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”学歴ロンダリング”を非難する人には、学歴マウント意識があるのかも?

ロンダリング(laundering)は、”洗濯する”という意味を持つ言葉で、ニュースなどではマネー(お金)と組み合わせて『マネーロンダリング(資金洗浄)』として使われます。マネーロンダリング、不正に得たお金を合法的に手に入れた資金に見せかける違法行為のことです。言い換えれば、違法な資金源Aから入手したお金を、合法の資金源Bから入手したことにするということです。このように、”汚れたお金”を手に入れ、”きれいなお金”に変換するので”洗浄(ロンダリング)”という言葉が使われます。

マネーロンダリングとは全く関係ありませんが、『学歴ロンダリング』という言葉があります。正式に定義されている言葉ではありませんが、学歴ロンダリングは、出身校よりも高いレベルの大学院に進学し、最終学歴を良くすることを指すようです。学歴ロンダリングは、違法な行為ではありませんし、本人の努力の結果なので、非難されるべきものではないと考えます。そもそも、”汚れた学歴”を”きれいな学歴”に洗浄していると考えること自体、おかしなことです。

しかし日本では、この学歴ロンダリングを良しとしない風潮が有るようです。純粋に”研究のため”など、学術的な目的で出身大学とは別の大学院に進む人もいます。それ自体は何ら問題ありませんし、目的が何であれ、他大学の大学院を受けることは全然悪い事ではありません。行きたい大学院に行くという行為が、非難される理由がよくわかりません。高校生は自分が好きな大学を選んで問題ありませんし、大学生が自由に大学院を選ぶことにも何ら問題はありません。

大学院に進学した場合、当然大学院が最終学歴になります。具体的に言うと、東大の大学院を修了した場合は、出身大学が東大と違っていても最終学歴は東大(院)卒となります。当たり前ですが、きちんと修了(大学院の場合は卒業ではなく修了を使います)しているのなら、履歴書に書くことができます。実際、国公立・私立を問わず、大学院は他大学からの受験を受け付けています。東大の大学院では他大学からの入学者のほうが多く、令和2年度では入学者3310人中、1723人が他大学出身となっています。

一部の人は、これが気に入らないみたいです。例えば、就職活動の際に学歴フィルターで自分が不利になるのではないかと考えているようです。また学歴マウントの考えがある人には、”二流や三流の大学出身者が、一流の大学院に進学するのが許せない”という心理が働くようです。ここでは判り易さを重視して、一流・二流・三流という表現を使いましたが、私自身が大学をそのように評価しているわけではありません。

海外では、学歴ロンダリングと言われて批判されることは無いようです。日本だと、大学入試の方が大学院入試よりもハードルが高いため、”学歴ロンダリング”などと揶揄されるのかもしれませんが、欧米の有名大学院は出身大学で優秀な成績を取っていないとそもそも合格できません。無名大学から有名大学院に合格したのなら、それだけ頑張って良い成績を取っていたという証になります。

”他人が有名大学院に合格することが許せない”、というのは少し偏った考えに思えます。他人のことは自分の制御外のことなので、自分が何をしたいかで考えるべきです。もし、自分が行きたい大学院があれば、努力して行けば良いだけなのです。それ以上でも以下でもありません。

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