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現地核査察(OSI)

 物理探査のかなり特殊な目的を紹介します。

 現地核査察かくささつ(OSI; On Site Inspection)は、包括的核実験禁止条約(CTBT; Comprehensive nuclear-Test-Ban Treaty)の条約違反となる地下核実験が行なわれたか否かを判定するための証拠を集める最終的な検証手段です。簡単に言うと、OSIとは核実験の有無を現地で検証するための立ち入り査察です。OSI はCTBT 検証体制の最後の砦となる検証手段であり、CTBT 検証体制の有効性と信頼性を保証する重要な役割を担っています。

 OSIは、実際にはまだ行なわれたことはありませんが、欧州連合(EU)を中心として準備が進められています。このOSIには、放射能探査を含めて様々な物理探査の使用が予定されています。OSIでは、核実験によってできた地下の大きな空洞を、ヘリコプターなどからの空中物理探査を使って検出することを想定しています。地下核実験で生じた大きな地下空洞は、精密な空中重力探査(airborne gravity survey)を使って調べることができます。

 また、核爆発で発生したキュリー点を超える高温領域の探査には、空中磁気探査(airborne magnetic survey)が有効です。さらに、実験に必要な地下構造材や電線ケーブルなどの探査には空中電磁探査(airborne EM survey)が使われます。これらの概査に加えて、詳細な調査(精査)のために、地上での様々な手法が検討されています。

 タイトル図は、2007年にスウェーデンで実施されたOSIのテストの様子です。

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