公益的な訴訟とクラウドファンディング

本日、JFPIL(Japan Forum on Public Interst Lawyers)のキックオフイベント「弁護士がもたらすソーシャルインパクト~ファンドレイジングの可能性~」にモデレーターとして登壇させていただきました!

日本のクラウドファンディングの草分けであるREADYFOR株式会社の代表である米良さんと、GPSの違憲判決や、タトゥー裁判でのクラウドファンディングを行われた亀石さん、ということで、大変有名なお二人を相手に緊張しましたが、色々と面白いお話を伺えてよかったです。

訴訟とクラウドファンディングを考えるときに、特に難しいのは、「国等に頼ったり批判するのではなく、自分たちでできることをやろう。そこから国への働きかけなどをしていこう。」というクラウドファンディングが良く行われるソーシャルセクターの思考と、二項対立構造で「相手の責任を追及する。」という訴訟の思考の違いです。

クラウドファンディングは、それぞれの人が持つ「想い」の実現を目指すものです。ここで、訴訟では「相手に勝つこと」が「想い」となりますが、一方当事者を支援して相手に責任をとらせることは、一歩間違えれば相手方を害してしまうことになる可能性は否定できません。

亀石さんによれば、海外のクラウドファンディングでは、訴訟費用等を集めるプロジェクトはあるものの、多くが国を相手にした、しっかりと公益性が明確にされた訴訟であり、逆に、個人の利益にしかならないものについては、ほとんどお金が集まらなかったようです。そのため、タトゥーの裁判のクラウドファンディングでも、その裁判がどのように他の人にも影響があることなのか、どういう意味でその裁判が公益性があるのかをわかりやすく説明をするように特に努力されたとのことです。

そうだとすれば、より多くの人の権利に波及しうるものであり、かつ、国が相手の訴訟、であれば、今のところ、クラウドファンディングの対象とすることができる「公益制が高い訴訟」と言いやすそうです。他方、私人間同士での訴訟については、もう少し議論をする必要がありそうですね。

NPOやソーシャルな活動をしている分野であっても、やはり最終的には国の対応が必要なものもありますし、国による直接の人権侵害があれば、やはり国が対応しなければなりません。結局は、ある人が幸せに生きていくために何が必要かを考えて活動している、という点では、実は、NPO等の活動も、弁護士の活動も変わりません。その意味では、弁護士が行う訴訟の「公益性」が明確になれば、NPO等とも連携しやすくなります。

このような議論を通じて、社会を良くする手段としての訴訟がもっと社会に認知され、また、必要なお金が流れてくるようになると良いなと思います。

今後のJFPILでの活動が楽しみです。

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