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数学の小ネタ#34 大きな素数

2024年10月、過去最大の素数「2の1億3627万9841乗−1」が発見されたとニュースになりました。この素数は、桁数にすると4102万4320桁にも及びます。これまでの記録は、2018年12月に発見された「2の8258万9933乗−1」で、2486万2048桁の素数でした。これでも十分大きな素数ですが、今回は1600万桁以上、記録を更新したことになります。

ところで、これらの素数は”2の○○乗-1”と特殊な形で表現されています。これはメルセンヌ数と呼ばれる数で、特に素数になるものはメルセンヌ素数と呼ばれます。タイトル画のマラン・メルセンヌは神学者で、数学・物理学・哲学・音楽の研究もしていたフランスの人で、メルセンヌ数はこの人の名前を冠して付けられました。またメルセンヌは、『音響学の父』とも呼ばれています。

メルセンヌ数は、偶数から1を引いた数ですから素数の候補ですが、必ずしも素数になるわけではありません。これまで見つかったメルセンヌ素数は51個でしたが、今回の発見で52個目のメルセンヌ素数が発見されたことになります。このような素数の発見には、GPUを用いた並列計算が欠かせません。今回も多くの時間を使って、このメルセンヌ素数の判定を行なったようです。

巨大な素数には、”暗号の鍵”になるという、実用上のメリットがあります。公開鍵暗号というアルゴリズムでは、素因数分解に膨大な時間がかかる巨大な素数の組が使われます。ネット上のセキュリティは、このような”巨大な素数”によって守られています。

今回のメルセンヌ素数は4100万桁ですが、たしか1億桁以上のメルセンヌ素数を発見した人には”賞金”が与えられるはずです。アナタも挑戦してみませんか?。

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