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数学の小ネタ#30 グロタンディーク素数

数学の雑学好きなら知っているのが、”グロタンディーク素数”です。この素数は”チョッと特殊な素数”で、ハッキリ言えば素数ですらありません。

グロタンディークは、代数幾何を根本から書き換えるなどの業績をもつ、高名な数学者です。彼は数学のノーベル賞とも言われる、フィールズ賞を受賞しています。彼の著作である『代数幾何原論』はインターネット上でも読むことができるそうです。ただし、フランス語だそうですが・・・。

グロタンディーク素数に話を戻しますが、この素数とは具体的には『57』です。3の約数の見分け方に、”各桁の数字を足したものが3の倍数になっている”という条件があります。グロタンディーク素数・57は、この条件を満たしているので、高名な数学者でなくても”素数ではない”ことがすぐにわかります。57は3と19を約数に持つ合成数(57=3×19)です。

グロタンディーク素数は、一種の”数学ジョーク”です。これは、グロタンディークが自身の講義中に、素数の例として誤って『57』を選んでしまったことに由来しています。グロタンディークは数学の天才でしたから、数学に特有の抽象的思考方法が得意でした。しかし、授業を受けていた生徒達にはあまりにも難解だったため、一人の生徒が「具体的な例を挙げて下さい」とリクエストしました。このリクエストに応えて選んだ素数が、”実際には素数ではない”グロタンディーク素数でした。

グロタンディークは、反戦運動と環境問題に熱心だったことから、自分の勤務先が軍から資金援助を受けていることを知ると、即座に辞職しました。その後は、数学から離れて隠遁生活を送るようになったそうです。天才の考えは、凡人には理解できないみたいです。

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