成田市人口減少の衝撃
成田空港と成田山の繁栄のお陰で成田市はずっと人口の増加基調が続いてきていました。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、成田市は令和27年(2045年)まで人口増加が続くと予想されてきました。成田市の「第二期成田市まち・ひと・しごと創生総合戦略」(以下「総合戦略」)でも令和27年(2045年)までに15万人を目指すとあります。それが、ここに来て変調を来しています。平成30年(2018年)に約13万3千人だった人口が、令和4年(2022年)までに三千人程度減り、13万人ぎりぎりになっています。令和4年速報値でも減少傾向が止まらず、年内には13万人を割るのではないかと言われています。
残念なことに平成30年以降、出生と死亡の結果である自然減、転入と転出の結果である社会減の両面での減少傾向が止まりません。「総合戦略」によると、「25歳から39歳の人口は、男女ともに転出が転入を上回る傾向が続いており、就職後の親世帯からの独立や、結婚・出産等を契機とした転出が影響していると考えられます。0歳から4歳の人口も同様に転出超過になっていることから、出産を機に市外に移り住む世帯が多いと推測されます」とあります。更に「転出超過数では、印西市の267人が最も多く、次いで東京都大田区の203人が多くなっています」と記述されています。大田区への転出超過はコロナ禍に伴う航空関係の方々の異動だと考えられます。しかし、印西市への超過は勤務先の問題ではなく、お住まいを成田市から移転せざるを得ないのだと推測されます。
先日ある会合で何人かの成田で事業を行っている方々とお話しをしました。驚いたことに功なり名を遂げられた経営者の方々ですら「成田に土地がない。あっても周辺と比べると高価すぎる。成田では戸建ては買えない。印西市に行くしかない」と口々におっしゃっていました。なぜ成田から印西へ子育て世代が転出超過になるのかも理解できます。同じ会合で「子育て世代の流出は企業の存続、生活の場の維持にも関わる大きな問題だ」との意見も聞きました。成田市の宅地開発を促進して、子育て世帯が手の出る住宅地を増やすことが一番の人口減少対策です。
空港の機能強化による働き手の増加に対応するためにも、人口減少から増加への早期の転換が重要です。