ミリしら物理探査#13 オームの法則
オームの法則(Ohm's law)は、電気回路に流れる電流(I)と抵抗(R)、その抵抗の両端の電位差(V)の関係を表わす法則です。オームの法則を式で書くと、V=IRと非常にシンプルな式になります。オームの法則は、クーロンの法則とともに電気工学で最も重要な関係式の一つです。
ドイツのオームによって発見されたオームの法則は、実はオーム以前(1781年)に、イギリスのキャヴェンディッシュが発見していました。キャベンディッシュは裕福な貴族でしたから、財力に物を言わせて、邸宅内に趣味のための実験室を作っていました。彼は、そこで自分の興味のためだけに趣味の物理実験をして、秘かに成果をまとめていました。この時代は、実験に使う電線すら手作りで、まともな測定装置もないので、キャベンディッシュは電流の大きさを舌の痺れ具合で測っていたそうです。こうなれば、実験も命がけです。
キャベンディッシュの業績は、死後数十年した後に、マクスウェルによって彼の遺稿を纏めた『ヘンリー・キャベンディシュ電気学論文集』が出版されるまで、世間には知られていませんでした。実は、オームの法則はオームによる再発見でした。またキャベンディッシュは、クーロンの法則もクーロンより先に発見しています。
電位差(V)、電流(I)、抵抗(R)の関係は、以下の図のような三角形を考えると容易に導けます。この図で、横棒は割り算、縦棒は掛け算を表わします。例えばVを知りたい場合は、電位差Vの部分を隠した残りの部分のI×Rが、Vを求めるための式になります。抵抗Rを知りたい場合は、Rを隠した式V/Iが求める式になります。
同じような関係式は、質量(M)、密度(D) 、体積(V) の間にも成立します。これらの三角関係は、M=DVになります。
オームの法則は、比抵抗法の時に出てきますが、抵抗と比抵抗は異なるパラメータであることを意識する必要があります。比抵抗は、”比”という紛らわしい接頭語が付いていますが、何かの比ではありません。英語では、抵抗はresistance、比抵抗はresistivityであり、単語も明確に違います。抵抗は、抵抗体の形状(長さや断面積)に依存しますが、比抵抗は物質に固有な値なので形状には依存しません。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?