盗作問題について
九州大学出版会のX(旧Twitter)に、上記のようなお知らせが掲載されていました。これは、昨年末に出版された学術書を盗作のため絶版にするというお知らせです。文章や絵画の無断引用や盗用は、もちろんやってはいけません。これらは著作権侵害という犯罪になる可能性があります。
一般の方は興味も関心もないでしょうが、文系研究者と理系研究者では、評価基準が大きく異なります。理系研究者では、英語で書かれた国際ジャーナルでの論文が主な評価の対象になります。そのため、国際ジャーナルへの投稿を焦るあまりに、研究成果の水増しや捏造などの不正が行われる場合があります。それに対して文系研究者では、その人が描いた著書が主な評価の対象になるので、文系の先生は本の上梓を目標とします。そのため、著書での盗用・盗作が多い傾向があります。
国公立大学の場合、大学の運営の大部分は国や自治体などからの運営交付金によって賄われていますから、税金の有効利用の観点からも、ある程度の研究成果が期待されます。しかし、過度な成果主義(成果を追求する気持ちが強すぎること)は、研究不正に手を染める原因になり得ます。
最近は、画像生成AIや文章生成AIなどの先端テクノロジーが一般化し、誰でも使えるような環境が整いつつあります。生成AIについては、これからも議論が続くと思いますが、”著作権の問題”はかなり難しい問題を抱えています。
生成AIとは関係のない話ですが、タイトル画の左の絵は、右の写真を反転して構図を元に製作した絵なのだそうで、ある展覧会で賞まで取っています。写真の作者は、絵の作者を著作権侵害であると訴えましたが、絵の作者は、写真からインスパイヤして書いたものだが、盗作ではないと主張しています。私もどう考えても盗作だと思いますが、裁判所の判決では”盗作には当たらない”となったようです。写真と絵画という違いはあるものの、著作権侵害は判定がかなり曖昧です。
東京オリンピックのロゴも、最初のものは盗作疑惑で取り消されました。ロゴやデザインなどは、ある程度過去のものを参考にして作るので、100%オリジナルで過去に見たことないものを作ることは簡単ではありません。このような微妙(曖昧)な判定基準が、盗作判断の難しさの理由なのでしょう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?