#042 薬剤なしで子供にも安心!59秒であらゆるものを消毒できる光デバイスは毎日使いたいガジェットだった
【木村ヒデノリのTech Magic #042 】 感染症の蔓延によって“消毒”が日常的な習慣になってきている。最近では1日に何回もアルコールで消毒している読者も多いのではないだろうか。手指であれば各所に消毒設備があるのでまだ安心だが、スマホや子供の持ち物などは消毒の機会があまりない。特に子供のものは薬剤で消毒すると、それが残ったまま口に入れてしまうなどの懸念もつきまとう。そんなときに重宝するのが、今回紹介する「59S UVC LED Sterilizing」だ。薬剤を一切使わずにわずか59秒でほとんどの細菌を不活性化してくれる仕組みは思った以上に実用的だった。
「59S UVC LED Sterilizing」は59秒でほとんどの細菌を不活性化する。
写真はコップなどに被せるタイプのSterilizing Lid
裏側には5個のLEDがついており、かなり強力に照射する印象
こちらは子供のおもちゃを消毒できるToy Sterilizing Bag
内側には上下合わせて12個のLEDが付いており大容量にも対応できる
身の回りの簡単な除菌に便利なポータブルタイプSX1もある
薬剤はなし!深紫外線で殺菌する画期的な仕組み
59Sは深セン市に拠点を構えるShenzhen UVLED Optical Technology Co., Ltd.が2020年にリリースしたブランドだ。同社は早くからLEDによる殺菌に注目していた利点を活かし、UVC LEDによって携帯可能な新しい殺菌ソリューションを提供している。UVCとは紫外線の中でも特に波長が100~280nmのものを指し、日本語では深紫外線と呼ばれる。これを59秒間照射することで細菌のDNA、RNAを破壊し不活性化するとともに、新たに増殖するのを防ぐ仕組みだ。
紫外線はA、B、Cに分けられるが、特に100~280nmまでの波長をUVCと呼ぶ
290nmまでの紫外線は大気の関係で地表まで届かない
殺菌作用はあるが目など人体に有害な面も
UVAやUVBが太陽から地表まで届き、日焼けの原因にもなるのに対して、UVCはほとんどが大気層で吸収されてしまう。普段は地球上にない波長だが、その反面殺菌・洗浄作用は高く、59Sはこれを利用してさまざまなものが殺菌できるようにしている。
殺菌作用が強いと聞くと安全性も心配になるがその点も考慮されている。デバイスを傾けたり、カバーを開けたりすると照射が止まるようになっており、不用意に照射されている光源を見てしまうようなこともないので安心だ。
DNA/RNAに作用し、59秒で99.9%の除菌効果を発揮
ブランド名の通り、59秒で除菌効果を発揮するのもこの製品のすぐれているところだ。従来の紫外線殺菌装置は15分程度かかっていたが、それと比べると非常に短い時間で殺菌が可能。さらにオゾンフリーで消臭までできる点も興味深い。もちろん業務機とでは性能の差はあるだろうが、これだけ手軽に除菌でき、かつ薬剤を使用しないのは画期的なのではないだろうか。
除菌は目に見えないので実際に作用しているのかと疑ってしまうが、オフィシャルのウェブサイトにある動画を見ると短時間に多くの細菌が不活性化しているのがわかる。原理的にはDNA/RNAという細胞の根本部分を紫外線で破壊しているようだ。
不衛生な水をプレパラートにのせ顕微鏡で見た映像、多くの細菌が確認できる
UV-Cの照射たった数秒でほとんどの細菌が動かなくなることがわかる
子供のおもちゃやカトラリー消毒には非常に便利
こうした殺菌方法は特に消毒が面倒な子供の持ち物に相性が良い。最初に挙げたような薬剤の残りも気になるが、アルコールで除菌するとなると物理的にかなりの手間になる。その点、UVCでの除菌はケースに入れてボタンを押し、59秒待つだけだ。家に溢れがちなおもちゃを一度に入れて除菌できるので、毎日使っても負担にならない実用的な仕様になっている。
Toy Sterilizing Bagはかなりの容量があるので
一度に多くのおもちゃを殺菌できる
下からの光も効率よく照射できるように底上げのネットが付属
駆動もバッテリー方式なのでパっと持っていって
子供と一緒に片付けた後ワンボタンで除菌、という運用が可能
また、食器やカトラリーに関しては蓋(リッド)タイプのものを使うとかなり便利だ。こちらのタイプにはスリットが入っており、器とカトラリーを同時に除菌することができる。歯ブラシなど、なかなか除菌しづらい形状のものもスリットを活用して同時におこなえるのが考えられている点だ。
スリット部分は非常に柔らかいシリコンのような素材でできている
スリットを使うとスプーンや歯ブラシも容器と同時に除菌できる
歯ブラシのブラシ部分など、形状が入り組んだものを除菌する場合、180秒のモードを選択できるのもありがたい。電源は放置しておくと自動で切れるので、バッテリー切れを心配してこまめにスイッチを確認する必要がない。こうした部分も実用を考えてしっかり設計されている印象だった。
モードは59秒と180秒があり、用途によって選択できる
考えすぎは厳禁、されどやったほうがいい除菌
効果が目に見えないことから、どのくらいが適度か判断しかねてしまう除菌という行為。神経質になりすぎるのはNGだが、昨今の情勢を考えるとやはりやっておくに越したことはない。今回筆者がこの製品を取り上げたのは、無理なく毎日除菌ができるガジェットだと感じたからで、その点においては他の除菌製品より大きく秀でている。
哺乳瓶用のバッグもあるので、
乳幼児期の面倒な殺菌工程もある程度軽減してくれる
2021年8月現在では大容量・簡易乾燥機能もついたT5もラインナップ
ヨドバシなど日本の量販店でも購入ができる
https://item.rakuten.co.jp/biccamera/4589965381400/
哺乳瓶などもそうだが、念入りにやろうと思えばいくらでも手段がある。ただ、それを面倒に感じてしまったり、逆にこうしなければと頑なになってしまったりすると除菌がストレスになってしまう。そうならないように59秒というわかりやすい目安を設け、しっかり除菌ができるように作り込んできた59Sには好感が持てた。
意外と大きい紫外線除菌のメリット
薬剤などの除菌方法と比較してメリットが高い点も興味深い。例えば紫外線を使用する場合、他の方法と比較して下記のような優位性がある。
1. 薬剤と異なり、使用後の拭き取りや洗浄が不要
2. 塩素消毒が効かない、耐塩素性微生物にも効果がある
3. 紫外線除菌に対する、耐性菌が生まれない
波長にもよるが、スタンレー電気株式会社が山口大学(共同獣医学部 獣医微生物学教室 早坂大輔教授 、下田宙准教授)と共同で評価試験を行った結果「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対し、紫外線除菌の高い有効性を確認した」ということだ。
数あるUV-C除菌ガジェットの選び方だが、波長を確認して選ぶと良い。細菌の不活性化効率の良し悪しは波長によって様々で、254nm〜265nmが最も効率が良いとされる。前述した評価試験においても、265nmのUV-C LEDは280nmのUV-C LEDよりも1.8倍も高い除菌能力があると証明されたそうだ。こうしたことから、除菌ガジェット選びは254nm〜265nmの範囲の光が照射できるものを選べば良いと言えるだろう。筆者宅でも子供の持ち物をケースに入れて59秒除菌というフローが日常になりそうだ。
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