数学の小ネタ#7 今日(3.14)はパイの日
今日は一般的には”ホワイトデー”です。ホワイトデーは、バレンタインデーの”お返し”のための日ですが、その昔は”マシュマロデー”と呼ばれていました。何となく想像できると思いますが、”マシュマロデー”もチョコレートと同じく、マシュマロをたくさん売りたいお菓子屋さんの陰謀(?)です。
3月14日は、その数字の並びからπ(パイ)、つまり”円周率の日”です。また、お菓子の”パイの日”でもあります。πは円周率を表す記号で、英語のpに相当するギリシャ文字です。それでは、円周率とはそもそも何でしょうか。あらたまって聞かれると答えられない人も多いと思いますが、円周率とは円周に対する直径の比です。つまり、円周の長さを直径で割ったものが円周率の定義になります。具体的には、直径20cmのアップルパイの周囲は、60cmちょっとになります。
『ゆとり教育』の一時期、”円周率はおよそ3”と教えられたそうですが、無理数である円周率π(=3.14159265358979・・・)を3にしてしまうのは、数学を根本的に否定するような暴挙に他なりません。私は『ゆとり教育』を否定するつもりはありません。むしろ逆で、本当の意味での『ゆとり教育』が続けばよかったと考えています。しかし、”先生である大人が忙しすぎて、ゆとりが無かった”ために『ゆとり教育』は頓挫してしまいました。
円周率の近似値は、簡単な分数でも表せます。最も簡単な分数は22/7で、あのアリストテレスが発見したと言われています。この”7分の22”と関係する記念日もあって、実は 7月22日は『円周率近似値の日』だそうです。その他の円周率の近似式で有名なのが、グレゴリー・ライプニッツ級数です。この級数は 以下のように”奇数ぶんの1を交互に足し引きしたら π/4になる”という等式です。
ただし、実際に計算してみるとなかなか円周率に近づきません。これは、この級数が正負を繰り返す交代級数であるため、収束がとても遅いからです。現在、円周率πの実用的な計算には、もっと収束速度の速い級数を使って計算します。現在の世界記録は、2021年にスイスの研究チームがスーパーコンピューター1台を使って計算した62兆8000億桁です。ただし、記録は常に更新されていますので、100兆桁を超えるのも、そう遠くないかもしれません。
円周率の問題は、大学入試にも時々出てきます。受験数学で有名なものでは、東京大学の2003年の問題です。これは、正十二角形を使って、円周と正十二角形の周囲の長さを比較することで、証明することができます。興味がある人は、自力で解いてみて下さい。また、”半径17の円と一辺が12の正方形を使ったユニークな解法”もあります。「よくこんな方法が思いつくなぁ」というトリッキーな解法ですが、数学の面白さが満載の解法です。興味がある人は調べてみて下さい。