人間関係が生死を分ける!?
いつものように5時台に目が覚めて、テレビを点けるとNHKニュースで阪神淡路大震災の追悼イベントの中継が放送されていました。ちょうど、震災が起きた1月17日5時46分を知らせるための時報が鳴っていました。今年は、阪神・淡路大震災から29年目に当たります。
私が所属している地球資源システム工学科では、春休みの時期に地質の巡検を行ないます。この巡検では、日本各地の鉱山や火山を巡ります。私も何度か学生を引率したことがあって、今から20年位前に淡路島の野島断層を見に行ったことがありました。淡路島には北淡震災記念公園があって、そのなかに野島断層保存館というのがあります。
ここでは、地震の凄まじさと脅威を感じられるように、兵庫県南部地震で出現した野島断層をありのままに保存しています。最初に、野島断層保存館の職員の方から、阪神・淡路大震災の概要の説明をして頂きました。その話の中で、防災/減災に関する示唆に富んだ内容があったので、ここで紹介します。
阪神・淡路大震災の時の神戸の惨状は、目を覆いたくなるようなものでした。建物の倒壊などで数多くの犠牲者が出ました。淡路島は、震源である野島断層があるところですから、神戸と同じように激しい揺れに襲われました。このときに、神戸と同じように家屋の倒壊が起こって、下敷きになった人たちがいましたが、神戸と違ってかなりの人達が地元の消防団によって救出されました。
その理由は、地元出身の消防団員が、倒壊した家屋の造りや家族構成、寝ている場所まで把握しているケースが多かったためでした。つまり、倒壊した家屋のどの辺りに下敷きになったかが事前にわかったからです。このような普段からの濃厚な人間関係は、時には煩わしいと感じるかもしれませんが、大きな災害時には役立ちます。
都会では、自分の部屋の隣に誰が住んでいるかもわからない場合があります。そんな希薄な人間関係では、いざという時に認識してもらえません。普段の人間関係が生死を分ける可能性だってあります。この話を聞いた時に、”人間は一人では生きていけない”生物だと、あらためて感じました。