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【書籍】ひろゆき氏が斬る!30~40代ビジネスパーソンの仕事の悩みと解決策ーMONOQLO 2024年 11月号より

 「MONOQLO(モノクロ) 2024年 11月号」にて、「30~40代の「地に足ついた」仕事の悩みに辛口」(p34)が出ていました。ひろゆき氏の仕事に関する興味深い記事です。30〜40代のビジネスパーソンが抱える一般的な仕事の悩みについて、独特の辛口な視点で回答しています。ひろゆき氏らしく、やや極端な話もあるにはあります。

 一方、多くの人が直面する「成長への停滞感」や「イヤな仕事の断り方」、「上司や部下とのコミュニケーション」や「仕事へのモチベーション」、「将来に対する不安」など、多岐にわたるトピックにわたっており、大変参考になるものでもあります。さらに、人事視点でも注目すべきものであり、考察してみたいと思います。

1. 成長への停滞感と仕事に対する飽き

 ひろゆき氏は、30代から40代のビジネスパーソンの多くが感じる「もうこれ以上成長しないのではないか」「自分の能力が頭打ちだ」といった悩みに対して、それは誤った認識であると指摘しています。そもそも個々の人間が持っている能力そのものは変わるものではなく、生まれ持った能力自体は最初から決まっているとしています。

 したがって、「成長しない」と感じるのは自然なことであり、それ自体を悲観的に捉える必要はないと語ります。しかし、そうだからといって「努力しても無駄だ」と諦める必要はないとも述べています。
 なぜなら、多くの仕事は、既に成功している人のやり方を真似することで、ある程度の成功を手に入れることができるからです。特に、仕事においては模倣や先人の知恵を活用することで、効率的に物事を進めることができるとしています。

 また、仕事に飽きてきたと感じる人に対しても、ひろゆき氏は工夫次第でその状況を改善できると述べています。彼は、仕事に手間や時間をかけることが重要であり、それによって結果が比例してついてくると語ります。
 つまり、単に「仕事がつまらない」と感じるのではなく、その仕事にどれだけの工夫や努力を注ぐかによって、その結果が変わってくるということです。
 例えば、サービス残業(それ自体は法律上ダメです)を含むような無報酬の作業でも、自分の成長やスキルアップのために取り組むことで、将来的に評価され、給料や役職が上がるチャンスが訪れるとしています。

2. イヤな仕事や無駄な仕事の断り方

 仕事の中で避けられない「イヤな仕事」や「無駄だと感じる仕事」についても、ひろゆき氏は実用的なアドバイスをしています。
 仕事を断ること自体が難しい場合、ひろゆき氏は先回りして他の人にその仕事を振り分ける方法を提案しています。
 例えば、事前に手が空いている同僚にその仕事を依頼し、「○○さんにお願いしました」と上司に報告することで、自然にその仕事を避けることができるというのです。また、直接的に「なぜ私がこの仕事をする必要があるのか?」と上司に説明を求めることで、上司に「この人に仕事を頼むと面倒だ」と思わせることも一つの戦略だと述べています。結果として、上司からの面倒な仕事の依頼が減り、より効率的に働ける環境を整えることができるという考えです。

 さらに、ひろゆき氏は「断る」という行為自体が難しい場合には、「その仕事をどう処理するか」を考える方が賢明だとしています。つまり、イヤな仕事が自分に回ってきたとしても、それをどうにかして他の人に任せる工夫をすることで、自分自身がより重要な仕事に集中できるようになるという考えです。
 具体的な方法としては、手が空いている人を見つけてその人にお願いしたり、上司に「○○さんにお願いしておきました」と報告することで、上手にその仕事を逃れることができると述べています。
 やり方にもよりますが、それ自体は間違っているものではないでしょう。

