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数学の小ネタ#33 クヌースの矢印表記

数学には数多くの記号が使われます。最もよく使われるのは四則演算の記号で、”+-×÷”です。高校生ぐらいになると使われる記号が一気に増えて、三角関数のsin,cos,tanや、対数関数のlogなども出てきます。また、微分や積分に関する記号も使われるようになります。大学になると偏微分や重積分、行列や行列式などの記号も出てきます。

大きな数を表わすときに使われるのが指数という表記法です。指数表記は数字の右肩に小さく数字を書く特殊な表記法です。指数表記を使えは、長い桁数を持つ大きな数字も、比較的簡潔に表せます。ただし、右肩の指数の数字が大きくなる場合には、この表記法では簡潔に表せない場合があります。

ドナルド・クヌースは、このような巨大数を表現するために新しい表記法を発明しました。それがクヌースの矢印表記(Knuth's up-arrow notation)です。乗算が加算の反復であるように、べき乗は乗算の反復です。クヌースは、この考え方をベースにして、べき乗の反復を表す一般的な表記法を考えました。この表記法では、べき乗を指数で表記する代わりに、矢印で表記します。例えば、2の二乗は2↑2となります。また、べき乗のべき乗は、以下のように矢印(↑)を追加することで表現します。

クヌースの矢印表記の説明

クヌースの矢印表記を使えば、”宇宙論で使われた最大の数”でも、10↑↑5のようにシンプルに表記できます。ただし、このような非現実的な巨大数は実生活で使うことは殆どないと思いますが・・・。

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