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ニコニコ動画、海外ユーザーを切り捨てる:アクセス制限で失われる創作の窓口

ニコニコ動画の海外アクセス制限が正式に開始され、海外から利用していたユーザーたちにとっては大きな変化となっています。
この記事では、この新たなアクセス制限について詳細に掘り下げていきます。


ニコニコ側の発表について

ニコニコの公式発表によれば、以下の主要なサービスについて海外からのアクセスが制限されています。

  • ニコニコ動画

  • ニコニコ静画

  • ニコニコチャンネル

  • ボカコレアプリ

  • ニコニ広告

  • フォロー新着機能

これらのサービスがどのように制限されているのか、実際の利用状況を見ていきましょう。

公式発表では、この海外からのアクセス制限に関して十分な理由や具体的な説明がほとんど行われておらず、依然として多くの不明瞭な点が残されています。

サービス別の制限状況

ニコニコ動画・生放送

動画の閲覧に関する制限は一見してわからない形で設けられています。
具体的には、動画一覧自体はアクセスできるものの、再生ボタンをクリックした瞬間にアクセス制限の通知が表示され、視聴することができない仕組みです。
この通知は「ご利用の国・地域からは表示できません」というものになります。

動画のアクセス制限

また、生放送についても動画と同様のアクセス制限がかかっているようです。

ジャンルについても一部非表示になっています。

ジャンル表示

ニコニコチャンネル・ボカコレアプリ

ニコニコチャンネルやボカコレアプリに関してもアクセスが制限されていますが、詳細な挙動については筆者自身がまだ完全に確認できていません。
ただし、おそらく他のサービスと同様の再生制限がかかっていると考えられます。

ニコニコ静画

ニコニコ静画に関しては、特にイラスト部分に関して全面的なアクセス制限が実施されています。
海外からは一切の閲覧ができない状態となっています。

ニコニコ静画のアクセス制限

しかし、マンガに関しては少し異なる対応がされており、閲覧自体は可能ですが、マイページへのアクセスがブロックされているため、自分の投稿済み作品の確認や削除ができない状況です。

「マンガ」セクションのマイページ

なお、マンガの新規投稿については引き続き可能なようです。

マンガ投稿画面

マイページ

アカウントページにおいても、フォロー新着機能にアクセス制限がかかっており、その理由が分かりづらい状態です。
この制限は非常に不適切であり、ユーザーの利便性を著しく損なうものであり、合理性に欠けると言わざるを得ません。

フォロー新着

ニコニコ静画でのアクセス制限により、自分の作品へのアクセスや削除が不可能な点についても制限がかかっており、著しく不適切であり、ユーザーの自身の作品の設定を不当に制限するものとして強く批判されるべきです。
また、フォローしているクリエイターの新着情報が確認できないことから、コンテンツの更新情報を追うことが非常に難しくなっています。

ニコニ広告

ニコニ広告に関しては、広告の入稿自体は引き続き可能です。
しかし、アクセスが不可能なコンテンツには広告を出稿することができないため、閲覧可能なコンテンツへの広告に限られる形となっています。

過去に既に入稿した広告についても、「貢献したコンテンツ」から辿ることで新たな入稿が可能なケースがあるようです。

貢献されたコンテンツ

その他のサービス

ニコニコ大百科、ニコニ貢献、ニコニコモンズ、ニコニ立体など、その他の関連サービスには現時点ではアクセス制限はかかっていない模様です。
ただし、ニコニコ大百科の一部記事に対して制限がかかっていることもあるようですが、具体的な基準は公式から発表されておらず、詳細は不明です。

モバイルアクセス

ニコニコへのモバイルアクセスについても、特有の制限が存在します。
特に、アプリをインストールしない限りモバイルブラウザからのアクセスが遮断される仕様となっており、非常に不便な状態です。

モバイルブラウザ制限

ただし、アクセス制限はあくまでsp.nicovideo.jpドメインに対するものなので、ブラウザをデスクトップモードに切り替えることで、モバイルでも通常のPC版としてアクセスすることが可能です。

デスクトップ表示に切り替えた場合

さらに、モバイルアプリのインストールを強制されることに対しても不便さを感じる部分があります。
この点についても、ニコニコ側の説明が不足しているため、改善が望まれます。

まとめ

ニコニコの海外アクセス制限は、筆者にとって非常に誠意を欠くものであると感じています。
例えば、海外からの一般アクセスのみを制限し、アカウント保持者に関してはより柔軟な制限を設けるなど、他の選択肢もあったのではないでしょうか。
しかし、そうした対応は一切行われず、一方的な措置となっており、中には一定の嫌がらせ・悪意を感じるような内容のものも含まれています。

以前告知した通り、筆者は今後ニコニコでの活動を完全に停止する以外の選択肢がないと判断しました。

今回のニコニコ動画の海外アクセス制限については、その雑多な対応が多くのユーザーにとって不便をもたらしています。
まず、この制限に関して十分な理由説明がされておらず、一方的にアクセスを遮断する形となっている点が問題です。
特に、自分の作品に対するコントロールすら奪われている現状については、少なくとも非公開設定や削除は可能にするべきだと考えられます。

また、ユーザーとコンテンツの制作者とのつながりが断たれた形となり、クリエイターにとっては自身のファンと交流する機会が減少する結果となっています。
このような状況では、海外ユーザーにとってのニコニコの魅力が大きく損なわれ、サービスとしての価値も著しく低下しています。
筆者も2007年からニコニコ動画を利用してきましたが、ここまで制限が厳しくなると、残念ながらたもとを分かつしかないと感じています。

これにより、ニコニコは海外ユーザーにとって利用価値が低下したサービスとなってしまいました。
筆者自身もプレミアム会員の期間がまだ残っていますが、もはや更新の価値はないと感じざるを得ません。

海外ユーザーにとって、ニコニコ動画は一度は日本の文化や創作活動を楽しむ窓口であり、国境を超えたつながりを育んできたプラットフォームでした。
これらの制限は長期的な方針として維持されることが示唆されており、海外ユーザーにとっては今後も厳しい制限が続く見通しです。
このような制限が続く中で、ニコニコがかつて持っていた魅力を取り戻すことは非常に難しいでしょう。
信頼を取り戻すには根本的な方針転換が必要であり、現状ではその可能性は低いと考えざるを得ません。