3. 部下や上司との関係、コミュニケーションの重要性

 ひろゆき氏は、仕事において上司や部下との関係を築く上で、コミュニケーションが非常に重要であると強調しています。特に、上司との意見の違いに悩む人に対して、他人同士である以上、意見が合わないのは当然のことであり、それを前提に行動するべきだと述べています。
 重要なのは、相手の話をしっかりと聞くことです。ひろゆき氏は「合わない」という問題の多くは、コミュニケーション不足が原因であると指摘し、上司がどのように考え、なぜその決定を下しているのかを理解するために、積極的に話を聞くことが大切だとしています。上司は通常、会社の方針に沿って行動しているからこそ昇進しているため、自分の方がその考えに合わせていくべきだとアドバイスしています。

 また、部下とのコミュニケーションに関しても、ひろゆき氏は冷静な視点を持っています。
 例えば、部下と腹を割って話す必要があるかどうかを見極めることが重要だと述べています。部下が腹を割って話したいと思っているかどうかを見極めるためには、相手の行動を観察する必要があります。
 
具体的には、飲み会に誘った際に部下が参加するかどうかを一つの指標として捉えることができるとしています。もし部下が参加を避けるようであれば、腹を割ったコミュニケーションを求めていない可能性が高いと判断できるでしょう。ひろゆき氏は、こうした状況に対して無理に関係を深めようとするのではなく、自然な形で相手との信頼関係を築くことが長期的に重要であると述べています。

4. 仕事へのモチベーションと効率的な働き方

 ひろゆき氏は、仕事に対するモチベーションについても、現実的な考え方を持っています。彼は、仕事において最も大切なのは、言い方はありますが、「できるだけサボること」であり、効率的に働くためには、早めに出世して給料を上げることが最も効果的であると述べています。無駄な仕事を減らし、重要な業務に集中することが、結果的に効率的な働き方につながるという考えです。

 また、部下のモチベーションを維持するためには、給料の上昇や仕事のしやすさが重要な要素であるとしています。特に若い世代に対しては、給料の増加や自由な働き方が強いモチベーションとなるため、会社側がそれを提供できる環境を整えることが大切です。具体的なアプローチとしては、「この役職に就けば、雑用を他の人に任せられる」といった、会社に居続けることによって得られる具体的なメリットを明確に示すことが、部下のモチベーションを高める一つの方法だと述べています。

5. 生活や将来に対する不安とその解消法

 将来に対して不安を抱える人に対して、ひろゆき氏は「生活水準をこれ以上上げないこと」が最も重要であると述べています。過去に少ない生活費で楽しく生活していた時期を思い出し、今の生活水準を維持しながら、無駄な支出を抑えることが、将来的な不安を軽減するための一つの方法であると指摘しています。

 ひろゆき氏は、「幸せのいき値(閾値)」を下げることで、よりシンプルで満足のいく生活を送ることができると考えています。つまり、生活水準を上げすぎず、現状に満足することで、将来に対する不安を減らすことができるという考えです。

 また、ひろゆき氏は、仕事におけるリフレッシュの重要性にも言及しています。リフレッシュが必ずしも必要ではないとし、自分の好きなことに没頭することで自然とリフレッシュできると述べています。たとえば、趣味に没頭する時間を大切にすることで、仕事から解放される感覚を得られるため、特別なリフレッシュ方法を意識的に取り入れる必要はないと考えています。

 今回の話を通して、ひろゆき氏はシンプルで現実的なアプローチを強調し、仕事や人生の悩みに対して無理のない解決策を提示しています。彼のアドバイスは、過度な努力を避け、効率的に物事を進めることを重視しており、多くのビジネスパーソンにとって参考になるものでしょう。

人事の視点から考えること

 ひろゆき氏が提起しているビジネスパーソンの悩みは、非常に多岐にわたっており、その中には「成長の停滞感」「イヤな仕事をどう断るか」「上司や部下との関係」「仕事へのモチベーション維持」「将来に対する不安」といったテーマが含まれています。

 これらは、人事として組織全体のパフォーマンスや社員の働きやすさを向上させるために非常に重要な要素であり、企業が適切に対処すべき課題です。特に、社員が持つこれらの悩みをどのように解消し、働きやすい環境を提供するかが人事の大きな役割となります。人事の視点から考えるべきポイントを、各トピックごとにさらに深く考察してみます。

