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ペロブスカイト太陽電池とペロブスカイトLED

次世代の太陽電池として注目されているのが、ペロブスカイト太陽電池です。ペロブスカイト太陽電池は、有機系と無機のハイブリッド構造を持つ太陽電池で、シリコン系太陽電池に代わる次世代の太陽電池として期待されています。この電池は、ペロブスカイト構造の物質を正孔輸送層と電子輸送層で挟んだサンドイッチ構造をしています。

ペロブスカイト構造は、立方晶系の単位格子を持つ構造で、下図のように立方晶の各頂点に金属Rが、体心に金属Mがそれぞれ位置し、金属Mを中心として酸素Oが立方晶の各面心に位置しています。単位格子中の金属M、金属R、酸素Oの個数の比は、1:1:3になっています。

正孔輸送層と言うのは、格子欠陥で生じた正孔(電子と反対の正の電荷をもつ)が移動する物質から構成されています。電子輸送層は、負の電荷をもつ電子が移動するための層です。この正孔輸送層と電子輸送層でペロブスカイト構造を挟むことで、光によって励起されたペロブスカイト中の電子を取り出して電流を得ることができます。

ペロブスカイト構造(Wikiより)

ペロブスカイト太陽電池の主な特徴は次の通りです。
1)製造コストが低く、タイトル画のようなシート状の太陽光パネルを製造できる
2)軽量でフレキシブルなため、ビルの外壁や工場、体育館の屋根など、従来のシリコン系太陽電池では設置が難しい場所でも使用できる
3)シリコン系太陽電池と遜色のない変換効率を達成している
4)製造時に必要な温度が低いため、プラスチックフィルムタイプの太陽電池の製造が可能
ただし、寿命が短く耐久性が低い、大面積化が難しい、変換効率のさらなる向上が必要、などの課題もあります。

太陽電池は”光から電気”を得る素子ですが、原理的にはその逆に”電気から光”を出すことも可能です。「ペロブスカイト電池から発光素子ができるかも」と秘かに考えていたら、既に開発されたいたことがわかりました。東京工業大学(現・東京科学大学)の研究者が、ペロブスカイト材料を発光材料とするLED(PeLED)を作製しています。

ひょっとすると、信号機がPeLEDで置き換わる日が来るかもしれません。

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