人類絶滅後の世界 『アフターマン』
『アフターマン』(原題: After Man: A Zoology of the Future) は、地質学者でサイエンスライターのドゥーガル・ディクソン(Dougal Dixon)が人類滅亡後の地球を支配する動物世界を描いた作品です。
この本は、人類の滅亡を前提とした、5000万年後の地球を支配する動物達を描くというコンセプトで描かれています。本の形式としては、5000万年後の地球環境に適応して進化した生物達が、生息環境別に紹介されるという形になっています。この本では、人類は滅亡し、生き残った生物達が新たな生態系を構築するという設定ですが、未来の地球環境に順応して生息する生物の独特な姿や、その進化に至った科学的根拠に重点が置かれています。タイトル図は、アフターマンで描かれた未来の動物たちです。
作者は地質学者だけあって、地球自体の未来の姿についても、詳しく説明しています。5000万年後の地球は、大陸移動によって地球規模で大幅に大陸の配置が変化しています。例えば、アフリカ・オーストラリア両大陸、インド亜大陸の北上によって、地中海と東南アジア島嶼部が消滅して巨大山脈が生まれています。また、ヒマラヤ山脈は侵食が進んで低くなり、アフリカ大陸東部が大地溝帯を基点に本土から分裂しています。さらに、パナマ地峡が消滅して、南アメリカ大陸が北アメリカ大陸から分離して独立しています。この通りになるかどうかは誰にもわかりませんが、現在のプレートテクトニクス理論に基づいて推定しているようです。
このように大陸の配置が激変すれば、気候も大きく変わる可能性がありますが、気候や植生については現代の地球と大差無いように設定されています。この本では人類絶滅後の世界が描かれているわけですが、人類が生存したままだと環境への影響が大きすぎて、進化に対する科学的な考察が困難になると、作者は述べています。やっぱり、地球環境に悪影響を及ぼしているのは、人類みたいですね^^。
難しい話は抜きにして、眺めているだけでも想像力を刺激される一冊です。5000万年後は当然生きていませんが、どんな世界になっているか興味は尽きません。既に絶版になっていますが、古本では買えるみたいです。↓↓↓