1. 成長の停滞感とキャリア開発の支援

 ひろゆき氏が言及している「成長の停滞感」は、確かに30〜40代の社員に多く見られる問題と思われます。仕事にある程度慣れてきたものの、新しい挑戦や成長を実感できなくなり、自分の能力が頭打ちだと感じる人が増えてくる年代です。

 ここで人事が果たすべき役割は、社員が自分のキャリアに対して前向きな姿勢を保てるような支援を行うことです。人事部門は、キャリア開発プログラムを通じて、社員が新たなスキルや知識を習得できる機会を提供することが求められます。具体的には、他部署との異動やジョブローテーション、社内外でのトレーニングプログラム、メンター制度の導入などが効果的です。

 また、ひろゆき氏が述べている「成功者のやり方を模倣する」という考え方は、人事がキャリア開発プログラムに反映するヒントとなるでしょう。社員が成功者のスキルや知識を学び、自分自身に応用できるような環境を整えることが重要です。
 例えば、社内で優秀な社員をロールモデルとし、その成功事例を他の社員に共有することで、成長の機会を広げることができます。さらに、外部の専門家や業界のリーダーを招いたセミナーやワークショップを開催し、最新のトレンドや技術を学ぶ機会を提供することも有効です。

 ひろゆき氏が述べているように、仕事におけるマンネリ化は工夫や努力次第で回避できるとしています。これを踏まえて、人事部門は社員が日々の業務に創造的なアプローチを取り入れられるような仕組みを整えることが求められます。
 例えば、業務改善提案制度を導入し、社員が自分の仕事に対して主体的に改善案を提案できるような文化を育むことが有効です。これにより、社員が常に新しい挑戦を見つけ、成長の実感を得られるような職場環境を提供することができます。

2. イヤな仕事の対処法と業務負荷の調整

 ひろゆき氏が「イヤな仕事」や「無駄だと感じる仕事」に対して提案している解決策は非常に実践的であり、ビジネスの現場でよく使われる手法です。
 しかし、これを人事の視点から考えた場合、重要なのは「なぜそのような無駄な仕事や負担が特定の社員に集中しているのか」を把握し、業務負荷のバランスを見直すことです。特定の社員に業務が偏りがちである場合、社員のモチベーションが低下し、結果的に生産性が下がるリスクがあります。このような事態を防ぐために、人事部門は定期的に業務の配分や各社員の担当業務を見直し、適切な調整を行う仕組みをつくることも必要でしょう。こういった調整は、コンプライアンス違反防止にも寄与します。

 人事も積極的に介入し、業務の見直しや再配置を行うことで、社員の負担を軽減し、より効率的に働ける環境を作ることが重要です。また、ひろゆき氏が述べるように「断り方の工夫」も一つの手段ですが、社員がそのような工夫をしなくても済むように、透明で公正な業務割り振りの仕組みを追求・構築することも必要でしょう。これにより、社員が自己管理や自己防衛に時間を割くことなく、本来の業務に集中できるようになります。

 さらに、業務の負荷や仕事内容が適切に管理されていない場合、社員のメンタルヘルスにも悪影響を及ぼすことがあります。
 人事部門は、業務負荷が過度にかからないように、社員の健康状態やストレスレベルを定期的にチェックする制度を導入することが必要です。社員のフィードバックを積極的に取り入れることで、無駄な業務を減らし、効率的かつ健康的な職場環境を維持することが可能になります。

3. 部下や上司とのコミュニケーションとリーダーシップ開発

 ひろゆき氏が強調している「コミュニケーション不足が問題の根源である」という指摘は、人事部門にとって極めて重要なポイントです。多くの職場において、コミュニケーションの不備が原因で、仕事の進捗や人間関係に問題が発生することがあります。このような状況を改善するために、人事部門は、上司と部下のコミュニケーションを円滑にするための施策を積極的に導入する必要があります。
 例えば、1on1ミーティングやフィードバックセッションを定期的に行うことで、上司と部下が直接話し合い、互いの期待や考え方を共有する場を提供することが効果的です。

