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防災に役立てたい『流体流動電磁法』

 日本では毎年のように、台風や大雨による洪水や、地震などが原因の地すべりなどの自然災害が頻繁に起きています。大雨による堤防の決壊などは、地表を流れる川の急激な増水が原因となりますが、地すべりなどは地下水位の急激な上昇が引き金となります。しかし、多くの場合、地すべり地域の観測は地表面での地形変化や、限られた井戸などでの水位観測に頼っているのが現状です。しかし、地すべりの直接の原因は地下にあるので、地下の観測が必要不可欠です。

 私共の研究室では、独自に発明した『流体流動電磁法』(特許取得済み)を使った地下水の観測を実施し、地すべりの危険度をモニタリングする研究を実用化したいと考えています。

 流体流動電磁法は、地下に存在する流体(地下水・温泉、石油・天然ガス、地熱流体、二酸化炭素など)の流動によって生じる電磁場変動から,その地下流体の動的挙動を監視する革新的な地下環境モニタリング法です。例えば、地下水などの地下流体が流動すれば、その流動に連動した流動電流が地下に生じます。その流動電流の変化は、地表の電場変化として計測することができます。また流動電流の発生によって、その周辺にはアンペールの法則に従った磁場が生じるので、磁場の変化も同時に観測することができます。

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 流体流動電磁法では地下流体の動的挙動を監視するため、地表に多くの観測点を設置して、電場と磁場を同時観測します。このようにして観測された時々刻々と変化する電磁場データから地下水流動の三次元分布を可視化します。

 流体流動電磁法では、このような応答速度の速い電磁場を観測するため、急激な地下環境変化を捉えることが期待できます。この方法は、災害予測や資源開発のみならず、地球温暖化に関連したCCS(二酸化炭素の地中貯留)や放射性廃棄物の地層処分に関連した地下環境監視などにも応用可能です。

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 現在は流体流動電磁法の測定機器の開発中で、実用化まで一歩手前の段階です。もう少し時間がかかりますが、測定機器が完成すれば、地すべりの監視や堤防決壊の監視などに役立てたいと考えています。それから、二酸化炭素を地中貯留した際の、二酸化炭素の漏洩を監視する目的にも使えると考えています。

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