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不思議な分布境界線 ウォレス線

ウォレス線は、タイトル画のようにインドネシアのバリ島、ロンボク島間のロンボク海峡からスラウェシ島の西側、マカッサル海峡を通りフィリピンのミンダナオ島の南に至る東に走る生物の分布境界線のことを指します。この線は、日付変更線などと同じく、目に見える線があるわけではありません。

この境界線は、1868年にアルフレッド・ラッセル・ウォレスが発見したことから名付けられました。ウォレス線より西の生物相は生物地理区の東洋区に属し、東はオーストラリア区に属します。ウォレス線を挟んで、近接した島々が並んでいますが、不思議なことにこの線を境界として生物相が変わります。

現在は間氷期で、ボルネオ島・スマトラ島・ジャワ島は独立した島ですが、少し前の氷期には海面が下降し、この一帯は陸続きになっていました。この陸続きの領域をスンダランドといいます。同様に、パプアニューギニアとオーストラリアはサフルランドを形成していました。スンダランドの東側とサフルランドの西側は陸続きにはならなかったため、現在のような生物相が異なる状態になっています。

日本国内にも、大きな生物区の境界があります。一つは北海道と本州を隔てる津軽海峡の”ブラキストン線”です。津軽海峡は水深がやや深いため、氷期でも北海道と本州・四国・九州が直接つながっていなかったためだと考えられています。もう一つは、鹿児島県の南に位置するトカラ海峡の”渡瀬線”です。

現在は猛暑が続く温暖な時期ですが、かつては海水面が下降し、日本列島は大部分が地続きでした。

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