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アンサング偉人伝#6 気難し屋のフック

 ロバート・フック(Robert Hooke)は、イギリスの自然哲学者、建築家、博物学者です。フックは、実験と理論の両面を通じて科学革命で重要な役割を演じました。

 1660年、フックは弾性についての”フックの法則”を発見します。これは、弾性のあるバネの伸びに対して張力が比例することを示した法則です。フックの弾性についての研究の成果が、”ぜんまいバネ”の開発につながり、それを使って携帯型の時計が作られるようになりました。また、重力探査で使う相対重力計には、高精度なバネが使われています。

 フックは物理学に加えて、生物学的な業績も残しています。彼は、顕微鏡を使って様々なものを観察し、『顕微鏡図譜』という本を著しました。生体の最小単位を "cell"(細胞)と名付けたのも、フックです。フックは、顕微鏡で見たコルクの細胞壁から、個室の意味を持つ”cell”を生物の最小単に充てたようです。

 一時期は王立協会の実験監督を務め、同協会の協議会の一員でもあり、業績のあったフックについて書かれた文献は驚くほど少ないらしい。それには、理由がありました。晩年のフックは短気で気位が高く、知的論争で相手を不快にさせる傾向があったそうです。特にフックの死後、彼の名声は低下していますが、その原因はニュートンとの間の確執にあったとされています。

 ニュートンはフックの死後に王立協会会長となり、フックの業績を覆い隠そうと様々なことを行ったそうです。唯一の肖像画を破棄したのも、その一例です。残念ながらフックの肖像は一枚も残っていません。タイトル図は、フックを想像して書いた肖像画です。どこまで似ているのかわかりませんが、気難しそうな表情は再現されていますね^^。

 フックが創意に富み、弾性、光学、気圧測定などの分野で、多数の発明や工夫を行なったことは確かです。フックが再評価されるようになったのは20世紀に入ってからです。長く無名だったフックですが、今では当時の最も重要な科学者の1人と認められています。

 王立協会でのフックの論文は、ニュートンの時代に行方不明になっていましたが最近発見されたそうです。これが新たな再評価に繋がるかもしれません。


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