数学の小ネタ#28 中学受験の図形問題
最近、頭の体操のために見ている動画があります。それは、”小学生が解くための図形の問題”です。小学生用の問題と思って舐めていると、痛い目に遭います。これらの問題は、有名私立中学の受験問題に出るような難問です。
小学生が解く問題なので、中学生で習う”ピタゴラスの定理”や”平方根”などが使えませんし、”未知数を変数にした方程式”なども使えません。無い無いずくしで解く必要があるため、図形の合同や相似を駆使して、手間暇かけて解いていきます。このパズルの様な思考法が、頭の体操になります。
元々、幾何学(図形問題)は得意ではありませんでしたし、今でも苦手です。図形問題の動画を見ても、スンナリと解ける問題は少なくて、「そんなアクロバティックな方法で解くのか!」という問題が殆どです。このような問題を小学生が解くのですから、脱帽です。こんな問題は、小学校では教えないでしょうから、塾などに通わないと解けないでしょう。
ある時に動画を見ていたら、『ヒポクラテスの三日月』という図形があることを知りました。私は田舎の小学校出身で、中学受験とは無縁の人生を送ってきましたから、この名前は初耳でした。これはタイトル画に示したような図形で、不思議なことに”三日月部分の面積の合計”は直角三角形の面積と同じになるというものです。直感的には、面積の合計には”円周率”が含まれそうですが、答えには円周率は含まれません。
ヒポクラテスの三日月(lune of Hippocrates)は、ヒポクラテスの定理とも呼ばれる幾何学の定理のことです。証明は省きますが、直角三角形の斜辺を直径とする半円が内接していて、他の2辺を直径とする半円は外接しているとします。このとき、斜辺でない方の2辺の半円と直角三角形の和と斜辺の半円の面積の差は、元の直角三角形の面積と等しくなる、というものです。
この『ヒポクラテスの三日月』の美しい性質の背後には、ピタゴラスの定理が潜んでいますが、ピタゴラスの定理を使わずに解けますか?。