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〇〇な写真とは?

久しぶりの写真の話。
今回は最近流行りのChatGPTも交えながら。


「美しい写真とは何か」

私の感覚に近いのは以下の考え方です。

仮りに景色を写すとしよう.よい器械と,いいレンズと,経験のある写し手とがあれば万事すむと思われるかもしれない.だがそうではない.決してそうではない.
ここにいいハムレットの台本と,いい註釈書と,優れた英語学者とが揃ったとする.それでハムレットは充分読めると思われるかも知れぬ.併し文学としてのハムレットは到底それでは判らない.言語と文学とはまるで違うからである.
画家セガンティニはろくに字が読めなかったが,名文を残している.名音楽者ヨアヒムは時々音楽学校の生徒でも気付く様な音の間違いをやったと云う.してもるとものの美しさへの理解は,只器械的な知識だけでは駄目な事が分る.それも必要な事の一つではあるが,それよりもっと必要な一物がある.そうして此一物は殆どものの生死を決めるとさえ云えるのである.
同じ様な事が写真に就ても云える.「美しき写真」はいい器械と上手な写真師とだけでは駄目である.ものへの理解がなければ駄目である.ものの美しさへの見方が悪ければ,写したとて,ものは死んでいる.大事なのは見方である.理解である.美への直感である.
私は器械三分,見方七分と云いたい.写真は器械であると云う.それ故人が写すのではなく器械が写すのだと思われ易い.その結果こうなる.ここに人間を離れた自然があって,それを器械が写すのであると.人は只その二つのものの間をとりもてばいいのであると.だが私にはそうは思えない.寧ろ其反対だとさえ考える.少なくともそう云う風にしてとられた写真にはあき足りない.又そう云う写真を私は「美しい写真」とは呼びたくない.
ここに自然がある.だがそれは只与えられたものに過ぎない.それが一つの内容をもってくるのは自然を見る見方が加わるからである.誰だって自然を見ている.併し誰でも同じ様に見てはいない.或者には深く或者には浅くより見えない.見ていても見ないのと等しい場合がある.又見ないでも心に深く見ている場合すらある.見方で自然の美醜がきまるのである.只与えられた自然はなまである.無内容である.まだ美しくも醜くくもない.それなら私はこう云おう.自然があるから美しいのではない.見方があるから自然に美しさが生まれるのだと.
自然を写すのが写真ではない.寧ろ自然を創るのが写真である.自然から写真が出来ると云うより,写真から自然が生れなければならない.そこ迄達しない写真には生命がない.写真は創作である.写真は写す者の見方によって創作される芸術だと私は云いたい.
ここに美しい自然があるとしよう.諸君よ,諸君はその写真以上に美しく自然を見る事は殆ど不可能なのである.美しい写真は,与えられた自然よりずっと美しい.そこ迄達しない写真はまだ充分に美しくはない.私達は美しい写真を通して自然を美しく見る事を教わるのである.いい写真は自然の自然である.そこに於て程自然の驚異が躍如として現出される場合はない.私は再び云おう,美しい写真程に美しい自然はあり得ないのだと.私達はそれを通して始めて自然を美しく見る事が出来るのである.此点ではよき絵画と同じ性質がある.
写真は真を写すと云うが,真を創ると云った方がいい.美い写真は,自然を創造する.写真の極意の一つは切り方であるが,場面をどう切れば自然が活きるか,既に此事は自然への見方が左右する事なのであって,器械が支配する事ではない.よき写真師は機械の完き支配者である.優れた器械が便利なのは,支配の自由が一層きくからとも云える.器械がいい程人間の創作の余地がふえる.
それ故美しい写真は単に外界のものの受取りではない.その写生でもなく複写でもない.寧ろそれが自然を産むのである.普通には見られない自然の美しさ迄産むのである.写真の使命はそこにあると思う.
一般には写真は単に自然の影に過ぎない位に思っている.実際そう云う下らない写真もあろうが,併し美しいものになるとそれは自然よりもっと真実である.それは新しい自然なのである.よき写真師は造り主の一人である.それ等の驚異を行う力は何か.それは単に物があるからではない,器械があるからではない.見方が造る不思議なのである.美への直感が産む驚異なのである.直感に包まれない自然は死物に過ぎない.写真は近代に於て吾々の直感を活かす重要な仲立ちである.写真の発生によって,美の世界は拡大されてきたのである.美しい写真なくして将来美の教育は不可能である.私は写真の意義の重大な事を想う一人である.
柳 宗悦・美しい写真とは何か・『民藝』十一月号 第八三九号


