1.縮んだり膨らんだりする世界 インフレとデフレ
インフレとデフレの意味
経済の状況を表す言葉は、世の中にたくさんあります。
中でも、インフレ、デフレという言葉は、普段経済ニュースなどに触れていない人でも、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
インフレとはインフレーションの略、デフレはデフレーションの略ということまではお分かりかと思います。
このインフレ、デフレの本来の意味を簡単にいうと
インフレは膨張、デフレは収縮、です。
風船をイメージしてみると分かりやすいと思います。
風船がどんどん膨らんでいく様はインフレ、逆にどんどん縮んでしまう様はデフレです。
これを経済に置き換えるとどんなことが言えるでしょうか。
何が膨張し、何が収縮するのでしょうか。
それは「通貨」、もっと分かりやすく言葉で表現するならば「お金」です。
インフレとデフレはどんな状況か
お金が膨張、つまり増えるとどうなるでしょうか。
お金が増えると、お金をたくさん使うことができます。
お金を使う人、つまり買う人が増えることを、消費が伸びる、と言います。
消費が伸びると、売る物が足りなくなり、物の値段は上がります。
なぜ物価が上がるかというと、物価を上げても買う人が多いので売れるからです。
つまり買う人と売る人の数を表すと、買う(需要)>売る(供給)、という状況です。
この状況をお金と物の価値の大きさで表すと、お金<物、です。
すなわちお金の価値は下がり、物の価値は上がる、ということです。
この状況をインフレーションと言います。
これは経済は上がっている状況です。
一方、インフレの逆がデフレです。
世の中にお金が少ないので、買う人も減っています。
なぜならば買いたくてもお金が無いので買えないからです。
みんな節約します。
お金をなるべく使わないで済むようにします。
消費は伸び悩み、物は売れ残っています。
売りたくても、買ってくれる人が少ないからです。
仕方なく物の値段を下げてでも売ろうとします。
この状況を買う人と売る人の数で表すと、買う(需要)<売る(供給)、という状況です。
この状況をお金と物の価値の大きさで表すと、お金>物、です。
お金の価値は上がり、物価は下がります。
この状況をデフレーションと言います。
デフレで経済は停滞します。
インフレとデフレの影響
インフレとデフレはGDPにも密接に関係してきます。
GDPとは国内総生産の略称です。
GDPで何が分かるかと言うと、消費・所得・生産です。
GDPで表される数値は消費=所得=生産で、このことを「三面等価の原則」と言います。
簡単に言ってしますと、私たちの賃金の総合計値がGDPです。
インフレーションは世の中にお金が出回る現象です。
つまり私たちの賃金は多く、使えるお金が増えます。
と言うことは、インフレによりGDPは上がります。
と言うことは、経済は向上していきます。
一方、デフレになると最悪です。
経済は縮小します。
これは今までの日本のバブル崩壊後の過去30年です。
経済が縮むと言うことをもっとさらに分かりやすくお伝えしましょう。
それが「デフレ・スパイラル」です。
スパイラルとは「螺旋」です。
つまり螺旋階段のように、ぐるぐると階段を駆け下りるかのように、状況が悪化していく現象です。
消費者の所得が下がる
↓
ものが買えない
↓
節約する
↓
消費が落ち込む
↓
物価が下がる
↓
店の売り上げが下がる
↓
所得が下がる
↓
物買えない
↓
節約する
↓
・・・
これが繰り返されて、どんどん経済活動が停滞していく、言い換えれば、国全体が貧乏になる、これが「デフレ・スパイラル」です。