#68 コロナ陽性者や重症者、医療機関の逼迫状況を調べる方法
前回、前々回と、「マスクをしていればソーシャルディスタンスは不要」「経済を回すべき」と主張する京大ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸先生の主張と、臨床医である三鴨先生との議論について考察してきました。
今日はコロナ陽性者数や重症者数、死者数に加えて、医療機関の逼迫状況を調べる方法について紹介します。
ピーク時に比べて重症者や死者数は増えているのか?
現在は、夜の街関連で若者の検査が増えており無症状の人の感染者が相当増えていますが、重症者や死者数は増えているのでしょうか?
また、医療機関は逼迫しているのでしょうか?
感染者数や重症化数、死亡率数などについては、東洋経済オンラインや日経オンライン、ジョンホプキンス大学のサイトから、かなり細かく見ることができます。
今回、ピーク時と現時点の比較についてのまとめも記載されている日経オンラインから、感染者、回復した人、死者の数のグラフを抜粋します(以下は全国のデータです)。
上記は7/14集計データですが、ピーク時に比べて重症者数や死者数が少ないようです。以前と比較して若年層の感染者が多いからだと考えられます。
ただ、気になるのはここ最近、重症者数が急激に増えてきていること。
例えば7/12集計データでは重症者数は32人であったのに対し、7/14集計データでは38名と、わずか2日で約20%も増えています。
感染から発症、重症化までは2週間程度かかる可能性があるため、今後急激に重症者が増えていかないか、引き続き注視していく必要があると思います。
(2020.8.17追記)
厚生労働省が5月8日から統計方法を変えたためか、2020.8.15現在、上記データの解説からは重症者数に関する記載がなく比較ができません。
一方で、最も感染者の多い東京都では、4月28、29日両日(ピーク時)の105人と比べると、8月15日現在で23人と抑えられているとのことです。ただし、患者に若者が多いためで、高齢者に感染が広がると病床が逼迫する恐れがあるとのことです。
医療機関の逼迫状況
最近、厚労省と内閣官房IT室が、G-MISという医療機関の稼働状況等を一括して調べられるようなシステムを稼動させたようです。
さらにこのサイトから飛べるリンク先からは、地図上から全国の医療機関の受け入れ態勢が分かるようになっています。
たぶんこれが医療機関の逼迫状況を示すと思うんですが、お世辞にも分かりやすいとは言えず、医療機関の受け入れ態勢について「通常」「制限」「停止」と大括りにしか分からず(地図の左上に分類があります)、結局どのぐらい逼迫しているのか良く分かりませんでした。
それと、残念なことに医療機関の35.8%が「未回答」となっており、これは登録されている病院のいくつかが回答していない(できていない)ことを示していると思います。
以下は有料記事なので中身は見ていないのですが、いまだファックスで医療体制の状況を連絡しているような医療機関もあるようで、我が国のICT技術(あるいはそれを導入する動き)って本当に遅れているんだなぁと思いました。
上述のように、厚労省のページからは医療機関の逼迫状況は良く分からなかったのですが、医療機関の逼迫状況が分かりやすく可視化されているサイトを見つけました。あくまでも理論値(現在患者数/新型コロナ対策病床数)ですが、参考になると思います。
陽性者でも自宅待機の方がいらっしゃること、都市部と地方で医療機関の逼迫状況は異なることなど、正確な状況を把握できるわけではありませんが、ざっくりとした状況は一目で分かるので、一般の方の意識づけにはなると思います。
引き続き、このサイトも注視していきたいと思います。
ちなみに、医療機関の逼迫状況がこれだけ調べにくい理由として、以下の記事(無料会員または有料会員は全文読むことができます)にもあるようにそもそも行政データのデジタル化が遅れていることや、政府統計のようなマクロデータは公開されているものの、ミクロデータが公開されておらず外から見える化しにくい、という問題がありそうです。
今後、もっと正確な医療機関の逼迫状況がリアルタイムで簡単に把握できるシステムを構築しながら医療崩壊等のリスクを見極め、一方ではきちんと経済を回していくことをしっかりと議論できる土台をしっかりと構築されることを強く要望します。
今日の記事が参考になれば、「スキ」を押してもらえると嬉しいです(^^)
それではまた明日!
<了>
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