老いては子に従え
『老いては子に従え』という諺があります。これは中国の礼記などに由来する”三従の教え”で、「若い時は親に従い、盛りにしては夫に従い、老いては子に従いなさい」といい、古くから女子教育の規範とされてきました。現代では怒られそうな規範ですけど・・・。しかし、江戸時代になると、最後の部分が独立して使われるようになり、むしろ男性に対して多く使われるようになりました。
この表現は現代でも時々使われますが、規範とする意識はほとんど薄れ、子どもが年老いた親を説得するために冗談めかして口にする表現になっています。私も時々、自虐的に「老いては子に従えだから・・・」と使ったりします。
最近、研究プロジェクト関連で野外調査のために、山に行くことが増えました。地熱地帯や温泉は、一般的には山岳地域に多いので、必然的に地熱の調査も山で実施することが多くなります。若い頃から体力には自信がありませんでしたが、若い頃にはキツイ現場にもそれなりについていくことができました。しかし、そろそろ限界が近づいてきました。
自分では足を上げているつもりでも、思っているほど上がっていません。山の急勾配も、かなりキツイと感じるようにもなりました。でも、子供と同世代の学生さんたちに、野外調査では助けられています。物理探査の測定には機材が必要で、決して軽くはない関連資材と一緒に山登りをしないといけません。そんな時には優しい学生さんが声をかけてくれます。「先生、こっちのリュックの方が軽いですよ!」
こんな老人思いの優しい学生さんたちに手伝ってもらって、今年も野外調査に挑みます。