トークライブ「多和田葉子と高瀬アキ トークライブ『海外で創作/演奏すること』」(於 小野記念講堂)
早稲田の学内にある国際文学館、いわゆる村上春樹ライブラリーが3周年を迎えた。前夜のパフォーマンスに続いて、記念のイベントが開催された。前夜と同じく小説家 多和田葉子とピアニスト 高瀬アキが登場したけれども、今回はトークライブである。
テーマは「海外で創作や演奏することはどういうことか」である。松永美穂教授の司会に従い、ふたりが語っていく。ふたりとも現在はドイツのベルリンに居住し芸術活動をしているのだ。そしてふたりでのコラボはかれこれ25年ほどになるという。ふたりとも能力があるだけでなく、気があうのだろう。
文学にしても音楽にしても、ベルリンは国際都市だけあって、世界中から様々な人々がやってきて活動しているらしい。そのためもあってか、多和田も高瀬も日本人だからといって不利な扱いをされたことがないという。もちろんふたりの能力がまさっているせいもあるだろうけど、差別が少ない土地柄ということだろうか。
しかしふたりは自宅のあるベルリンだけでなく、世界中いろいろなところへ出かけていき活動を行っているという。因果関係を確かめるのは難しいけれど、そういった様々な国での活動が、ふたりの芸術の価値を高めているのだろう。
ふたりはベルリンで、どんな様子で小説の創作やピアノの練習などしているのだろう。自宅の書斎や仕事場などを写真や動画などで垣間見たくなってしまった。
多和田の学生時代、早稲田露文の学生たちの多くがシベリア鉄道でソ連に向けて旅をしていたというのは初耳。ソ連に着くと、多和田のような外国人が街の人と話すことはなかなか難しかった。でも、シベリア鉄道のなかで何日も缶詰になっていると、様々な話ができたという。鉄道が「治外法権」的な空間になっていたということか。とてもおもしろい。
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