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活断層の探査

 地面を掘り下げていくと固い地層にぶつかりますが,この地層中にはたくさんの割れ目があります。通常,この割れ目はお互いしっかりかみ合っていますが,ここに大きな力が加えられると,割れ目が再び壊れてズレます。この壊れてズレる現象を断層活動といい,そのズレた衝撃が震動として地面に伝わったものが地震です。また地下深部で地震を発生させた断層を震源断層,地震時に断層のズレが地表まで到達して地表にズレが生じたものを地表地震断層と呼んでいます。そして断層のうち,特に数十万年前以降に繰り返し活動し,将来も活動すると考えられる断層のことを活断層と呼んでいます。現在,日本では陸域だけでも2000を超える活断層が確認されていますが,地下に隠れていて地表に現れていない活断層もたくさんあります。 

 活断層の周辺地盤は,一般的に断層変位(ズレの方向や大きさ)によって複雑な構造となります。活断層周辺で地表開発を行なう際には,断層変形がどの範囲まで及んでいるのか,どのような地盤変形が起こっているのか,などを評価することが重要です。 トレンチ調査では深さ数mまでの地層の情報しか得られないので,それより深い地下での断層面の形態を知るためや地下の構造を知るためには物理探査が必要です。物理探査には重力探査磁気探査弾性波探査電気探査などの方法がありますが,活断層の調査や地下構造調査には,重力探査と弾性波探査の二つの方法がよく使われます。

 重力探査は,地上で観測される重力の値が,地下の岩盤密度によって変化することを利用して調べる方法で,断層運動によってズレている地下の岩盤の状態を推定することができます。弾性波探査は,地下を伝わる地震波が地層の境界で屈折や反射をすることを利用して,地下の状態を探査する方法です。これには,屈折波を利用する屈折法と反射波を利用する反射法があります。この他には,自然現象によって引き起こされているわずかな振動(微動)を用いて,地盤のS波速度の深度分布を推定する微動アレー探査などがあります。


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