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映画「学校をつくる、難民の挑戦」(The Staging Post, 2017, 豪・インドネシア, Jolyon Hoff)
今年の難民映画祭の視聴も第3弾。今回は、難民の子どもたちのために学校をつくる話である。
オーストラリア人とおぼしき監督が、難民のことを知りたいと思って向かったのは、インドネシアの小さな村、チサルア。そこに滞在していた庇護希望者のムザーファとハディムを中心に、映像を撮り始めた。
ふたりとも、アフガニスタン中部などに住むハザラ系アフガニスタン。タリバンなどからの攻撃に恐怖を抱き、陸路と海路ではるばるインドネシアへたどり着いた。本来ならばオーストラリアへ行きたかったのだが、受け入れを拒まれ、インドネシアに落ち着いたのだった。
その村には庇護希望者が数多く滞在しており、助け合って生活している。その中で、ムザーファは国連の機関で勤めた経験を活かして、ハディムはスマホなどで映画を撮る技術や経験を活かして、庇護申請者たちの助け合いの輪の中心にいる。
そこでふたりとその周りの人々は思った。もう16か月チサルアに滞在している。UNHCRからいつ連絡があるかわからない。そんな不透明な未来に直面し、待ったなしの課題がある。それは子どもたちの教育である。
本来ならばUHHCRから難民の組織的活動は禁止されているけれども、そんなことを言ってられない。集まって何度も会合を重ね、寄付など募り、教えられる先生を庇護希望者から見つけ、開校にこぎ着けた。そして膨れ上がる生徒数と多様化するリクエストに応えるため、より大きな建物を借りて引っ越しすることにも成功した。
すごくよい話だった。なんといっても、庇護希望者の子どもたちの笑顔がきらきらしている。どの子も学びたいし、どの子も他の子どもたちや大人と一緒に何かしたいのだ。
難民・庇護希望者の調査をした後いつも思うのだけれど、意外にもみんな明るい。というか、明るい人しか見通しのきかない「難民という旅」を続けることができないのだろう。しかしこんな学校があれば、力強く生きる大きな助けになる。そんな希望を感じさせてくれる映画だった。