ミリしら物理探査#36 ネガティブとポジティブ
物理探査では様々な物性値を扱います。重力探査では密度ですし、磁気探査では磁化率です。これらの物理量には決められた単位があって、絶対値を測定することは可能です。しかし、物理探査では相対値が重要です。
電気探査・比抵抗法で扱う物性値は”電気の流れ難さ”を表わす比抵抗です。比抵抗は最も広範囲の値(ゼロから無限大)を持つ物性値です。比抵抗法では”高比抵抗”や”低比抵抗”という言葉がよく使われますが、これは周辺の比抵抗に比べて”相対的に”高いか低いかを表わしています。同じように、重力探査での低密度と高密度も同じ意味を持ちます。
物理探査の観測データの正負を表わすときに、”ネガティブ”や”ポジティブ”を使う場合もあります。ネガティブは平均値より小さい観測値を表わし、ポジティブは平均値より大きな観測値を表わします。重力探査や磁気探査では、必ずネガティブ/ポジティブの観測値が現れます。これらの分布から、地下構造が推定できます。
ネガティブとポジティブの語幹であるネガとポジは、古くから写真用語で使われ、”ポジ”とは、被写体の明暗がそのまま再現されている(通常の)写真画像のことを指します。また”ネガ”は、被写体の明暗が反転して再現された写真画像(フィルム画像)のことを指します。いまや画像はデジタル化されているので、”フィルム”が想像できない人も多いでしょうが・・・。
つい最近、ポジ/ネガが若者言葉の動詞として使われていることを知りました。ポジを動詞化したものは”ポジる”、ネガを動詞化したものは”ネガる”と表されるそうです。”ポジる”は”根拠もないのにやたらポジティブになること”だそうで、”ネガる”は”物事を否定的に捉える消極的な気持ちや言動になること”だそうです。勉強になります。
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