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より面白い方へ
鹿児島へ移住し、半月パン屋を営み、残りの半月はリモートワークでITエンジニアをするという生活を一年間続けてきた。
そして、今月末。エンジニアとして勤めてきた会社を退職する。
パン屋という先行き不透明な仕事と、会社勤めという比較的安定している仕事。それらを両立できたことはとてもありがたく、心の余裕にもなっていたと思う。会社から生活に必要な最低限のお金は給与としてもらえるし、保険やらなんやらメリットも多かった。
辞めるのはパン屋だけでやっていけるという保障ができたわけではなく、会社にいられなくなったわけでもない。
辞める理由はいくつかあるが、
一番はパン屋の時間を増やしたかったから。
それはパンを作る時間や営業日を増やすとかではなく、パン屋に、店に関わる時間を増やしたかった。
以前から書いているように、パン屋がパンを作り売るだけで生活するのは厳しい、という考えは変わらない。それがわかった一年でもあった。
たくさん作ってたくさん売ればたぶん暮らしていくことはできる。でも、そのためには何日も仕込みが必要で、睡眠時間を削り、長い時間働かなくてはならない。パンを作るのは楽しい。好き。だからやれないこともない。パン屋で働いているとそれが当たり前になってくる。
でも、私は嫌だ。続かないと思う。
パン屋に転職し、働き、現実を知り、店を始める前からわかっていたこと。それをこの一年で証明した。悲しいかな。
ただそれと同時に、パン屋以外のこともできればそうはならないということを証明した一年でもあったと思う。
オープンする日が少なくても、自分が美味しいと思うパンを作り、日々発信していけば人は来てくれる。パン屋で体力的にしんどくても、もう一方の仕事で身体を休めることができればなんとかなる。利益にしてもそう。
複業はパン屋でも成り立つことがわかった。
ならば、次はパン屋だ。
売り方、作り方、作るもの、経営や仕入れなど。この一年で経験し感じたことを消化して、カタチにしたい。睡眠時間を削って長時間働くのではなく、健康的な生活をし、家族やプライベートの時間をしっかりとっても成り立つような、そういう方法があるはず。
その試行錯誤にはどうしても半月では足りなくて、一旦パン屋に集中することにした。
営業日を増やすかは未定。暮らしを疎かにしてパンを作るのではなく、暮らしと共に、暮らしの延長としてパンを作っていきたい。
現状維持も悪くない。
でも面白くない。
やりたいことはいっぱいあるから。
歩みを止めず、より面白い方へ進んでいきたい。
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