「第8章 放射能探査」の扉
体長1ミリ足らずのこの小さな生物は,形がクマに似ている(?)ことからクマムシと呼ばれています.また,四対八脚の脚でゆっくり歩く姿から緩(かん)歩(ぽ)動物とも呼ばれています.クマムシは環境適応能力が極めて高く,熱帯から極地方,超深海底から高山,さらには温泉の中まで,海や陸のありとあらゆる環境に生息しています.このクマムシは,環境が厳しい状況では乾眠(かんみん)と呼ばれる無代謝の休眠状態に入ることで生命を維持します.
温度なら絶対零度から151 ℃まで,圧力なら75,000気圧まで,放射能なら570,000レントゲンまで耐えられると言われています.人間は500レントゲンで死亡するので,クマムシの強靱さが群を抜いていることが良くわかります.クマムシ,恐るべし.現在,クマムシの遺伝子情報を解読するプロジェクトが進行中です.クマムシのゲノムから放射能耐性の理由が解明されれば,多くの人類が宇宙で活動する頃には,放射能にも耐えられる人類が誕生しているかもしれません.
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