 また、ひろゆき氏が述べる「他人同士であるから意見が合わないのは当然」という考え方も、リーダーやマネージャーに対する重要なメッセージです。
 人事部門としては、上司が部下の意見を尊重し、相手の考え方を理解するためのリーダーシップスキルを育成するための研修やコーチングプログラムを提供することが重要です。これにより、上司が柔軟に対応できるリーダーシップを発揮し、部下との信頼関係を構築することができるようになります。

 さらに、リーダーシップ開発の一環として、上司と部下の間で建設的なフィードバック文化を育むことも重要です。ひろゆき氏が述べるように、「合わない」という問題の多くは、コミュニケーションの不足から生じているため、双方が率直に意見を交換し合える場を提供することが求められます。
 人事部門は、上司と部下がオープンに意見を交わし、問題解決に向けて協力し合える職場文化を醸成するための施策を導入するべきです。

4. モチベーションの維持と報酬・評価制度の見直し

 ひろゆき氏が述べている「サボれる環境が理想的」という言葉は、特に若い世代にとって、柔軟な働き方や自由な休暇取得が大きなモチベーション要因であるともとれるでしょう。
 人事の視点から捉えると、報酬制度や評価制度を見直す必要もあるでしょう。若い社員は、働きやすさや報酬の透明性を求める傾向が強いため、成果に応じた適正な評価を行うことで、モチベーションを維持することが可能です。

 社員のパフォーマンスを適切に評価し、それに応じた昇給や昇進の機会を提供することも重要です。また、ひろゆき氏が述べる「具体的なメリットを提示する」というアプローチも、社員のモチベーションを高めるために有効です。
 例えば、社内でのキャリアパスを明確にし、昇進やスキルアップの機会がどのように提供されるのかを社員に対して明示することで、長期的なモチベーションを引き出すことができます。

 さらに、柔軟な働き方を提供することで、社員が自分のライフスタイルに合わせた働き方を選択できるようにすることも重要です。リモートワークやフレックス制度など、社員が自由に働ける環境を提供することで、モチベーションを維持し、長期的な離職防止にもつながるでしょう。

5. 将来に対する不安への対応とライフプラン支援

 将来に対する不安は、特に中堅社員や家庭を持つ社員にとって大きな課題です。ひろゆき氏が指摘するように、生活水準を上げすぎず、シンプルな生活を維持することが重要です。
 これを人事の視点から考えると、社員に対してファイナンシャルプランニングやライフプラン支援を提供することが有効です。社員が将来に対する不安を軽減し、安心して働ける環境を提供するためには、具体的なライフプランやキャリアパスのサポートが必要です。

 人事部門は、社員が自分のキャリアや生活設計に対して前向きに取り組めるように、キャリアカウンセリングやライフプランセミナーを提供することが重要です。退職後のセカンドキャリア支援や教育機会の提供も、社員が将来に対して不安を感じず、安心して働ける環境を整える一助となります。

まとめ

 ひろゆき氏の話には、人事の視点から考えるべき多くの示唆が含まれているように感じました。社員の成長支援やモチベーションの維持、コミュニケーション促進、業務負荷の調整、そして将来に対する不安の軽減といった課題に対して、現実的かつ実践的な対応が求められます。
 人事部門は、これらの課題に対して適切な施策を講じ、社員が働きやすく、成長し続けられる職場環境を提供することが重要です。それによって、企業全体のパフォーマンス向上や社員の満足度向上に寄与することができるでしょう。

ビジネスパーソンがノートパソコンを使って、仕事に集中しつつもキャリアやワークライフバランスについて考えています。デスクにはキャリア成長に関する書籍や資料が整理され、自然光が差し込む窓が希望や内省を象徴しています。穏やかな色調で、落ち着いたオフィスの雰囲気が漂っています。

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