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講演会でサプライズ!

昨日の朝のラジオで、番組の女性アナウンサーが、自分が運営側で参加したイベントに両親が一般の抽選枠で参加していて驚いた、という話をしていました。学生の頃ならまだしも、社会人になって親が職場にやってくることは珍しい事でしょう。しかし、私にも同じような経験がありました。

いまから30年ほど前、私がまだ若手の研究者だった頃の話です。当時は、物理探査の応用分野として遺跡探査の研究に手を出し始めた頃でした。各地の古墳を探査することも多く、色々な現場で電気探査や地中レーダを使った遺跡探査を実施していました。

福岡県の八女市には岩戸山古墳と呼ばれる北部九州最大の前方後円墳があります。この岩戸山古墳を探査した時に、八女市から遺跡探査の結果を市民向けに話して欲しいとお願いされました。いわゆる市民向けの公開講座です。それまで学会などで講演発表することはあっても、一般市民向けに講演するのは初めてでした。

その時の講演者は、古くから遺跡探査に携わっているベテラン研究者と、若手研究者の私の二人でした。講演会当日、ベテラン研究者の手慣れた講演の後で、私の番になりました。市民向けの公開講座ですから、専門用語や数式は使えません。緊張しながらも、ようやく講演を終わろうとした時、会場全体を見る余裕ができて会場を見回していたら、会場の後方の隅っこに見たことのある顔を発見しました。

冒頭の前振りからわかるように、それは私の両親でした。かなり驚きましたが、無事に講演は終わりました。その後の質疑応答などの全てのプログラムが終了した後、両親に駆けよってここに来た理由を聞きました。両親は大分県に住んでいるのですが、福岡県の八女市まで車で来ていました。講演会に参加した理由を聞くと「地元の新聞にこの講演会のお知らせの記事が載っていたので、息子がどんな仕事をしているのか興味があって見に来た」とのことでした。

突然のサプライズが講演の後半で助かりました。もし講演を始める前に気付いていたら、しどろもどろになるところでした。父親からは「最初の先生の方が話が上手かった」とダメ出しをされました。懐かしい思い出です。

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