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人工的な”ゼロ磁場”環境 磁気シールドルーム

スピリチュアルの世界で有名?な”ゼロ磁場”がもたらす、”精神的なパワー”や”癒しの効果”については、科学的な根拠は全くありません。しかし、”無い”ことの証明は非常に難しく、悪魔の証明とも言われます。悪魔の証明とは「○○がないことを証明できないなら、○○は存在する」または「△△であることを証明できないなら、△△だ」といった論法のことを指します。

天然/自然の”ゼロ磁場”はありませんが、ゼロ磁場に近い環境を人工的に作り出すことはできます。それが、磁気シールドルームです。シールド(shield)という外来語は元々は盾という意味ですが、ここでいうシールドは電磁波に対する遮蔽物、あるいは電磁波を遮蔽することを意味します。要するに磁気シールドルームとは、室内の電磁環境を電磁気的に隔離することで外来の電磁波を遮断するとともに、室内の電磁波が外に漏れ出て行かないようにした部屋のことです。

科学的な研究では、微小な磁場を測定したい場合があります。例えば、脳の活動を計測するための”脳磁場”は、pT(ピコテスラ)やfT(フェムトテスラ)オーダーのかなり小さな磁場になります。しかし、地球磁場は約50000nT(ナノテスラ)なので、脳磁場の7桁から10桁ほど大きな値になります。したがって、脳磁場を測定するためには、地球磁場を遮断して静穏な磁気環境を作る必要があります。磁気シールドルームは、そのような用途で使われます。

また、核磁気共鳴(NMR) を使った非侵襲検査であるNMR-CTでは、数テスラというかなり大きな磁場を使います。この磁場の強さは、地球磁場の数十万倍にもなります。このような場合には、磁気シールドルーム内で発生するNMR-CT装置からの大きな磁場の漏洩阻止が必要となります。

話は変わりますが、地球周辺には様々な電磁波が伝播していて、そのなかでも特に有名なのが、シューマン共振による電磁波です。シューマン共振は、地表と電離層との間の空間が導波管の働きをし、雷放電などで励起されて共振振動を生じる現象で、その固有振動の基本周波数は約7.8Hzです。

人間の脳内にも電磁場が発生していて、脳波と呼ばれています。特にθ波は、深い瞑想状態やまどろみの状態に出現する脳波で、その周波数範囲は4~7Hzとなっています。この周波数帯は、先程のシューマン共振帯の周波数から微妙にずれています。このズレは偶然?、それとも必然?。


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