部かで悩んでいました。実際、地方国立大学の医学部に合格していたのですが、尊敬する外科医の伯父(東京大学・医学部出身)からのアドバイスが進路の決め手となりました。『研究者になりたいのなら、医学部より理工学部の方が将来の選択肢が広い』という言葉に導かれ、早稲田大学理工学部の応用化学科に進学することを決意しました。
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この選択は、今振り返ってみても正しかったと実感しています。大学での学びを通じて、生命科学への興味はさらに深まり、研究者としての道を歩み始めました。たくさんの先輩の科学者との出会いを通して、現在、私は大学教員として、次世代の科学者たちに知識と情熱を伝える立場になりました。少年時代の好奇心と家族・親族の影響、そして先輩科学者たちへの憧れが、今の私を形作っています。これからも、サイエンスの魅力を多くの人々に伝え、新たな発見・発明に向けて挑戦し続けていきたいと思っています。
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谷英典(RNA生物学研究グループ) - 個人ホームページ