地熱発電所巡り#4 滝上地熱発電所
滝上地熱発電所のある九重町は、大分県の南西部に位置する、美しく自然豊かな町です。東と南を阿蘇くじゅう国立公園の連山、西を耶馬日田彦山国立公園に囲まれ、町中央部には見事な渓谷美の九酔渓があります。また、町内には宝泉寺温泉や筋湯温泉などたくさんの温泉が点在しています。
滝上地熱発電所は、1996年11月から出力25 MWで運用を開始しています。2010年6月からは出力を27.5MWに上げて、現在まで蒸気を安定的に供給しています。事業用としては、大岳発電所、八丁原発電所、山川発電所、大霧発電所についで九州で5番目、全国では11番目にできた地熱発電所です。この発電所は、発電部門を九州電力(株)、蒸気部門を出光大分地熱(株)が担当し、共同で運営しています。
滝上地熱発電所の特徴は、地熱貯留層が3000m程度の深部に存在するといことです。これは日本の地熱発電所の中でも、かなり深い貯留層になります。このことは、それだけ地熱開発が難しかったことを意味しています。一般的な地熱地帯では、噴気や温泉などの目立った地熱兆候がありますが、滝上地域では顕著な地熱兆候は見られません。この深部の地熱貯留層探査には、主にMT法は使われました。
私は出光大分地熱(株)との共同研究で、滝上地域で流電電位法調査や流体流動電位法調査を実施したことがあります。調査の時は、宝泉寺温泉の温泉旅館に泊まりました。流体流動電位法を実施した時は、台風による風倒木被害がひどかった年でしたから、山の中で風倒木を避けながら移動したことを思い出します。足場が悪いので、本当に苦労しましたが、今では良い思い出です。
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