そして,同じ問いをChatGPTに投げかけた結果がこちら。

「美しい写真」とは、見る人に魅力を感じさせる写真を指します。
美しい写真は、様々な要素が統合されていることが特徴です。
例えば、光、風景、被写体、コンポジション、色彩などが上手く組み合わされていると、見る人に引き込まれる印象を与えます。また、写真家のセンスや感性も、写真を美しいものにする重要な要素です。
ただし、美しい写真は個人的な趣味や感性によって異なりますので、「美しい」という評価は相対的なものとなります。
例えば、一人の人が好きな風景写真が別の人には特に魅力的でないかもしれません。そのため、「美しい写真」という評価は、見る人によって異なることがあります。
ChatGPT

普通な回答ですが,たまに意見をはっきり言わない人間と同じような表現だなと思いました。


「良い写真とは何か」

私はあまり良い写真を考えることはありません。
他人の評価を気にしているようでなんだかイヤ。

とはいえ,本などでは目にします。例えば,

いい写真とは、以下の要素を含むものとなる。
・新鮮であること
・多くの人にとって未知のイメージであること
(インパクトがあると言いかえてもいい)
・新たな価値観の提示であること

よくいわれることだが、いい写真は作者の手を離れ、勝手に一人歩きしてくれる。このことは間違いない。
写真が有名になったり、話題になったり、何かの賞をとったり、新たな仕事が舞い込んできたりすることもある。その後は作者がついていくのだ。
そんな写真には必ずこの要素が含まれている。
小林 紀晴・写真はわからない

新たな価値観の提示は同感です。

私が好きな写真家の一人,ソール・ライターの写真集に書かれた言葉にも似たような表現がありました。

何の変哲も無いものを写して
そのなかに”特別な何か”を見つけるのが好きなのです
ソール・ライター・THE UNSEEN SAUL LEITER


では,ChatGPTはどんな回答でしょうか。

「良い写真」とは、技術やセンスが優れていて、見る人を惹きつける写真を指します。良い写真は、様々な要素がうまくバランスされていることが特徴です。例えば、構図、被写体、光、色彩、深さなどが統合されていると、見る人に印象的な効果を与えます。また、写真家の技術やセンスも、写真を良いものにする重要な要素です。
ただし、良い写真は業界やジャンルによって異なりますので、「良い」という評価は相対的なものとなります。例えば、商業写真やドキュメンタリー写真などには異なる基準が適用されます。また、写真家や見る人の趣味や感性も影響します。そのため、「良い写真」という評価は、業界やジャンル、見る人によって異なることがあります。
ChatGPT

それらしいお上品な回答ですが具体性がなく,美しい写真とも似たような回答ですね。

ちなみにセンスが優れている写真とは・・・

「センスが優れている写真」とは、写真家が持っている感性やセンスが高いことを意味します。これは、写真を撮る際に、光や色彩、構図、被写体などの要素を上手に把握し、最適な形で統合することができるということを示します。
センスが優れた写真は、通常、見る人を魅了する印象を与えます。例えば、光や影がうまく使われていたり、構図が美しいなどが特徴です。また、写真家の感性やアイデアを反映した作品も、センスが優れた写真と評価されます。
ただし、「センスが優れている写真」という評価は、個人的な趣味や感性によって異なりますので、相対的なものとなります。
ChatGPT

だそうです。


「写真とは何か」

私は”写真は愛”だと考えています。

美しいと思ったり,シャッターボタンを押すのは愛したタイミング。
言葉だけではなく作品で表現するには,光・色彩・構図・技術が必要ですが,それは愛する写真を構成する要素です。

写真に必要な要素は、様々ですが、以下が一般的なものとなります。

被写体:写真の主題を決めるものです。被写体によって、写真の意味や印象が大きく変わります。

構図:写真内において、被写体や背景などがどのように配置されているかを決めます。構図は、写真のバランスや深さ、引き込まれる力などに影響を与えます。

光:写真の質感や表現力を決めます。光の様子によって、写真の雰囲気が変わります。

色彩:写真の雰囲気を決めます。色彩の使い方によって、写真の意味や印象が変わります。

技術:カメラの調整や撮影方法などによって、写真の質感や表現力が決まります。

これらの要素をうまく組み合わせることで、美しい写真を作ることができます。ただし、写真のジャンルや目的によって、重視する要素が異なりますので、写真家は自分のスタイルや目的に合わせて適切な要素を選んでいく必要があります。
ChatGPT


要素としては同意できますが,「写真とは?」は辞書のような回答でした。

写真は、光の入射を利用して、実際の物や人物などを写す画像のことです。写真は、撮影された瞬間を長期間にわたって保存することができます。
写真は、記録としての価値だけでなく、芸術的な価値も持っています。
写真家は、被写体や構図、光、色彩などをうまく組み合わせて、意味ある画像を作り出すことができます。また、写真は、人々の日常生活や社会的な問題などを表現する手段としても使われます。
写真は、近年、デジタル技術の進歩によって、誰でも簡単に撮影することができるようになりました。これにより、多くの人が自分の思い出やアイデアを表現することができるようになりました。
ChatGPT


皆さんにとって,今回のような美しい・良い写真とはどんな写真でしょうか。

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ひでやま
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