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少女漂泊~Monologue by HARUKA ρ
はるかの反乱
いきなり携帯に着信音が来た。
「へぇ~、可愛い着メロ使ってるわねえ・・。」
叔母はからかうような風に言った。
「あれ、センセーだよ。」
「・・げ・・。」
「おねえちゃん、静かにしてたら?」
さすがの叔母もなりを潜めた。
村野の叔父さん、あたしの先生で、飛鳥おねえちゃんの夫。
実はうっちーセンパイの恩師でもある。
あたしにはよく解らない世界なんだが、
お姉ちゃんの話によると、センパイのおかんとあたしの父親、
そして、あたしの母親と叔父とは、妙な関係性があるらしいのだ。
因と縁、っていうものなのかなぁ・・。
<はるかか? どうだ、大学生活は>
「うん、快調だよ。どしたのセンセー、電話よこすなんて。」
<あ~、今、京都に来てるんだ。>
あたしは叔母に目配せした。
「え~、そうなんだ~。出張かなんか?」
<まぁ、それもあるが、プライベートもある。で、その用が終わったんで、はるかの顔を見ようと思ったが、どうだ?出てこられるか?>
あたしは、意を決して言った。
「せんせ~、うっちーセンパイのお母さんに会ったでしょ?」
<・・・え?なんで知ってる? 内海にきいたのか?>
「あっは、図星。でも聞いたのはうっちーじゃないよ。」
<え・・?なんでだ?>
あたしは焦る叔母の方を、いたぶるように横目に見ながら、
「飛鳥お姉ちゃんにきいたの~。」
叔母は大慌てて、
「あ~!、こら、バカ、はるか!」
そう叫んだ。
<え?・・なんだ?はるか、どこにいるんだ?飛鳥の声みたいなのが・・>
「ご名答~、お姉ちゃんはここにいま~す。」
「ちょっとはるか~!」
叔母はもう悲鳴に近い声を出した。
<え?なんで、飛鳥が京都に???>
あたしはちょっとからかってやりたい気分になった。
「あれ?センセー、あたし、今、桜新町だよ。って言ったらどうする?
お姉ちゃんそばにいていてあたりまえだよね~。」
<え?、え?・・はるか、今、東京にいるのか?>
あたしは、叔母に目配せした。
案の定叔母は、しらを切り通すつもりなのかも知れない。
が、いつもあたしの上を行く叔母だ、何か企んでるはず・・。
それをあたしは見たいんだな~。
「お姉ちゃん、センセー京都からだって、代わるぅ~~?」
叔母はあたしの携帯をうけとると、妙に神妙になった。
「純・・・ゴメン、あたし、京都にいる。はるかのアパート。」
あたしは拍子抜けした。
なんだ、あっという間にばらしちゃった。
まぁ、飛鳥おねえちゃんはウソがつけない人だからな。
それはわかる。
あたしのいたずらは、あえなく失敗に終わった。
「あ、あ、うん、わかった、そうする。」
そう言って叔母は電話を切った。
「はるか、木屋町の『綾』というお店で待ってるって。・・行くよ。」
・・・はい????
ますますわからないよ、
このあたしの周りの大人たちは・・・。