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日本の仏教がお葬式と深い関わりがあるわけを探ってみる その4
お葬式の「手順」
さて、「壇信徒喪儀法」では、授戒、念誦、引導という三部構成で手順が示されています。
時代が下って様々に簡略化されていますが、この基本は変わっていないようです。
曹洞宗の行持軌範は、昭和26年に改定されていますが、この内容を踏襲しているようです。。
ただ、現代においてはこれをさらに簡略化した「壇信徒喪儀法略法」に則って行われているようです。
具体的に挙げてみましょう。
まず、人が臨終を迎えるといわゆる「枕経」を誦むとしていますが、現代では病院での臨終がほとんどですから、これは行わない例が多いでしょう。
先に挙げた「略法」でも、いきなり「授戒」の儀式から入っています。
つまり、仏弟子としての出家の儀式を行います。まず剃髪して戒律を授け、そのうえで「戒名」を与えるわけです。
それから血脈伝授といって、仏法を弟子に正しく伝える紙を授けます。骨箱に添えられていたり、棺に納められたりします。
その後、禅宗においては入念な読経が行われた後、最後に引導法語を告げます。
最後に「喝!」で締めくくることが多いです。これは「見性成仏」といって、自らの仏性に気づかせるという儀式で、このことで死者は「仏陀」となるわけです。
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では、各宗派の葬儀の意義はどうか、ざっくりまとめてみましょう。
各宗派とも、おおもとでは曹洞宗の葬儀法に倣っていますが、それぞれの「特性」を出しているのが興味深いです。
まず真言宗では、理趣経がメインです。
この経によって大日如来と故人の法脈を告げ、その一体化をはかって授戒を行います。そして、最後に引導を渡す形になります。
天台宗では、読経と念仏を行いこの功徳で成仏を祈った後、引導を渡します。
浄土宗では通夜で戒名を授け、仏を迎えるという形式をとります。仏を供養し、念仏を唱えその仏を送る事で、浄土に往生し、成仏たらんことを祈ります。
その一方、浄土真宗では授戒や引導の式は行われません。理由は、死者はすでに往生しているという前提であるからです。ですから、そのことに対する阿弥陀仏への感謝の念を称名によって示すという形をとります。
ですから戒名とは言わず「法名」といいます。詳しい説明は、次回に譲りましょう。
日蓮宗も授戒は行わず、法華経の声明を行い、引導を渡します。授戒がないので、「法号」を諡します。その由来と故人の生涯を語ることが多いようです。
なお、創価学会のお葬式では、法号ではなく俗名で行われ、僧は関与しないで行われます。
まぁ、ざっくり言えばこういう流れなのですが、最近ではどうも主導権は「葬儀社」にあるようで、その形式や流れなどは、費用の違いによって変わっているようです。
葬儀につづく百か日供養までの「繰越法要」などは、もはや簡略化された葬儀社のビジネスプログラムでしかありません。
さて、次回は、こういった法要とか戒名、そして位牌や仏壇、法要の意義と歴史について少し深めて行きます。
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