新型コロナウイルス 宣言後アンケートの回答
日刊工業新聞さんからアンケートの依頼を頂き、思わず力を込めて書いてしましまいた。
ーーーーー
①新型コロナの感染者が急増し、非常事態が宣言されるなど、日本経済は戦後最大の危機に直面しています。貴社が直面している経営の課題について教えてください
平山建設は、グループ会社と併せて、現在建設業、不動産賃貸管理業、ホテル業を展開しております。建設業は、現在のところ順調に推移しておりますが、大手ゼネコンの現場での感染症の発生とそれに伴う現場休止のニュースを拝見して、今後感染防止の観点からの建設業の現場運営の難しさを感じております。正直、現場を止めれば多くの作業員が分散するため、長期の休止は感染防止の観点からベストの策ではないと考えます。
不動産賃貸業では、緊急宣言による自粛による飲食業の窮状を受け、テナントさんからの家賃減額交渉が来ていて、オーナー様のご利害との調整に苦労しております。ホテル業は、リモートワーク応援プランを打ち出し、好評をいただいてはおりますが、事実上の海外渡航禁止状態ですので、かなり稼働が厳しくなってきています。
私達のふるさと、成田は国際空港があります。この成田で感染者の発生が最小限で推移していることは、本当に関係のみなさまの真摯なご努力の結果であると心から感謝しております。
新型コロナウィルスが猛威をふるいつづけるウィズコロナ時代に中小企業が生き延びていくのはかなり大変です。昨今の報道、新型コロナウィルスをめぐる知見をみているとビフォアコロナの日常を回復するまでには相当な時間がかかると考えざるをえません。国と地方と地域と企業とで、一人ひとりが安心できる持続的な体制をつくることがとても大事だと考えます。また、逆に言えば、今後、感染防止、接触低減、健康維持関連産業が日本経済の最大の課題、産業基盤となるのではないでしょうか?
②新型コロナの感染拡大対策として現在、取り組んでいる具体的な事例はありますか。(マスク着用の徹底など)
現場の健康管理の一貫として、現場入場者の健康管理を徹底しています。毎朝入場の時に、紙や、ウェブのアンケート機能を使って全員の体温、健康状況を記録しております。現場内での安全衛生管理、朝礼なども、ITを使って各職長さん等に管理項目の徹底を行い、三密を避ける工夫をしております。
更に、政府の職場における接触七割削減を受け会社全体として「衛生的分離(アイソレーション)」を打ち出しております。三年前の新本社移転の時からIT、クラウドを使ったBCPに取り組んできました。支払業務を含む全社のテレワーク、時差出勤等の基準、マニュアルを3月初旬までに完成し、社員と共有し、在宅勤務の実証実験、一部社員の実施などを行ってきました。更に、緊急事態宣言を受け、現場・本社間、部門間のアイソレーションを加速しています。クラウドを使った印鑑の必要のない稟議、支払査定等の業務に移行しつつあります。社外とはどうしても紙ベースのやりとりが残ってしまいますが、社内的には必要最低限の「紙」渡し、対面接触になるようにします。
また、グーグルハングアウトミート等のテレビ会議ツールを使い、社内外の会議、打ち合わせ等を遠隔実施しております。全社員が毎月集まっていた月末会議も3月末から遠隔実施しております。遠隔会議、打ち合わせは今まで以上に準備が大事だと痛感させられています。
アイソレーションを進めるとどうしても社員間のコミュニケーションが希薄になってしまうので、電話でも、ITツールを使ってでも、これまで以上に「おしゃべり」、「無駄話」してもらうように社員に勧めています。
③政府は108兆円規模の緊急経済対策を打ち出しました。自治体も独自の新型コロナ対策に取り組んでいます。政府や自治体への要望についてお願いします。
先日、報道番組を見ていて感染症の専門家の方が「コロナウィルスの対策がきちんととれるかどうかは地域の力にかかっている」と明言されていらしゃってはっとしました。「ふるさとづくり、街づくり、建物づくり」に取り組んできた弊社としてはこういう緊急時にこそふるさとのためになる仕事をしていかなければならないと考えています。なによりも社員の雇用を守る決意をしております。
そのためには、まずすでに実施いただいているコロナ対策での全額補償無利子の融資の実施や、延滞税がかからない納税猶予は大変ありがたいと感謝しております。しかし、ぜひ政府には現時点のためだけの弥縫策だけでなく、長期に渡って国民ひとりひとりが安心できる政策を実施していただきたいと強く期待しております。個人が安心できる対策としては、例えば一定以下の所得の方には消費税等の還付を行う施策などは長期にわたる安心につながるのではないでしょうか?更には、せっかく苦労して作られた5%の還元ポイント制度を期間延長させ、20%程度まで還元率を拡大実施することは、いますぐにもできるみんなに平等な支援策であり、通信販売ばかりではない地元の中小企業支援にはもつながると考えます。
※ 写真は弊社発祥の製材工場の写真です。これで黒松などの丸太を板に引いたそうです。残念ながらまもなく解体する予定です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?