4.なんで税金を支払うのだろう?
税金の役割(教科書的教え)
私たち国民に課せられている税金は、社会全体の運営や公共サービスを維持するために集められるお金です。
税金の役割を子供たちにも分かりやすくするために、なるべくシンプルな言葉で挙げてみると以下のようなものになるのではないでしょうか。
1.公園と遊び場を維持するお金
公園を新たに作ったり、公園内をきれいに清掃をしたりします。また、利用者が楽しく安全に遊んだり休んだりできるように、遊具や設備が安全に動くようにメンテナンスも行われます。
2.学校での教育費
学校に通っている子供たちのために、教科書・教材、学校内の設備・備品、先生の給料などに税金が使われます。
3.医療サービスへのサポート
病院を作り、住民が病気やけがをしたときに医療サービスを受けるためのお金として使われます。これによって、誰もが健康な生活のための支援が行われます。
4.道路や交通機関の整備
車やバス、電車などの交通機関が安全で便利に移動できるように、道路や橋、公共交通機関そのものなどの交通インフラを整備します。
5.環境保護とごみ処理:
ごみの処理やリサイクルで住民の生活環境を清潔に安全にするために、そして川、海、山などの自然環境を整備するために使われます。
と、小学校の社会科の授業でも習うようなお話はここまでにして、ここからは少し違った観点から「税」についてお話を進めたいと思います。
税と円
国民には納税が義務化されています。
元々、日本の税は歴史を遡ると、大化の改新の「租・庸・調」から江戸時代に至るまで、米や塩など物で収めるものでした。
それが明治時代になり、近代国家として新たな船出をする中で、納税は「お金」でするようになりました。所得税や法人税などは明治時代になってから導入された税金です。
そんな「税」ですが、なぜお金で納めることになったのでしょうか。
確かに、ものよりもお金の方が便利だからですが、本当の理由は他にあります。
しかも、日本国民である以上、日本の通貨である「円」で収めなければいけません。
でも、中にはこんなことを考える人もいるかもしれませんね。
「“ドル”で払いたいんだけど」
しかしながら他国の通貨で支払うことは許されません。お金だったらなんでもいいんじゃないか、と思うことも分からなくもないですが、日本の税は日本円で支払うことが絶対条件です。
そのことを理解するために、ここで少し、税から離れて、お金そのものの話に戻します。
皆さんは、なぜただの紙切れや金属、そして数字データを「お金」と認識するのでしょうか。
なぜお金が必要なのでしょうか。お金じゃなくて、ものでもいいはずですよね。
でも、生活していく上で、お金は絶対必要不可欠なものです。しかもお金の中でも「円」が絶対必要です。なぜなら日本は円が通貨だからです。国でそう定められているのです。
中には、ドルで払ってもいいよという人やお店があるのかもしれません。でも、最終的にはそれは支払い先で「円」に変えられます。なぜなら、ドルのままなら経理上、売上に勘定されないからです。
もう一度お聞きしますが、なぜ我々は「お金」を「お金」と認識するのでしょうか。なぜお金をお金と信用しているのでしょうか。なぜお金にお金という価値を感じているのでしょうか。
それは、通貨の「円」を使って国家に「納税」するという義務が国民にあるからです。
つまり、本来の税金の役割は、国が税を「円」で徴収することで、国民に「円」を日本の通貨=お金として価値を持たせるためのものなのです。
国内の様々な公共サービスやインフラ整備に使うために税がある、というものはあくまでも2次的な目的です。
納税しないとどうなりますか?財産も所有物も差し押さえられます。それでも言うことを聞かずに税金を払わなければ、国家権力に力づくで逮捕されます。誤解を恐れずに分かりやすくいうと、国が暴力という権力を持っているのです。
ちなみに、納税とは違うのですが、どこかの一般人の方が、交通違反で運転していた車を止められた際、警察の言うことを聞かなくて車から降りなかったために、警察官に車の窓ガラスを叩き割られて、数人がかりで車から引き摺り出されて現行犯逮捕されるという動画を見たことがあります。
日本で、です。それと同じ状況のことが、脱税でも行われます。これは国だからこそできることです。
国だからこそお金が発行でき税を徴収できる
結論を言うと、国だからこそお金を発行できるし、税を徴収できるのです。
仮に誰かがお金を発行したとしても、誰もそんなものをお金として信用しませんし、そのお金で税(のようなもの)を支払えと言われても、誰も支払いませんよね。
私達日本国民は、国に対して円で納税しなければ、国民としての自由を奪われるのです。
よって私達は必死に働き、円という通貨をかき集め、円で納税をするのです。それを「血税」と言う人もいます。
これがお金をお金と認識する理由です。
つまり、国家に「円」で納税する理由とは、国民に「円」を日本の通貨=お金として認識させるためのものなのです。
このように、国が税金という使い道によってお金に価値を与えているという考え方は「租税貨幣論」と呼ばれています。