「新しい地域ネットワークの教科書」
ひさしぶりのnoteです。前回から今回までで私にとって最大の変化はシェアスペースGAKUYAというコワーキングスペースを成田の駅前に開業したことです。最初はここから「街づくりのベースを提供する」と上から目線で取り組んでおりましたが、ここのところGAKUYAで育んだお仲間から大変お力をいただき、助けていただける感じです。いかに私が助けていただいているかは、また改めてお話ししたいです!
「お助け」の新しい話題として、GAKUYAをご利用いただいている伊藤幹夫さんが本を出版されました。「新しい地域ネットワークの教科書」です。伊藤さんは、ここのところほぼ毎日GAKUYAをご利用され執筆、校正、お打ち合わせをされていました。いわば、GAKUYAファミリーでの出版です。
正直、「教科書」と書いてあっても読む前は「伊藤さん、地域のために走る!」みたいな体験記的な本ではないかと想っていました。しかし、一読させていただき「地域」という身近な「ご近所さん」のネットワーク、ご縁がいかに少子高齢化で危機に瀕しているかから、心構え、具体的な地域ネットワークの実践についてまだ書かれていました。
「ご近所」がピンチなのは高度成長時代、バブル経済崩壊を経て人口の流動性が高まった後の「ご近所」ではそもそも共通の言語がないと伊藤さんは書かれています。高齢化しているとは言え、仕事も、家庭の事情もばらばら、出身もばらばらなのが現代日本の「ご近所」ではないでしょうか?
そこで、伊藤さんは自分の思い込みから正すべきだと主張されます。人は必ずなんらかのメンタルモデルに基づいて判断、行動しています。ご近所ネットワークを稼働させるためには自分の思い込みをいかに変容させるかが大事だと。例えば、独居の高齢者の女性がいらっしゃったします。どうしても、ご近所ネットワークを運営する側は、この人は単に世話をすべき対象だとメンタルモデルでは判断されてしまいます。しかし、よくよくお話しを傾聴すると「この前、近所の若夫婦が遊びに来てくれて赤ちゃんを抱かせてくれたの。幸せな時間だったわ」と。世話をされるだけでなく、自分で近所の役に立ちたいと想っている主役なのだと。
他にも、ご近所ネットワークを稼働させるための多くの心構え、基礎知識、ツールについて書かれています。そうした中で私が大変興味を持ったのは「地域包括ケアシステム」です。行政、地域、ご近所と三層の「主役」それぞれがご近所ネットワークに参加するモデルであると私は受け止めました。
高齢化、分断、共通言語のない中で、このモデルは大変有効ではないでしょうか?まだまだ興味深い話題はたくさん書かれています。地域に生きる方々にお勧めしたい一冊です。