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ミリしら物理探査#25 本質を見抜く力

 ”本質を見抜く力”とは、”目に見えるもの”を手掛かりに、その裏側にある”目に見えないもの”を洞察する力のことを言います。本質を見抜く力を持っている人の特徴は、”目に見えるもの”を手掛かりに”目には見えない、二段目・三段目の奥行き”を見抜ける能力を持っていることです。つまり、最終的に「ああなれば⇒こうなる(こうなりやすい)」という”法則”の発見です。なので、目に見えるものだけで物事を捉えている人には、その法則は決して見通せません。

 あなたの周りに、”いち早く仮説が立てられる洞察力が鋭い人”や”将来起こりうる物事を言い当てられる人”はいませんか?。こんな人たちに出くわすと、「頭いいなぁ」とか「センスがあるなぁ」と感心したりします。このセンスの良さの正体が、物事の”本質を見抜く力”です。

 『目に見えない物から、物事の本質を見抜く』というのは、物理探査と全く同じです。物理探査では、物性値の違いから生じる物理量(例えば、重力や磁力)を、各種の測定機を使って取得します。これが、”目に見える”フィールドデータになります。物理探査では、このフィールドデータを解析することで、”目に見えない”地下の構造を推定します。

 この、物事の実態(真相)を見抜く力や洞察力のことを、英語ではinsightと言います。このinsightと同じ名前を冠した火星探査機・インサイト (InSight: Interior Exploration using Seismic Investigations, Geodesy and Heat Transport) が、2018年5月5日に打ち上げられ、同年11月26日に火星に着陸しました。インサイトの目的は、英語の名称が示す通り、火星の地震波や地中の熱の流れを観測するほか、自転や公転のぶれを測定することでした。タイトル画は、そのイメージ画像です。インサイトは、火星の1点に留まって、孤独に火星の地震を”聞き続けて”きました。

 そのデータをもとに、火星の内部構造を推定することに成功したそうです。NASAによると、地殻は予想されていたよりも薄く、現在のところ、厚さ20kmと37kmの2つの可能性が提示されています。地球の大陸地殻は50km程度ですから、約半分くらいの厚さになります。その層を抜けるとマントルとなり、地表から1560kmの深さまで続くこともわかりました。地球の場合は、下部マントルの下に液状の外核層が存在しますが、火星にはこれが存在しないことも確認されました。高い断熱性を持つこのような層がないという解析結果は、火星が急速に熱を失っている(冷えている)現象を説明できる一つの原因になりそうです。

 物理探査は、地球以外でも”本質を見抜く”ために役立っています。物理探査とは関係ありませんが、ビジネスの世界でも「推論」を立てる技術は、重要なのだそうです。”問題解決”に行き詰っている人には、下記の本は何かの参考になるかもしれません。私はまだ読んでないのですが・・・。


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