見出し画像

世界”物探”遺産の旅#10 スウェーデン・キルナ

キルナ(Kiruna)は、スウェーデンで最も北に位置する人口2万ちょっとの町です。キルナの市章には鉄とライチョウが描かれていますが、これはキルナ鉄山が街にとっての主要な産業であることを表わしています。キルナは、いまでも鉱山事業が盛んです。

キルナがスウェーデンの市になったのは1948年であり、当時は世界で最も面積の広い市だったそうです。現在はオーストラリア・クイーンズランド州のマウントアイザに続いて2番目に広い市となっています。このマウントアイザもキルナ同様の鉱山業の町です。キルナは北緯68度の北極圏に位置するため、は夜でも太陽が沈まない白夜となる他、オーロラを観ることができます。

キルナ鉱山

キルナから東に16km離れたユッカスイェルヴィという地区には、アイスホテルがあり、キルナの人口を超える毎年3万人程度が宿泊しているそうです。アイスホテルの部屋には、氷のベッドでトナカイの皮の上に敷いた寝袋に入って眠ります。寒そうだけど、大丈夫なのかなぁ・・・。

ここを物探世界遺産に勝手に認定したのは、ここが”磁気探査発祥の地”だからです。現在は、フラックスゲート磁力計や超電導磁力計など、高精度な磁力計が開発されて実用化されていますが、原初の磁気探査は磁気コンパスを使った単純なものでした。当時の磁力計は、アナログな磁気方位計(磁気コンパス)や磁気伏角計なので、偏角の異常や伏角の異常から、鉄鉱石を探査しました。磁気探査は、機器を使った物理探査の最古の手法だと考えられています。

今でもスウェーデンは磁気コンパスと密接な関係があります。スウェーデンにはシルバ社という会社があって、レクリエーション、ハイキング、科学研究や海洋分野で使用される幅広い種類の携帯コンパスを製造・販売しています。また、シルバ社は長期間、英国軍、デンマーク軍、オーストラリア軍、ニュージーランド軍やスウェーデン軍といった世界各国の軍隊に様々な汎用コンパスを供給しています。

シルバ社の磁気コンパス(ブラントン 9020)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?